💙翔太side
それスノの楽屋には俺と阿部だけが残っている。他のみんなは帰った。
中でも佐久間は光の速さで飛び出していった。俺はやけに早いなくらいにしか思ってなかったんだけど。
目黒から届いたLINEを見た途端、頭からサッと血の気が引いた。
💙やばいやばいやばいやばい
💚どうしたの?
💙のんきにしてんじゃねえ、お前のせいだこれは!
俺はスマホの画面を阿部に見せた。
💚『現在二人を待ち伏せ中です』ってなにこれ?
💙目黒がスクショ送ってきたんだよ!
阿部が首を傾げて、立っている俺を見上げる。
ついでに唇をすぼめて、キスをねだっているが、俺はガン無視した。
💙佐久間がまた俺たちに探り入れて来てんだよ!
💚へえ?
💙…んっ
阿部は俺からキスしてもらえないのがわかると、首の後ろに腕を回して引き寄せ、自分からキスしてきた。
いやいやいやいやだからそんな場合じゃねーんだって!
俺は阿部を全力で引き剥がす。
💙盛るな!!!ここは職場だ!!!
💚だってもう誰もいないよ?
💙そういうことじゃねえ!!!
不満げな阿部を椅子にちゃんと座らせ、俺は反省を促そうと最近の阿部の態度について説教を始めた。
まず。
最近阿部の中で勝手に流行っている、ブレンドリップ。
ブレンドリップっていうのは阿部が勝手に一人で言ってる名称だ。そんな言葉はない。
最近の阿部は俺がトイレに行くと必ず後からついて来る。
そして人がいないのを見計らって深いキスをしてくるのだ。
阿部曰く、そうすることで俺の付けてるリップと阿部のリップの色とが混ざっていい感じになるのだという。
俺のリップを貸してやるから勝手に一人で混ぜてろと怒ったら、それじゃ意味がないのだと言い返してきた。
さらにある日は俺に向かって
💚この間なんて、佐久間が俺の唇見てどぎまぎしてたから、興奮しちゃったぁ
…などと戯言を言っていた。
超が付くどS変態野郎なんだよこいつは。
こんなやつとは知らずに健気にずっと片想いしている佐久間が俺は可哀想でならない。
そして。
次は柔軟剤の件。
この間佐久間にしつこく服の匂いを嗅がれた時には俺は正直生きた心地がしなかった。
💙洗濯物、俺のと一緒に洗うなって何度も言ったよな?
💚えー?だってめんどくさくない?
💙おかげでバレそうになってんだよ!!!
💚はいはい、気を付けまーす
…阿部は全く反省していない。
俺には分かる。阿部は俺が焦ったり、嫌がったりするのが大好きなのだ。
特に、俺と阿部との関係が周りにバレそうになることに非常に快感を覚えるらしい。
俺は阿部の鼻先に指を突き立て、できるだけドスの利いた声で言った。
💙いいか、亮平。佐久間にバレたら、いや、誰か一人にでもバレたら、お前とは別れてやるからな
💚え……
💙俺は本気だ。もうお前にはとことん愛想が尽きた
💚すいませんでしたっっっ!!!
阿部は真剣な表情になって、頭を下げた。
よし。
これで当分は下らない悪戯も止むだろう。
💙今日、俺はサウナに行くからお前は先に帰れ
💚えー。せっかく一緒に帰れるのに?
💙てめえ、さっきの目黒のLINE忘れたのか
💚……はーい
💙俺は外で食事も済ませるから、今日お前ん家行くのもやめとくか…
阿部が手を挙げて言った。
💚それだけは断固反対します!
💙ほんっとに譲らねえなお前は
💚だって、明日から俺、ロケ続きで1週間は会えないもん
💙…わかったよ。帰れそうならそっち行くから。じゃ、先に帰れ
💚絶対に来てよ???
阿部は目をうるうるさせながら、名残惜しそうに楽屋から出て行った。
コメント
8件
え、やばい最高😂😂
こげなもん書き始めてしもた笑。 どうですか?みんな、ノリについていけなくなっちゃうかな?😅💚💙 この連載が終わって書きたくなったら、正式な本編としてその後を書きたいと思っています🙇♂️ 感想、👍お待ちしておりまーす。
ちょっとぶっ飛んでる阿部ちゃん可愛いw