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任務、完了。 急いで帰宅する。 卒業式には行かない。 そう、心に決めたのに。
なぜか、急いでしまう。 自分の心理を不思議に思いながら帰宅した。
嫌五「遅い!!」 太陽「なんでいるんだ!?嫌五。」 嫌五「お前を卒業式に連れていくために決まってんだろーが!!」
頭から流れる血をポンポンと綿で拭き取られ、あっという間に服も変わる。
嫌五「よっし、行くぞ!!」 太陽「えっ、待っ…!」
待つ気はさらさらないらしい。俺はされるがままに学校へと引っ張られて行った。
六美「太陽!遅いよ!」
舞台を見ると、卒業証書を受け取っている。俺は朝野だから、もう終わってしまっただろう。嬉しくもあるし、ほんの少し、残念だった。凶一郎兄さんが名前を呼んでいる。「一応」教頭だからな…
凶一郎「夜桜六美。(♡)」 語尾の♡は無視しよう、きっと勘違いだ、絶対に。 六美「はい。」
もう一度、返事を聞きたいと思った。彼女だけが、六美だけが持つ、不思議とよく通る、澄んだ声が。
凶一郎「夜桜太陽。」えっ、俺? 太陽「はっ、はいっ!」
モブ「え、夜桜太陽?」 モブ「学園のマドンナの…」 モブ「六美ちゃんの苗字じゃない?」
モブ「ま、二人お似合いだしいっか。」
良くないだろとツッコミながら、凶一郎兄さんに旧姓で呼ばれたことはあるが、夜桜姓で呼ばれたことがないことに今更気付く。壇上に上がる。鼓動がバクバクと五月蠅い。
モブ「えっ、なにあれwww」 モブ「やっば、厨二病じゃんwww」 モブ「隠せよwww」 モブ「生きるの辛くねー?」
やっぱり。だから、来たくなかったのに。奥歯をギリッと噛む。
凶一郎「おめでとう。」そう言って渡される、卒業証書の軽さに驚きながら、段を降りる。足取りが重い。息が苦しい。
太陽「ハァッ、ハァッ、」 だめだ、これ。息苦しい。 なんとか会場を抜け出し、トイレの個室に駆け込む。
ずるずるとトイレの壁にもたれかかると、急な吐き気に襲われた。
太陽「お”ぇ、う”、ぅう”、お”ぇ、」 胃の中身を全て吐きだし、トイレから出る。
嫌五「大丈夫か!?」 みんなが駆け寄ってきた。 六美までもが居る。
太陽「別に…」 嫌五が顔を覗き込もうと身を乗り出した。 太陽「見んな!!」 嫌五の体が驚いたように震える。
六美「…えっ?」 太陽「どうせ、キモいとか言うんでしょ?」 六美「そっ、そんなことっ!」
太陽「下品だとか、不愉快だとか、言うんでしょ?」 凶一郎「言う訳ないだろう。」
太陽「嘘だ…!嘘に決まってる…!」
俺は、優しいはずの皆が怖かった。 俺のことを、嘲笑ってるみたいで。 からかってるみたいで。
キリ悪いけどここで一旦…