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如月 久柚⌛🍊最近復活(?)
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유키에
13
#名探偵コナン
SUMIRE*🖤🌸
996
夕立が激しくアスファルトを叩きつけ、薄暗い空を飛び交うカラスの群れが、急速に広がる街の影へと飲み込まれていく。
土の匂いと雨の匂いが混ざり合う中、僕は一人、車のダッシュボードに置かれた古いスマートフォンを見つめていた。画面はとっくに暗転したままで、もう二度と、あいつらの名前が灯ることはない。
不意に、耳の奥で切なく跳ねるような、どこか懐かしい和風のメロディが鳴り響く。トボトボと歩くような寂しいテンポ。それは僕の心の中にずっと住み着いている、あいつらと過ごした季節の音だった。
――かみさまは覚えてますか。僕の声が聞こえますか。
僕にとっての「かみさま」は、あの日、あの桜の下で確かに生きていた。僕の手を引いて暗闇から連れ出してくれたヒロ。不敵に笑って世界の理を解体してみせた松田。いつも誰かの帰りを待つように、優しく、けれど危うく笑っていたあいつらは、僕の歪んだ世界の中心にいた、不器用な神様たちだった。生きたいな、強くならなくちゃ。そう思うたびに、あいつらの笑顔が胸を焦がす。
――行かなくちゃ、ぼくのかみさま。
胸の奥がぎゅっと縮む。かみさまが大好きでした。心から、あの五人の時間が愛おしかった。あいつらは22歳のまま、永遠に時を止めてしまった。彼らの年齢を追い越して「大人」になってしまった僕の中に、あの頃のまま泣きじゃくっている子供の僕がまだいる。
置いていかれた僕は、いつだって、また貴方に会いに行きたいと願ってしまうんだ。胸のポケットに忍ばせた、傷だらけのスマートフォンと、一つの警察学校の徽章。ありがとね、大事にするね。そう呟いてそっと指先で触れる。しばらくは、いや、きっとこの命が尽きるまでは、ずっと寂しいままなのだろう。
ふと、視界が白くぼやけた。雨のせいじゃない。あの日、観覧車から立ち上った黒い煙や、あのビルの屋上で胸を焦がした銃撃の硝煙が、今でも僕の目に深く染み付いているからだ。見えないね、煙が染みて。夜が来る前に、あいつらはみんな「さよなら」も言わずに消えてしまった。本当は、言わなくちゃいけなかったんだ。ほら、ちゃんと絞り出すように、言葉にして。
僕は、お前たちが思っているほど強くない。バーボンとして冷酷にもなれず、安室透として笑っていても、中身はただの寂しがり屋のままだ。だから、僕を見失わないように、そっちから狼煙をあげてくれよ。
忘れないから、ずっと見届けていてくれよ。降り続く夕立の中、静かに車のドアを開けて外へ出る。濡れた髪が額に張り付くのも構わず、僕は誰もいない雨の街を見渡した。
さよならだ、ぼくのかみさま。あいつらのいない世界で、僕は今日も生きている。僕が命を懸けて守り抜いたこの国の景色を、綺麗になったこの街を、貴方にはもっと見せたかったけれど。……仕方がないね。
雨が上がり、雲の隙間から細い月が顔を出す。わかっている。ここから先の帰りは、ずっと一人だ。誰も僕の隣を歩いてはくれないし、怒ってくれる班長も、からかってくる松田も萩原も、優しく名前を呼んでくれるヒロもいない。これからは、貴方の歌を歌う。お前たちが遺していった正義を、その生き様を、僕がこの命を楽器にして、世界に響かせ続ける。僕はコートの襟を立て、前を向いて歩き出す。
いつか、僕のすべての役目が終わるその日まで。
「僕はまた、会いに行くよ」
カツン、と、一人の足音が静かに夜へと消えていった。
コメント
1件
切なくて美しい物語でした。雨と記憶の重なり方が心に沁みます。「かみさま」という呼称が、失った人々への敬愛と永遠の別れを象徴していて、特に胸を打たれました。警察学校の徽章やスマホが、彼の孤独と決意を静かに物語っている。第1話なのに、もうずっと前から続いてきた物語のような奥行きを感じます。続きがとても気になります。素敵な作品をありがとうございます。