💙翔太side
仕事が終わると、俺は一切寄り道せずに阿部の家に向かった。阿部の体調が心配だったからだ。
部屋の灯りはついていない。まだ帰っていないようだ。
合鍵で家の中に入り、適当に荷物を置く。連絡来てるかな、と携帯を取り出した。
💙あ、LINE来てる
💚『佐久間が送ってくれるって言うから、隠れてて』
💙はあ?
阿部が倒れた後、仕事のメンバーは仕事へ。佐久間が、残るメンバーを強引に説き伏せて、阿部に付くことになった。
阿部から佐久間との経緯は聞いてたから心配はしてないけど、佐久間の恋心を知っている俺としてはちょっと複雑だ。
それにしても、阿部の体調はどうなんだろう。
いつも元気そう(特にあっちが笑)だから気にしてなかったけど、本当はどこか悪いのだろうか。
そんなことを考えつつ、呑気に水を飲んで一息ついていると、
ガチャガチャ。
玄関が開く音がした。
俺は危うく水を吹くところだった。
💙思ったより早いじゃん!まずい!隠れないと…
大慌てで寝室のクローゼットに隠れる。
手持ちのカバンはぬかりなく持って来たから大丈夫。
俺は息を殺して、クローゼットの隙間から外の様子を伺った。
💚亮平side
いいというのに、部屋まで来ると言って聞かない佐久間。
翔太にはLINEしたけど、全然既読が付かなかったし、正直やばいかも。
玄関に入る前に一応、佐久間に言ってみる。
💚本当にここまででいいんだけど…
🩷やだ。阿部ちゃんが横になるの、俺、ちゃんと見届けたい。
そうなるよねえ。
🩷ね?阿部ちゃんが寝たら帰るから!みんなにもちゃんと見届けたって言いたいし!
佐久間は言い出したら聞かない性格らしい。
仕方なく、一緒に家に入ることにする。
鍵が開いている…ということは翔太が中にいるのか。
俺は咄嗟に鍵が開いてなかったふりをする。
🩷おじゃましま~す
横目で佐久間を見る。
何とかごまかせたようだと、安堵していたら、玄関に翔太のサンダルがあるのを見つけた。
他の靴と比べて異色なのは明らかだし、翔太がいつもサンダル履きなのはメンバーならみんな知っていることだ。
佐久間の視線が案の定、サンダルの上で止まった。
…やばい。
🩷阿部ちゃん、これって…
💚あ、俺のだよ。ちょっと出かける時に便利だよね、サンダル。コンビニ行くときとか?
ちょっと、苦しかったかな…?
思わず饒舌になってしまったことを反省する。
🩷ふーん…
佐久間はそれ以上何も言わなかった。逆に怖い。
家の中に普通に翔太がいたら終わっている言い訳だが、中には人影がなかった。連絡が間に合って、どこかに隠れてくれたのだろう。
俺はほっと胸を撫で下ろす。
寝室へ。
佐久間は本当に横になるまで見届ける気らしく、一緒についてきた。
🩷具合、どう?
💚大丈夫。ちょっと疲れてただけだから
俺はベッドに腰を下ろす。すると、滑り込むように、佐久間が隣りに座って来た。
🩷ほんとぉに、だいじょうぶ?
声が甘い気がするのはきっと気のせいなんかじゃない。 そして極め付けは小動物のような上目遣い。
俺がフリーだったらちょっとくらっと来ちゃうような可愛さだ。
でも俺には翔太がいるし、たぶん、今この瞬間もこの家のどこかに隠れている。
なんとか佐久間を早く帰さないとまずい。
🩷阿部ちゃん、俺、阿部ちゃんのことやっぱり…
💚佐久間
🩷なぁに?
💚俺、やっぱりまだちょっと頭痛いかも
俺は大袈裟に頭を抱える。多少わざとらしかったかもしれないけど、他に手がない。今は具合悪いをアピールすべきだ。
🩷あ。そうだよね。ごめん…
佐久間がしゅんとなる。
いや、本当にもう帰ってほしい。
佐久間は諦めてくれたのか、お大事にしてね、と言って名残惜しそうに帰って行った。
色々と危なかったが、何とか事なきを得たようだ。
佐久間が帰って行くのを窓からしっかり目視で確認して、俺は翔太を呼んだ。
💚しょうたーーー?出てきていいよーーー
すると、寝室のクローゼットが乱暴に開き、むくれた翔太が出てきた。
ここにいたのかと驚くと同時に、佐久間と何もなくて本当によかったと心からほっとした。
💙具合、どうなの
💚もう大丈夫
💙心配かけやがって
💚おいで?
両手を広げると、翔太が恥ずかしそうに寄って来た。
しっかりと抱きしめる。
可愛い、あったかい。
俺に抱きしめられたまま、翔太が小さな声で言う。
💙目の前で佐久間とキスでもしてたら、お前をぶっ殺すところだった
💚ははは。可愛い~
本当に、たまらない。ヤキモチは今の俺にとって極上のスパイスだ。
ぎゅううう。力いっぱい抱きしめる。
💙いててて…苦しいって!!!
絶対離してあげない。
もう、今夜は寝かさないよ?
コメント
19件
これハマるわ
だぁかぁらぁ!!にゃーにゃ!! お父さんとお母さんが目の前におるからニヤニヤすんなって言ってんだろぉ!! 100フォロワーおめでとう🎊 良質なだてなべをありがとう💚💙