もういつからここにいるのだろうか
最初は足掻いた抵抗した
でも今ではそれもやめた
長くここにいすぎてもうどうでも良くなったんだ
今日も考えるんだ…
「
この世界ではみんなに異能がある
中学校に入学したと同時にその力は与えられる
分身や色コピー、飛行、インク生成
人によっては泥に潜ったり引き摺り込んだり
まあ色んな能力を持っている人がいる
攻撃に特化した物も有れば回復に特化した物もある戦闘向きではない物もある
私はこれと言った異能を今は持っていない
元は武器の生成ができた
まあ、一応色々生成できた
だけど流石にその能力を使ってしまうと大きな代償がある
腹痛、頭痛吐き気などなど
だから滅多に使わなかった
だけど今ではキーホルダーの鎌を大きくする
ただそれだけ
物理攻撃タイプだ
ただ、今の私には普通に重たいし非力な私には使いこなせなくなってしまった
異能を吸い取られてしまったからだ
少しでも武器を使えるのが唯一の救いかもしれない
この世界の説明はこれくらいでいい
この物語の大まかな内容を説明しようじゃないか
この物語はフィクションだ
実際に存在する人に一切関係ない…
はず
この物語はのんと言う少女が自分のクローン体に捕まるお話
クローン体は作らないと出来ないはず
じゃあそれは誰が作ったかって?
それは…
隱ー繧ょ?縺九i縺ェ縺
ここで真相を言ってしまえばつまらない
まあ、話を戻そう
少女はクローンに捕まった後どうなったかって?
捕まえてやる気となんて高が知れているだろう
監禁もしくは実験だ
実験でできたクローンが実験を一人でするとは思えない
しかも何にも興味関心がないやつのクローン体だ
てことはただ一つに絞られた 」
とか痛いことを考えながら今日も自分の今起こっていることを物語風に説明する
間違えた事は言っていない
この世に異能がある事も嘘には当たらない
クローンに捕まっていることだって
お気に入りだったパーカーもボロボロに
もう何日もご飯を食べていない
何時間前?
何日前?
何週間前?
下手したら何ヶ月、何年前?
そんなことも分からなくなるくらい汚く薄暗い部屋に閉じ込められている
何日も何日も誰とも話していない
いや、昨日話したか?
クローン体の自分と
そう考えながら天井をみる
そうすると急に
ガチャ
と音が鳴りクローン体が部屋に入ってくる
「なんだお前かよ」
私は少し期待をしているのだろうか
もしかしたら誰かが助けに来てくれるのではないかと
「お前って私しかこの家にはいないでしょ、それとも何?助けでも呼んだの?」
呼べる訳ないだろ
呼ぶ手段が無いのだから
スマホもパソコンもタブレットも外部に情報を発信できる物は全て置いていない
暇つぶし程度の漫画が何十冊も置いてあるだけだ
「てか、何しに来たの?君が部屋に来るなんて久しぶりだね」
曖昧な記憶でそう言う
「久しぶりって昨日も来たじゃん忘れたのかい?」
そうだったか分からない
「なんなら毎日水を届けに来てるじゃないか」
昨日も来たかは覚えていない
何も喋らず考えていると
「まあそんな事はどうでもいいんだよ、君にとっては久しぶりの食事だよ」
「久しぶりだった?一昨日くらいに食べたような」
何もなさすぎて全く日付感覚が狂っている
「一昨日?君が最後に固形物を口にしたのは2週間前だよ。ずっと水だけだっただろ?」
人間がそこまで食べないでも生きていける事に驚きだ
「人間って何も食べないでもそこまで生きれるんや」
なんとなく聞いてみた
「水と睡眠があれば2〜3週間は生きれるらしいよ。水なかったら4、5日らしいけどね」
「へー」と興味なさそうな返事をしておいた
「聞いてきたくせに興味なさそーですね。まあおかずはないから白米だけどね」
「んー別にいらんこのまま餓死する事にしよーかな」
なんだろう、今気を遣われたりしたら泣く気がする
だから強がって…
そうするとアイツも呆れた表情で
「誰が餓死させるかよ馬鹿が」
そう言ってあいつは私の口にご飯を入れてきた
なんで、なんで涙が出てくるの…
「どーしたの?って泣いてんの?」
そう聞かれ、涙を拭いながら「泣いてない」と嘘をつく
我ながら説得力がなさすぎる
「いや、どう考えても…」
言葉を遮るように
「私嘘つかないしね〜もうさっさと出て行ってよ」
アイツは何も返さない。返事をしない
少し離れていた距離を縮め、私に近づいてくる
そして優しく包み込むように私を抱き締める
抗う、狭い部屋の中で逃げようとする
「ちょ、離して」
咄嗟にそう言う
アイツは「なんか本気で死にそうな雰囲気してたからさ〜」と言って私を離す
「死んでやってもいいよ」
そう返す
「死なれたら困るな〜私がずっと君のふりをしていかなきゃなんでしょ?」
「別に死んだ事にしてて良いよ」
「流石にそれは良く無いと思うんだよ〜」
「なんでだよ、私の意志で死ぬことはできるけどね」
「まあ君が死のうとしてもすぐ気付けるんだけどね〜」
とかヘラヘラしながらアイツが言う
それくらい知っている
部屋で死のうとしても音が鳴る
カメラが付いているからそう言う行動が見られたら音が鳴る
私が嫌いな大きい音
一度だけ死のうとした時に知った
どれくらいうるさかったかなんてもう覚えていないけど、とてつもなくうるさかったことだけ嫌なほどに覚えてる
何も言い返せずにあいつを見詰める
そうするとあいつが
「部屋から出ない限り死ぬことはできないと思うよ〜それじゃ私はこれで」
あいつが部屋から出て行った
「出る事もできないだろ…内側から開けるのにも鍵が必要なんだし」
内側から開けるにはカードキーが必要でしかも4桁パスワードが必要だ
4桁パスワードはまあ想像できる
それにしても
クローン体も消えより暇になった
ふと、部屋を見渡す
荒れた部屋、落ちている漫画や紙
「暇だから片付けよ」
いつもは片付けない私が部屋を片付ける
「ん、なにこれ」
ガラクタの山の中からカードの様な物が出てきた
「部屋の鍵だったりして…んなわけないか…でも試す価値はあるよな…」
なんて考えてるとクローン体が部屋に入ってきた
「おい」と声を掛けられ咄嗟にカードを隠す
「うわ、なに?ビビった〜心臓止まるかと思った。まあ本望ですけどね〜」
「止まんな勝手に。それよりどっか行こうと思うんだけどなんかいる?」
「特になにも〜」
今があのカードを試すチャンスかもしれない
「じゃあ行かないでもいっか、」
家を空けてもらわないと鍵を試せないし、
「え?なんでよ」
「行く意味が無いから。」
「行ってよ〜お願い」
「家を空けてほしいのかよ。だって買うもんないんやし」
じゃあ買う物を作るか、欲しいものないしな
「んーじゃあ絵の具買ってきて久しぶりにアクリル絵の具でなんか描きたい」
「えー怪し、まあ出ることも死ぬ事も出来ないからいいや」
「そーだそーだ鍵ないと出られないし死ねないんやぞー」
「はいはい、んじゃ行ってくるよ」
クローン体が家から出て行き数分だけ部屋を片付ける
「試してみるか…」
カードを当てる
『4桁番号を入力してください』
これカードキーであってたんや…
「4桁番号は確か「0718」だった気がする」
ガチャとドアの鍵が解除される
「合ってるんや、作った人単純やな。まあ大いに想像出来るけど」
玄関の鍵は普通にこちらから開けられる
「セキュリティがばがばやな…」
久しぶりの外はだいぶ寒かった
何処かへ行こうとも考えたが此処がどこかも分からない
もうどうでも良くなった。よし、死のう
「こんなに寒いならあそこでも死ねるんじゃ…」
曖昧な記憶を頼りに”あの人”との思い出の場所へ向かう…
後編に続く…
コメント
8件
まじで始まり方がよかった! てか文才ありすぎ リクエストに応えてくれてありがとう
いいねぇー。 めっちゃええやないですか。 ちーさんこの物語好き MKが出てきた時は吹き出したわ てぅの能力って入手方法とか細かい設定あったんやな ちーさん的にはもうちょっと監禁されててもよかったかな。 クローンのんさんが虐めてほしい。