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季節が変わった。
秋雨の優しい音に目を覚ますと、ひとりベッドの上にいた。
jpはキッチンにいるようで、美味しそうな匂いが寝室まで漂ってきて鼻をくすぐる。
覗き込むと、菜箸を持ったjpが不恰好な姿勢で真剣に卵焼きをつついていた。
「tt!おはよ!」
「おはよ…何しとるん?」
「お弁当!ほら」
jpが手にとって見せてきたのは、野菜と唐揚げがつめられた弁当箱だった。
「jpが作ったん?」
「うん!唐揚げは冷食だけどね笑。 最後の日は作ってあげようって決めてたんだ。 挨拶とか引き継ぎ終わったら俺そっち行くからさ、一緒にどこかで食べようよ」
「…ええな、それ」
出勤したttは上司の元へ行き、最後の挨拶をした。
jpと二人で大泣きした次の日、会社に退職願を提出していたのだ。
もう片時も離れたくないから、二人で決めた。
無責任かもしれない。
そう目を伏せたttの頬に、珍しく少し怒ったような顔のjpが両手を添えた。
「ttは自分のことを考えなさすぎ。 俺の大事なttだよ、もっと大事にしてよ」
「…jp…」
「ずっと誰かのために生きてきたttを俺は知ってるよ。…逃げたいときは逃げても良いんだ。大丈夫、俺がすぐに見つけるよ」ニコ
jpがシェアハウスから逃げ出したどしゃぶりのあの日を思い出した。
黄色の小さな傘の下、二人で肩を濡らした帰り道。
俺がjpに言った言葉。
あの時のお前も、こんな気持ちだったんだな。
繊細で優しすぎて思い詰めて、俺に心配ばかりかけてたお前。
…強くなったんだな。
引き継ぎや書類整理などすべてを終わらせて社員証を返却し、会社を出た。
指定の場所はあの公園の東屋だった。
ベンチに腰かけたjpがこちらに手を振っている。
その無邪気な笑顔に目を細めたところで、jpが指をさした。
「…tt!うしろ見て!」
「え?」
「…」
「「…虹」」