同棲rp しあわせなせいかつのはなし
「……ふう、」
時刻は丑三つ時。息をついて、コンピュータの画面を閉じた。軽く終わらせるつもりで始めた作業がかなり長引いてしまい、絶妙な怠さが身体にのしかかる。職業柄あまりこういったことは珍しくないのだが、恋人であるぺいんとと住み始めてからは少し気にするようになっていた。出来ることなら毎日一緒に眠りたい、と、あまり自分らしからぬ考えるようになったのだ。女々しいかもしれないが、人間は恋をすると愚かになるものだ。仕方あるまい。眠っている彼を起こさないよう、ゆっくりと寝室へと向かいながらそんな浮ついた事を考えていた。
「あ、おつかれさまあ…」
舌足らずなその声を聞いて、彼の眠気がかなり限り限りであることを察した。わざわざ起きていてくれたのだろうか、いや、勘違いかもしれないが、踊る心を抑える術がなかった。横向きで寝転んだ彼の隣へと入り、そのまま腹の前に手を回す。一緒に暮らし始めてすぐの頃はこれだけでも心臓が五月蝿くて睡眠どころではなかったものの、今やこうやって二人で眠ることが当たり前になっていた。彼の頭へと顔を寄せ、空気を吸い込む。彼の匂いを乗せたその空気が鼻腔を通り、肺がなんとも形容しがたい充足感で満ちていくのを感じて、身体の怠さが解けていく。ぺいんとはお天道様にも愛されているのか、陽の光の下にいるような穏やかな気持ちになるのだ。シャンプーもボディーソープも柔軟剤も同じものを使っているというのに、どうしてこんなにも特別に思うのだろうか。
「もお、なに」
何度か吸って吐いてを繰り返していると、それまで大人しかったぺいんとがこちらへ振り返った。少し執拗かったか、と思ったが、どうやら杞憂だったようで。
「んーん、いい匂いだなって」
「くすぐったいよ」
そう言ってへなりと笑う。柔らかなその表情は、俺の一番好きなものだ。たまらずその身体を抱き寄せ、もっと近付いてみせる。すると、彼の腹側へ回した俺の指が絡め取られた。緩く繋がれた彼の指ですりすりと肌を撫でられる。呼応するように自分も同じようにしてみると、小さな笑い声が耳に届いた。真夜中だというのに、腕の中の彼は陽だまりみたいに優しい。
ああ、幸せだ。触れ合ったところから段々と体温が上がっていくのを感じる。太陽を抱き締めているような気がした。あたたかい何かが俺のこころの芯までをも支配していく。微睡みながら体温を分け合うこんな時間をこれからも大切に噛み締めていきたいなんて、格好付けた台詞が頭を過った。生活の中にありふれた当たり前が鮮やかに色付く。こんなにも特別な気持ちになるのは紛れもなく、ぺいんとと一緒だからで。こんな事、君に話したら笑われるだろうか。それでも彼も同じ気持ちでいてほしいと思うのは我儘だろうか。構わない。今はただ、ここにある事実が愛おしかった。
目の前からは規則正しい寝息が聞こえてくる。彼のまあるい後頭部にキスを落とし、自分も目を閉じた。翌朝、腕の中で目覚める彼のことを想いながら。
おひさまみたいな匂いがするpはかわいいとおもう
コメント
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あったかrdpn素敵すぎます....幸せなそうな推したちが1番好きだ、、