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スタートと言われた瞬間、
車は動いた!
「おっと、先に先頭に立ったのは、
GTRだ!そしてスープラは、遅れを
とっている!」
「遅いじゃないか銀。本気出してるか?」
「本気出してますよ!てかそもそも、
この車にトランシーバーが付いてるなんて
知らなかったすよ。まじで。」
「悪いな、教えてなくて。だがな、一つだけ教えてやるよ。この勝負俺が貰った!」
「クソったれめ!!」
俺はアクセルをおもっきり踏んだ。
だがしかしなかなか追いつかない。
なぜなら加速度が違うからだ。
そして車の性能的にも、
先生の方が有利だ。相手の車はGTR34だ。
こっちは、TOYOTAのスープラだ。
そして相手の車は、カスタムをしていて、
加速度が速い。だがカーブになると相手は、
ブレーキをだいぶ前から踏まないといけない
からそこは、不利だ。
「くそっ。一体どうすれば。」
「そうそう。言い忘れていたよ銀。
その車はあのゲームと同じだ。」
「あのゲーム?」
レースゲームの事だろう。
「くだらない情報ありがとう。」
「いいってことよ。」
(褒めてねえよ)
俺は、そんなことは気にせず、
レースに集中した。
でも運転してる途中に、ふと思い出した。
レースゲームとの出会いを。
(そういや、レースゲームと出会ってから
11年か。)
あれはだいぶ前の話になる。
「お父さん!レースゲーム買ってよ買って」
「だめだ。お前にはまだ早い。」
「けち!」
丸山信。俺の親父だ。親父は、
俺が小学5年の頃に、事故で死んだ。
親父が亡くなって、印象に残ってるのが
葬式の時だった。
「母さん、親父どうなってるのかなぁ。」
「大丈夫よ。きっと大丈夫。」
そん時の母さんは、泣いていた。
そして棺桶を開けるときに、俺は
泣き崩れたのをいまでも覚えてる。
「親父、なに入れてんだよ!くそ..親父が..」
親父が棺桶に入れていたのは、
俺がずっと欲しがっていたレースゲームだった。そしてそこには手紙もあった。
俺はその手紙を取ってすぐに目を通した。
「銀へ。これを見てるということは、
俺は多分死んだのだろう。だが死んだからと
いって、完璧に何もかも無くなった
訳じゃない。だから銀。めげるな。泣くな。
強くなれ。そしてこのレースゲームで、
強くなったということを、また今度
聞かせてくれ。丸山信より。」
(親父。俺、強くなったよ。あのゲームを
やり続けて俺は今親父の愛車、スープラで
走ってる。だから親父、俺を見守って
くれ。この勝負を!)
俺はそう思い、アクセルを踏んだ。
「おっと、スープラが、あと少しで、
カーブなのに、スピードを上げて来た!」
「どういうつもりだ?銀。お前そのまま、
突っ込む気か?そりゃ傑作だ。」
「いや。これは戦略だよ!KING!
絶対にお前をここで倒す!」
俺はカーブのギリギリなところまで、
スピードを出し、そして!サイドを引いた!
キュリュリュリュ!
「何と!スープラがドリフトをしている!
なにもチューニングしていないのに!」
「とうとう本気出して来やがったか。
丸山銀!」
「あぁ。本気を出させてもらうぜ!KING!」
そうこうしてるうちに後少しでゴールだった。
「ゴールだ!」
「さぁ、この勝負も、どっちが勝つかわからない。勝つのはスープラか、GTR34か、
どっちなんだ!」
「いけぇーー!!!!」
「ゴール!」
「さあ、この勝負どっちが勝ったのか!」
ゴールの線を越えて、俺は、ブレーキを踏み辺りを見回した。そしたら観客達はシーンとしていた。
そして観客席からはこう聞こえた。
「嘘だろまさかあのKINGを、倒したのか」
「あの高校生、次のKINGか?」
観客席がざわついているうちに、
アナウンスが流れた。
「えー、お伝えします。ただいまの勝負、
丸山銀の勝ち!」
パーン!
勝ちと言った瞬間、クラッカーがなった。
「嘘。俺勝ったんだ。レースで。」
「おめでとう銀。君の勝ちだ。おい、
聞いてるのか?」
「よっしゃ!!!!!」
「何だよびっくりさせんなよ。」
(親父。俺勝ったよ。レースに。
スープラで勝ったよ。)
俺は親父にそう願い、インタビュー台へ、
向かった。
「おめでとうございます!このインタビュー台はどうですか?」
「そもそもあるなんて初耳ですしこのレースで、そしてまぁ、やっぱり嬉しいっすね」
「そうですよね!最後の質問です!」
「はいなんですか?」
「ニックネームなににしますか?」
そうだった。完全に忘れていた。ニックネーム。
俺は何も考えていないのに、勝手に口から、
こう喋っていた。
「マスターでお願いします。」
「えっ!KINGじゃなくていいんですか?」
「はい。私はマスターでお願いします!」
「ではわかりました。今回の勝負は、
マスターの勝利です!!」
俺はそのとき嬉しいという感情が、
たくさん出て来たのだった。