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ほむぺ⋆*
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#あべさく
めかぶぷりん
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東海林の事件から三日後、街は元通りの姿に戻っていた。
今回は大規模災害に相当するとして、国から修復や修繕に特化した異能を持った者達に正式依頼が出た為、数十人がかりで修復に取り掛かることができた。
強い異能ではないから時間を要するものの、人数でカバーした結果だろう。
💚「無事に元に戻って良かった」
紅茶を飲みながら、阿部が一息ついた。それを聞いていた深澤が、執務用の椅子をくるりと回して阿部を見る。
💜「そういえば、阿部ちゃん。あの時、ふーちゃんと何してたの?」
💚「ふっかが鋼でビルが倒壊しないように補強してたでしょ? でも、ふっかが離れたら、時間が経つと解除されちゃう。康二と舘様も同じ。だから、離れてもいいように《定着》の異能を使ったんだよ。それだと、見た目にも変わらないから、俺が別の異能を使ったのがバレないし、ふーちゃんで隠れてるから何をしたのかも分からない」
💜「あー、なるほどね……ん? 阿部ちゃん、あれ使っても平気なの?」
💚「定着って、なんの制約もないしすっごい軽い異能だから。ふっかが、鋼でクナイ一本作るのと同じくらいの疲労度だよ」
💜「ああ、じゃあ大丈夫そうか。でも、使うなら言っといて。こっちも心の準備とかあるから」
💚「……切迫した状況以外では使うつもりないから、言えるかは分かんないけど……」
口ごもると、深澤がため息をついている。
これ多分、勝手に使ったら怒られるやつだ、と阿部はしみじみ思っていた。
それから四日後。目黒、佐久間、向井の三人は、前日の雨の影響で土砂崩れが起きたという山間のトンネルに来ていた。
全長はおよそ5キロ、土石流が出入り口を封鎖し、中に大型バスや車が閉じ込められているという話だった。すでに土石流は止まり、これ以上の被害はないとの見立てだったが、何分、流れた土砂が多く、通常のレスキューでは時間がかかるとのこと。
中の状況が分からないから、ケガ人がいるなら一刻も早く治療をしたいから、手を貸してほしいというのが依頼内容だった。
目黒の蔓なら土の中を進むことができる為、後方でレスキュー隊が動いているのを感じながら、目黒たちは先ず、状況の確認をする。
するすると蔓を伸ばしていく目黒。
🩷「蓮、どうだ?」
🖤「……500メートルくらい先で、また道路が塞がってる。多分、トンネルがちょっと崩れてるんだと思う。ここからだと、その先までは見えない」
🩷「じゃあ、もうちょい中に入んないとか」
🖤「そうだね」
🧡「せやったら、三人で中入って、もっかい調査やな」
🖤「うん。どのくらいの距離が埋まってるのか分かんないと、転移先が土砂の中ってこともあるからね」
🧡「うわ、生き埋めになるやん」
🩷「そうなんだよ。だからこういう時って突っ込めねえんだよな。前に座標間違えて、海ん中に出ちゃってさ。焦ったー」
🧡「え、平気だったん?」
🩷「浅瀬だったからな」
🧡「ってか、さっくんも座標間違えること、あるんやね」
🩷「北と南、間違えたんだよ」
🧡「ああ、なる」
🖤「とにかく、中、行ってみよ。状況が分かんないとどうにもなんない」
🩷「おっしゃ、いくぜ! ……で、何メートル先で出ればいい?」
🖤「300メートルなら平気」
🩷「りょーかい!」
二人の手を掴み、粒子転移する。入った先は、薄暗いトンネルの中だった。照明がチカチカと点滅している。先を見ると、確かにトンネル内も埋まっているのが確認できた。
近づいていき、目黒が再び蔓を潜り込ませる。今度は、土砂ではなくコンクリートが積み重なっている状態なので、細くした蔓なら隙間を通っていける。
🖤「あった。バスと、車が3台。1.2キロくらい先。ちょっと遠くて車に近づけないから、中の状況までは分かんないけど」
🩷「じゃあ、次は1キロ先なら平気そう?」
🖤「うん、大丈夫」
🩷「そんじゃ、もっかいだな!」
再び、目黒と向井の手を掴んで粒子転移をした。
次に見えた景色は、トンネル内ではなかった。
🩷「え……?」
薄暗いトンネルから一変した、赤黒い岩肌が広がっている。
高さが三十メートルはありそうな広い空間。周囲を岩壁に囲まれ、5メートルほど下にマグマが溜まっている。
🩷「……なんだ、ここ……」
確かに、目黒が言った座標に粒子転移したはずだった。
けれど、どう見てもここはトンネルではない。それに、佐久間たちが今いるのは、地面ではない。檻。否、鳥かごと称した方が適切だと思うような、そんな場所だった。
🩷「なんで急に?!」
慌てて、中央から端に向かった佐久間。瞬間、鳥かごの檻が揺れたことで動きを止める。
🖤「佐久間くん、動かないで。これ、浮いてる……」
地面に乗せてあるのではないのだと、揺れが証明している。下には溶岩。落ちたらどうなるかは想像に難くない。
ゴクリと、佐久間と向井が息を飲んだ。
🧡「何で!? なんで急に、こんな……」
🩷「分かんないよ。とにかく、戻って……ダメだ。粒子転移できない」
佐久間の言葉に、目黒も向井も異能を使おうとする。けれど、何も起こらない。
🖤「この檻、異能封じになってる……? 通信は?!」
慌ててスマホを取り出して見る。
🖤「……電波、ない」
🧡「アカン。イヤホンの方も反応なしや」
🩷「俺、今回は座標、間違えてない」
🖤「だと思う。ちょっと間違えたってレベルの場所じゃないよ。それにこれ、どう考えても罠じゃん」
🧡「罠て……あの依頼がか?」
🖤「……人の声、しなかった」
🧡「え?」
🖤「さっきのトンネル。車もバスもあったのに、誰も外にいなかったし、何も聞こえなかった。距離があるからだと思ったけど、急にトンネルに閉じ込められて、全員が大人しくしてるってこと、ある?」
🩷「ない、よな」
🖤「助けを求めたり、泣いたり、状況を確認したり、そういうのを一人もしないって、変だと思う……そもそも、事故なんかなかった?」
🩷「俺らを、ここに連れて来るため……ってことか?」
🖤「……多分」
🧡「何で?」
🖤「分かんないよ。俺だってそういうの考えるの苦手だし。分かってるのは、誰かに嵌められたかもってことと、相当、マズい状況だってこと。この檻がいつまでもつか分かんないし……」
見上げると、丸いドーム状の格子の天井が見えるが、中央部だけ板で塞がっていて、揺れが収まった今、何で吊るされているのかがイマイチ見えない。けれど、佐久間が少し動いただけでも揺れたということは、あまり頑丈にはできていなさそうだ。
つまり、悠長にしていられる時間はない。
けれど異能を封じられ、通信もできず、動く事もままならない今、目黒たちにできることは何もなかった。
目黒たちが依頼に出てから、およそ二時間。一切、連絡が来ない。
事務所にいるのは、深澤、阿部、渡辺の三人。誰からも何の通信もないというのは、いささかおかしい。
💚「誰も、連絡もらってないよね?」
💜「ないね」
💙「ねえわ」
💚「ちょっと状況、見てくる」
そう言ってコントロールルームへ向かった阿部に、深澤と渡辺は顔を見合わせると後を追って行った。
中に入ると、阿部は椅子に座ってキーボードを操作する。大まかな地図が描かれているスクリーン上には、他に何も映らない。
💚「……ダメだ。佐久間たち、反応がない」
それから阿部の目が碧色に輝き、集中するためか目を瞑る。じっと動かない阿部。目を開けたのは、およそ一分後。
💚「三人のスマホの電波を探ったけど、それも拾えない」
💜「でもあの土砂崩れの場所、電波がなくなるほどじゃなかったよね?」
💚「場所、確か山間部だよ。着いたって連絡は来てたから。でも、その後から、音信不通……何かあったんだよ」
💙「……行くか?」
💜「だね。待っててどうこうなるものじゃない。とりあえず、俺たちだけで行こう。必要なら、照たちも呼ぶ」
何があったのかを確認しなければならないので、大烏となったふーちゃんに乗り、土砂崩れの現場へと急行した。
辿り着いた先は、やけに静かだった。
道路上に降り立ったことで、その異様さを知ることになる。
💜「……誰も、いない」
💚「レスキューの人たちも一緒に来てたはずだよね? 怪我の治療もあるし、時間はかかるけど、外からも同時に作業するからって」
💙「トンネル塞がったままじゃん」
💚「しかもこれ、一切、土砂に触った形跡がないよ。何もしてない」
💜「なのに、誰もいない? そんなことある?」
💚「佐久間達と連絡が取れないことにも関係してるのかも」
そうして思案していると、阿部が突然、空を見上げた。
💙「阿部ちゃん? どうした?」
💚「電波……ふっか、佐久間たちの位置情報、拾って!」
言われるがままに、佐久間の位置情報をスマホで映し出す。地図上に表示されたのを確認した直後、その表示は消え去った。
けれど、場所は憶えたから問題はない。
あるとすれば。
💜「罠、だね」
💚「うん。俺が電波を拾えるのを分かってて、わざわざ位置を教えてきたんだと思う」
💙「阿部ちゃんも行くのか?」
💚「通信が遮断されてるとなると、外部からの介入は難しい。それに、佐久間たちの状況もわからないから、行ってみないと。翔太、舘様たちに連絡してもらえる? 何があるか分かんないから、全員で行きたい」
💜「さっきの位置だと、街に寄ってからでも良さそうだったね」
💚「うん。でも急ぎたい。わざわざ知らせてくるからには、佐久間たちがいる場所に仕掛けがあるんだと思う」
💜「わかった。一回、戻ろう」
渡辺からの連絡で現在地を把握し、それぞれを拾ってから、表示された場所まで高速で向かった。
道中に、改めて詳しく話をする。
💛「その場所って、火山なのか?」
💚「厳密には、もう活動してない火山。噴火の危険性は低いけど、絶対じゃない。ほぼ中心部で点滅してたから、火山口にいるって考えてる」
💜「火山口ってことは、上からふーちゃんで入るの?」
💚「ううん。この山、火山口に向かう為の横道があるんだ。研究用に使われてる筈だよ。そこを通っていくのが一番いいと思う。管理棟を目指したら入口があるよ」
💛「じゃあ、そこから行くぞ」
ぐっと、阿部の拳が握られる。それに気づいたのは隣にいる渡辺だった。
💙「阿部ちゃん、今は無茶すんなよ」
💚「え?」
💙「状況はわかんねえけど、今、無茶して倒れたら意味ねえだろ」
💚「……そうだね。実際に見て、対処しなきゃいけない時に動けなきゃ、何にもならない。ありがと、翔太」
💙「おう」
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