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第四話
ポシェットが揺れているのに気がついた。
私はすぐさまポシェットから卵を取り出して動いている卵を見学した。
でも、段々殻を叩く音が小さくなっていく。
まずい。このままだったらここで死んでしまう。
私は卵のひびから指を突っ込んで手伝った。意外にも殻が厚くて硬い。
私は指が真っ赤になりながらも一生懸命に向き合った。
「マリー。ここに…って!孵化するのか?」とカールさんが近くへ寄ってきた。
「殻の叩く音が小さいから手伝っているんです」と私は一つも目を離さずに向き合った。
「それより怪我を…」と私が手伝うのを止めようとするカールさんを私は「これで、一つの命が救えるなら容易いものです」と止めた。
そしてついに龍の子が生まれた。
「キュー、キュー」と小さな体から声を出している姿はとても可愛らしかった。
私はすかさず家畜と同じように餌と排泄の世話をした。カールさんは目を丸くして見ている。
「あ、布あった方がいいよね。ちょっとユッタさんに頼んでみるよ」とカールさんはユッタさんを呼びに行ってくれた。
私は何を食べるのだろうと思ったら雑草を食べ始めたので草食で良かったと安堵した。
クショクショの羽に、足は小さくて手も小さい。尻尾も指一本分も無い。
カールさんはユッタさんと…なぜかゴッドフリードさんもきた。
「指の怪我は手当てしますが、龍はどうしましょうか…」とユッタさんが困り果てている。
龍の子はしゃがんでいる私の足を頭でスリスリしているので私は可愛いと思わず呟いてしまう。
「龍は雑食だ。というか、どうやって孵化させた?」とゴッドフリードさんが私に詰め寄った。
私は思わず圧に負けてのけぞってしまって手をついた。
手は傷だらけなので痛かった。
「あ、師匠。圧が強いですよ」とカールさんが言うと「すまん、すまん」とにこやかに言った。
ん?カールさんがゴッドフリードさんの弟子?
どこがどうなっているの?
「あ、まず先に紹介するよ。僕の師匠だ」とカールさんがゴッドフリードさんの事を紹介した。
私は立ち上がって「ゴッドフリード様。私が夜風を浴びながら子守唄を歌ったら急に…」と言った所で「ゲッツさんでいい。それにしても、子守唄か…試しに歌ってみろ」と言われた。
私は頷いてお母さんが歌ってくれていた子守唄を歌った。
「…上手いね。圧巻されちゃったよ」とカールさんが目を丸くしている。
「声がいいですね。私もこう見えて前まで音楽を専攻していたんですよ」とユッタさんが微笑んでいる。
その中で険しい顔をしているゴッド…ゲッツさんは「お前さんの名前は…マリーといったな。家族に魔法使いは?」と真剣な眼差しを私に向けた。
「いえ。少なくとも私の曽祖父…いや高祖父や高祖母までは居ないと思います」とはっきり言った。
なぜなら、私の祖父と祖母が口を揃えて魔力をもった人は自分の祖母や祖父には居ないと言い切ったからだ。でもそれは父方の方だったので母方は分からない。
「それは誰から聞いたのだ?」
「父方の祖母や祖父から絶対に居ないと言われてたので…でも、母方の方は全く。母は私の故郷から遠い町で育ったので会ったこともありません」と首を横に振って俯いた。
「マリー。その子守唄は誰からだ?」
「母がよく小さな頃に歌ってくれたので、よく覚えています…って!」と私もハッとした。
お母さんはもしかしたら魔法使いの家系なのかも…でも、裕福とは言い難いといってたな…
「マリーの母はどこにいるのだ?」とゲッツさんは私にまた問い詰めた。
「母は…母は…」と言っていう内に過呼吸になって倒れてしまったみたいだ。
❃
「おやすみ、愛しい君、星が夜空にきらめいて、静かな夢の国へ、君をそっと連れて行く。
眠れ、眠れ、小さな天使、月の光が君を包む、優しい風が耳元で、そっと囁く夢の調べ。
海の波が静かに揺れて、森の小鳥がさえずる、君の眠るそのそばで、世界が優しく微笑む。
眠れ、眠れ、小さな天使、星の輝きが君を守る、穏やかな夜の静けさが、夢の中へと君をいざなう。
おやすみ、愛しい君、朝が来るまで夢の中、心地よい安らぎの中で、君が幸せに眠りますように」
と私のそばで添い寝してくれるお母さんが歌ってくれる。
確か題名は…星と月の小夜曲だった気がする。
お母さん…どこにいるの…
❃
「…っは!」と私は飛び起きた。
「ようやく起きましたね」とユッタさんは私の事をほっとした目で見る。
私は窓から外の太陽を見てもう授業が始まっていると分かった。
「そう焦らないでください。私から担当の先生へ伝えときましたから」と私の帽子とローブを受け取った。
手は包帯がグルグル巻だった。
「あの、龍の子とか殻とかは…」部屋を見渡したけど全く分からない。
「ここで寝ていますよ。殻はこちらに。授業中は見ているので、午後の授業が終わったら受け取りに来てください」と傷を気にして準備をしている私の事を訳ありだと気づいて長い目で見てくれていた。
手当てはされたと言っても結構深いので痛い。
私は礼を言うと教室へ行った。
気まずい空気を恐る恐る入って席に座った。
「大丈夫?倒れたって聞いたけど…」とトレバーが心配そうに話しかけてきた。
「うん。もう大丈夫だよ」と微笑んだ。
「無理はしないでね」と言ってからノートを書き始めた。
私も少し遅れたので追いつけるように頑張って書いた。