テラーノベル
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語り手:アル
オカルト部に入ってた友達から聞いた話なんだけど、まだオカルト部で活動してた時に、皆で夜の廃校へ肝試しに行ったんだって。確か、友達いれて6人かな?特にいわくつきでもないから、霊を召喚する儀式ををしたらしいの。外国のオカルト本で、意味は分からないけど挿絵が多かったから前々から試してみたかったんだって。そんな上手くいくのかなとは思ったけど、儀式は順調にできて、結局何も出てこなかったらしい。でも、もしかしたらどこか間違えて違う場所に召喚されたかもしれないから道具を片付けて探索したんだって。窓の隙間風とか物音でも楽しかったらしいよ。そういうの良いよね~。
それでね?ある程度歩き回ったけど見つけられなくて、霊を召喚なんておこがましいのかなって結論になって帰ってレポートに纏めるために解散しようとした時に最初に儀式した教室からとても小さいけど、誰とも被らない女性の声が聞こえてきたんだって。そういうのを求めてた皆は勿論喜んだけど、警備員かもしれないから少し覗くだけにしようとしたら友達の1人が中に忘れ物をしたらしくて、皆の意見を振り切ってそー…っと扉を開けて入っていったの。そしたらその子が入った後に勢い良く扉が閉まったから、あの子は警備員に捕まったんだ。近くにいたら道連れになるって皆音を立てないように扉が見えるギリギリの位置に隠れて、息を潜めて待ってたんだけど、いつまでたっても出てこない。そこまで怒られているのかって少し不安になっておそるおそる教室の前まで戻っても、何の音もしないから皆段々と心配になって、でも窓ガラスは曇って中が見えないし、どうしようかと話し合った後、ついに部長が思いっきり扉を開けたんだって。
そしたら…
なにもなかったの
その数日後に友達はこの事が原因でオカルト部を辞めたんだって聞かされた。オカルト研究なんて無駄だって気づいたんだってさ。幽霊召喚が出来なかったり、部員にいたずらされたからって事だと思うけど、ただのイタズラでまだ良かったよね。本当に幽霊がいたら怖いしって言ったら、
「本当に、なにも…なにもなかったんだよ」
って言ってたけど、そんなに霊がいないのがショックだったのかな?
語り手:アカリ
半年以上前の話、友達の家にゲームしに行ったんだ。おしゃれな家だったけど、リビングにどうみても家の雰囲気から浮いちゃってる大きな銀の金庫があった。確か、ダイヤル式だったかな。めちゃくちゃピカピカだったから手入れはされてるんだろうなとは思うけど、どうしても気になったから友達に聞いたんだ。
「あれは歴代のご先祖様の大事なものが入ってて、僕が大人になるまでお母さん達も開けちゃダメなんだって」
家によっては先祖の遺品を大事にしているとこもあるし、そういう家柄なのかなってその時はそれで納得したけど、ある日その子の家族が殺人事件に巻き込まれたとかで入院したからお見舞いに行った。友達は両親が庇ったおかげでそこまで重症ではなかったけど、その両親は…。
恐怖で震える友達は犯人の事を覚えてなくて、ただずっと金庫がどうって呟いてた。警察は親が死んだのを受け入れられないんだろうって少し時間を空ける事にしてたっぽいんだけど、なぜか私は友達は正気だと思ったんだよね。
だからその子が退院した後に、二人で金庫を開けてみることになった。事件の調査で知った番号でダイヤルを回して、中には何が入ってるのかな、金銀財宝かな。なんて話しながら開けた中身は、想像を超えてきた。
人の、生首が入ってたんだ。何十人もの生首が。
友達の両親の首も、一番手前に入ってた。奥の方は骨になってたりしたけど、確かにご先祖様の大事な首が入っていた。扉を閉めて、私は逃げる様に帰って、部屋に鍵をかけた。軽い気持ちで開けてしまったけど、中身を知ったことで私も狙われてしまうんじゃないか。口封じとして、あそこに並べられるかもしれない。そう思ったけど、私は無事だった。こうして他の人に話しても何も起きない。
ただ、その日以降友達は行方不明になって、あの金庫は親戚が持って行った。
もしかしたら、あの友達も…
語り手:ソラ
結構前の話だけど、クラスメイトがカガミを拾ったって話した。それは大人くらい大きくて、装飾が豪華だっていうから皆が見たいって言ったんだけど、「カガミが壊れちゃうからだめ」って断ってた。確かに割れ物だけど、触ったりしなければ平気なんじゃないかって疑問におもった。
でもある日、僕と友達で話してたらその子がやってきて「2人は大人しいから大丈夫そう」ってカガミを見せてもらえる事になったんだ。その子の家は通りで綺麗な鏡があるわけだと納得できるくらいには豪邸だったんだ。大事なものだから地下に保管してるらしく、殺風景で不気味な地下へ降りて…あぁそうそう、扉を開ける前にその子は僕らに一つ約束させた。何があっても、それに鏡以外の接し方をしないこと。鏡に接し方があるかはわからないけど、了承した。
扉の向こうには確かにカガミは「居た」。でもそれは僕らの思っていた顔を映すための鏡じゃない。檻の中で、鎖に繋がれ、口を縫い付け目を固定された「人」だった。僕らが唖然としているとその子は檻に入って「ほら、大きくて綺麗でしょ?」と問いかけてきた。確かに鎖も固定器具も宝石の様に光っているし、冠やネックレスなどの装飾品もついてる。しかも体格も良い。「確かに、言った通りのカガミだね」友達はカガミについてるボロボロの名札を見ながらそう言った。名札には会社名が塗りつぶされ、「加賀見」とだけ書かれている。僕らは良いモノをみたと真っ赤な嘘をつき、地下室から離れた。
帰ってから気付いたんだけどさ、あの子は一度も嘘をついてなかった。拾った話をしたのが見せてもらう一週間前。鏡以外の接し方をしそうなクラスメイトに見せると恐怖したり憐れんだりして加賀見さんの心を折っちゃうし、なにより通報される。カガミを拾ったで勘違いしてた僕らも悪いんじゃないかって、思うんだ。今でもその子は元気に登校して、たまに僕らにカガミの現状を話してくる。
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