テラーノベル
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肉を裂く鈍い音が響き、崩れ落ちたのは、朝原卓だった。
「卓……っ!?」
勇一が驚愕に目を見開く。フードを被った男・亀井輝道の銃口から立ち上る硝煙。輝道は「勇一を殺せ」という卓の命令を無視し、あろうことか依頼主である卓の胸を撃ち抜いたのだ。卓は床に倒れ込み、胸を染める鮮血を押さえながら、信じられないという目で輝道を見上げた。
「輝道……お前、なぜ……」
(……浅い。出血は多いが、致命傷となる大動脈を完全に避けている!)輝道の神業とも言える弾道に驚愕しながらも、勇一の脳裏には、それ以上の激しい「違和感」が渦巻いていた。刑事として数々の修羅場をくぐり抜けてきた勇一の目が、輝道が懐に収めた「銃の形」を捉えていた。(……サクラ。それも、日本の警察が限られた捜査員にのみ支給する, あの型か……?)いや、それだけではない。銃の構え方、引き金を引く直前のわずかな左肩の癖、そして銃のグリップに巻かれた、滑り止めの独特な巻き方。それは、勇一自身が自分の銃に施しているものと、完全に「同じ」だった。幼い頃、家庭の事情で離れ離れになり、戸籍上からも消え去った実の弟の記憶が、濁流のように勇一の頭に流れ込んでくる。
「おい……お前、まさか……輝道なのか!?」
輝道は最初から知っていたのだ。自分が裏社会で監視し、今回殺害を命じられたターゲットが、実の兄である高橋勇一だということを。だからこそ、輝道は卓の命令に背いた。しかし、兄に自分の正体を明かせば、正義感の強い兄は自分をも逮捕せざるを得なくなる。輝道は、兄の手を汚させず、かつ自分という犯罪者が兄の前に現れた証拠を消すために、あえて卓を撃って動けなくし、この場を混沌に陥れたのだ。「高橋勇一。お前が命をかけて追った男だ。生かすも殺すも、あとは警察の仕事だろ」輝道がそう呟いた瞬間、部室の窓ガラスが激しく割れた。輝道は迷うことなく、豪雨が吹き荒れる暗闇の夜空へと身を投げ出した。現役の刑事である勇一ですら追うことを躊躇うほどの、完璧な闇への逃走。
「待て! 輝道ーーーっ!!」
勇一の叫びは、激しい雨音にかき消された。
「……ハハ、手際が悪いな、勇一……早く手錠を、かけろよ……」
卓が苦痛に顔を歪めながら、自嘲気味に笑う。
「ああ、連行する。……俺たちの、10年分の話をすべて聞き終えるまでは、絶対に死なせないからな」
激しく踏み荒らされた部室のドアが、突入班によって破られた。眩いフラッシュライトの光が、10年の闇に包まれていた二人の男を、白日の下に照らし出していった。
コメント
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第4話、一気に読んだわ…! まさか輝道が勇一の実の弟だったなんて、完全に持ってかれた。弾道の精度とかグリップの巻き方でバレる伏線、めっちゃ熱い。兄を汚さないために卓を撃った輝道の覚悟も、刑事として10年ぶりの再会を悟った勇一の心情も、どっちも胸に来た。戦闘描写の解像度高くて刺さるわ、続きが気になりすぎる🔥