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「はい!」

ディ、ディナー…。

ディナーって難しい作法?ってのがあるやつだよね…。

でも、やったことないし

猫の業界ってのがあるんだけど、そこでは手で食べる。だけど、人間はどうやら違う

世間知らずのノワールがそれを知ったのは森の中で散歩していた時に、人間たちの食事を見たからだ

猫たちの食べ方と、人間たちの食べ方じゃ間違いなく違う

それを眺めていたノワールは難しそうだなという、なんともバカみたいな感想だった

その、バカみたいな感想で難しいということを覚えていた

そんなことを考えていると、ガチャと部屋の奥のドアが開いた

白い服をきたおじさん?がドアに入る前に一礼をして「失礼しますか」と言い中に入る

次々と女の人も、男の人も入ってきて、手に料理?皿を持ち、運んでいく

最初に入ってきたおじさんが僕たちの横にきて「まずは、前菜から」と言い喋っていくが、ノワールには難しすぎて頭に入ってこない

と、とりあえず!食べれるということだよね!

ワクワク!ドキドキ!

そして、最後に

「ノワール様」

「はい!」

ま、まさか呼ばれるとは…。

「初めての夜で緊張されていると思いますが、お食事だけは楽しくお召し上がりください」と笑顔で言われた

ノワールにはこんな暖かい言葉をかけられたことがなかったので「はい」と涙ぐみながら言った

もしかしたら、涙が出ていたかもしれない…。

すると、僕の感情とは裏腹にリード様が冷たく言う

「おい、あとで俺の部屋に来い」

「リード様…」と白いおじさんが悲しそうに言う

リード様はそのおじさんの悲しそうな顔に気づかず「早く出てけ」と心無い言葉をおじさんに投げかけた

「了解しました」と一礼をして、すぐさま出ていってしまった

帰っていくおじさんたちを見つめていると、横目でいつの間にやらお皿は隣のテーブルに置いてあった

あっ……。最後にお礼だけでも言いたかったな

優しいおじさん……。

あのおじさんの言葉でちょっと、心が軽くなった

おじさんの言う通り、楽しもう

そう考えていたら「おい!食べるぞ」

「あっ!はい」

びっくりしたと思いながら、お皿を見ると、見た事のあるものがあった

ん~っと!ホークだ!

トゲトゲ?してて、僕も使いやすかったやつ!

それを手に取り、前菜のサラダを食べ始めた

その後、会話はなく、淡々と進んでいく

リード様…。怒ってるのかな…。

などと考えているとリード様が口を開いた

「ノワールは…いや、なんでもない」

ん?なんだろ…。

気になって、気になってしまって「なんですか?」と聞いてしまった

「いや…そのな、惚れたか?」

「だ、誰にです?」

「シェフに…」と恥ずかしそうに言う

え?シェフ?

優しいとは思ったけど、歳も離れているし…。

「いいえ!優しいですけど、歳が離れているので…なんとも言えないですね」

「そうか!なら…」

最後の部分は聞こえなかったけど、リード様が安心したようで良かった

獣人黒猫は冷徹な王の愛に溺れる

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