テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
誰も知らない、高嶺の花の裏側2
第41話 〚取り戻せない立ち位置〛(りあ)
最初は、
気のせいだと思った。
でも。
——違う。
これは、
確実に“私のこと”。
「……前から思ってたけどさ」
後ろの席から、
わざと小さめの声。
でも、
聞こえる距離。
「調子乗りすぎじゃなかった?」
「三軍とか言ってたけど、一番人のこと見下してたの自分じゃん」
胸が、
どくん、と鳴る。
やめて。
聞こえてないフリをして、
ノートを開く。
ペン先が、
震える。
「急に静かになったよね」
「味方いなくなったからじゃない?」
くすっと、
短い笑い声。
——やめて。
喉が、
きゅっと締まる。
前なら。
こういう時、
誰かが私の方を見て、
「大丈夫だよ」って目で合図してくれた。
でも今は。
誰も、
目を合わせない。
合わせたとしても、
すぐに逸らされる。
「被害者ぶってるの、逆に怖い」
「自分が言ってたこと、返ってきてるだけでしょ」
……ちがう。
私は、
そんなつもりじゃ。
言い返そうとして、
口を開く。
でも、
声が出ない。
出したら、
もっと言われる気がした。
——怖い。
心臓が、
早くなる。
息が、
浅くなる。
「てかさ、今まで一軍気取りだったの謎」
「誰かにくっついてただけじゃん」
その言葉が、
胸に突き刺さる。
……やめて。
それ、
言わないで。
図星だった。
強い人の後ろにいれば、
自分も強くなった気がしてた。
でも。
今、
その“後ろ”は、もうない。
机の上に、
ぽつりと落ちる影。
——私、
一人だ。
昼休みのざわめきが、
全部、敵に聞こえる。
澪の顔が、
ふと浮かぶ。
守られて、
囲まれて、
それでも静かに立っている姿。
……羨ましい。
そして、
悔しい。
同時に、
胸の奥が、
じわっと痛んだ。
私がやったこと、
全部。
こうやって、
返ってきてるんだ。
チャイムが鳴る。
救われた気がして、
同時に、
逃げ場がなくなった気もした。
りあは、
机に視線を落としたまま思う。
——もう、
元の場所には戻れない。
それでも。
この孤独から、
どうやって抜け出せばいいのか。
まだ、
答えは見えなかった。