テラーノベル
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翌朝。
ギルドの大広間に、一人の伝令が駆け込んできた。
「緊急だ! 北方国境にて王国軍と帝国軍の小競り合いが勃発した!」
場が一瞬で騒然となる。
「戦争か……」「いや、まだ小規模な衝突のはずだ……」
ギルド長マルケスが眉をひそめる。
「……だが、この街も無関係では済まぬだろう」
リオがユウに小声で囁いた。
「ユウ……いよいよデカい戦に巻き込まれそうだな」
ユウは静かに答える。
「剣は避けられぬ。なら、俺は剣で道を切り拓く」
数日後、訓練場に集まったユウたち。
リオが興奮気味に剣を振るう。
「なぁ、俺たちもいずれ戦場に立つんだよな! だったら強くならなきゃ!」
レオンが震える声で反論する。
「でも……戦争なんて、死ぬかもしれないんだぞ……!」
ミラは弓を引き絞りながら冷たく言い放つ。
「だからこそ、生き残る力を身につけるのよ。……私みたいに、逃げられない過去を持たないために」
ユウは黙って剣を抜き、静かに構える。
「なら、ここで確かめよう。生き残れる力を」
四人は即席の模擬戦を始めた。
リオが雄叫びを上げて突撃し、レオンは怯えながらも盾を構え、ミラが冷静に矢を放つ。
ユウはその全てを受け止め、かわし、そして指摘する。
「リオ、勢いはいいが隙が大きい」
「チッ、やっぱバレるか!」
「レオン、防御は悪くない。だが恐怖に飲まれるな。盾は守るだけじゃない、攻めに転じろ」
「……っ! 分かった!」
「ミラ、矢は正確だ。だが、仲間の動きと合わせろ」
「……了解」
剣戟と矢の音が響く中、ユウは仲間たちを導くように戦う。
最後にリオが剣を振り下ろした瞬間、ユウは軽やかに受け止め、彼の喉元へ刃を突きつけた。
「勝敗は……俺だな」
仲間たちは息を切らし、だが悔しそうに笑った。
リオが拳を握る。
「クソッ……でも、ちょっと分かった気がするぜ」
レオンも頷く。
「戦うって、怖いけど……仲間がいるなら、少しは前を向ける」
ミラが小さく微笑む。
「……こうして成長していけるなら、きっと戦場でも負けない」
ユウは剣を鞘に収め、静かに呟いた。
「剣は生きるためにある。戦うなら、その意味を忘れるな」
その夜。
街の酒場では、兵士たちが酒を煽りながら噂を交わしていた。
「帝国軍が進軍を始めたらしい……」
「王国は徴兵を強めてるそうだ」
ユウたちが帰路につく途中、鎧に身を包んだ王国兵が広場で民衆を集めていた。
「国のため剣を取る者を募る! 若き者たちよ、王国の盾となれ!」
リオが歯を食いしばる。
「……ユウ、俺たちも志願すべきか?」
レオンが怯えた目を向ける。
「でも、それは……死ぬ覚悟をするってことじゃ……」
ミラは沈黙していたが、強く拳を握っていた。
ユウはしばし夜空を見上げ、答える。
「……いずれ、戦場は俺たちを飲み込む。なら、選ぶのは今じゃなくていい。だが、備えておく必要はある」
その頃。
遠い王城の奥。
「北方国境での小競り合いは計画通り……」
「だが、例の少年の存在は想定外だ」
黒衣の影たちが、ユウの名を口にする。
「“剣王の資質”を持つ者……いずれ王国か帝国、どちらかに加われば均衡は崩れる」
「ならば早めに……潰すべきだ」
暗闇の奥で、炎のような瞳が静かに輝いた。
「面白い……少年が剣を極めるのが先か、戦乱が世界を焼き尽くすのが先か……見物だな」
夜更け。
ユウは一人、剣を握り星空の下に立っていた。
(戦乱が迫る……だが、俺は恐れない。剣を振るう意味を、必ず見つけてみせる)
星々は静かに瞬き、少年たちの運命を照らしていた。
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