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また青桃すみません(
俺には大好きな親友がいる。高校の時に出会ってから仲良くなって、すごいことに大学が一緒になって、それでずっと一緒に過ごしてきた親友。
そんな親友とは社会人になっても仲良しだった。定期的に会っては、飲みに行ったり職場の愚痴を言い合ったり、なんて酒を飲みながら赤裸々に話すくだらない会。
「うぅ、まろと一緒に働きたい… 」
「頑張れよ…、笑」
酒を入れるとほんとに赤裸々に話せるからいつもまろを困らせたり喜ばせたりしてる。そんな時間が楽しくて、楽しくてしょうがなかった。
恋愛としてとかじゃないけれど、このまままろを独り占めできたらいいのに、なんて考えるばかり。
そんな願いは叶うはずもなく咲き散っていった。
「…彼女、か、そっかおめでと」
「ありがとう」
綺麗に笑ってみせる彼の顔が今は憎らしい。ずっと一緒だった彼が彼女に時間を費やすことによって俺との楽しい飲み会も当然減るわけで。
あぁ、これが恋なんだって生まれて初めて気が付いた。
素直に親友の恋を祝福することも、独り占めしたいなんてそんなことを考えていたのも全部、 俺は彼のことを恋愛として好きだと思ってたからなんだ。
「じゃ、また一緒に飲みに行こな」
「…うん、今度は惚気話聞かせてよー? 」
そうやって笑って返してやると、少しだけびっくりしたような表情を見せて、その後すぐに幸せそうにうん、と微笑んだ。
彼と分かれたあとも、あの幸せそうな顔が忘れられなくて足早に家へと向かう。下を向いてしまったら溢れてしまいそうになるものがある気がして、何とか上と前だけを向いて歩き続けた。
「…ただいま。」
家に帰ると脱力してしまって、鍵だけ閉めて、扉の前に座り込む。さっきまで我慢してたものも耐えきれず下を向いてしまう。
息がぎゅっと苦しくなって、目頭がジーンと熱くなった。
彼と飲みに行く機会は減ったが、全く飲みに行かなくなった訳ではなかった。前と変わらない雰囲気に幸せな気持ちに覆われる。
「うぅ、まろと一緒に働きたいよぉ、」
「お前それ何回目やねん」
呆れたように笑うまろを見つめて、不覚にも好きだなぁ、って思う。でもそんな言葉を口にしたらまろを困らせるだけだからぐっと息を飲んで、抑え込む。
「ないこは仕事順調?」
「……」
────またミス?何回間違えれば満足するんだね
────遅いんだよねぇ、もう少し早く提出してくれなきゃ困るよー。
────これよろしく。…え?出来ないとか君がどうこういうことじゃないし他のみんなも頑張ってるんだから頑張れ。
「まぁまぁ、かな、笑」
辛かったことが走馬灯のように思い出される。あの会社に戻ればあんな事ばかり。楽しいこともやりがいも人権否定でさえ感じる。
「そっか。また飲みに行こな」
「来週とか、行ける、?」
なんか、なんかしんどい。だから、頑張る意味を作らなくちゃ、壊れてしまう。今の俺はまろしかいない、まろが居ればまだ耐えられる気がする。
辛くなってる理由はまろのせいでもあるんだけどね。
「来週な、わかった。」
忙しいだろうに間もつくらず、即OKが出ることにでさえ喜びを覚える俺は単純なのか、それだけ追い詰められてるのか。
「ないこ」
別れ際にいつもの声のトーンとは違う声で呼ばれる。それにピクリと体が反応して少しいつもと違う感じのまま、まろを見つめると口を開く。
「死ぬなよ」
「……うん」
今日も忙しい日。来週と大まかな日程は決めたが、日付はまだ決まっていない。それを提案しようと車内用PCのカレンダーアプリを立ち上げる。
…あれ、明日ってあの高校の入学式の日じゃん。
まろと出会った、記念日とか言ったら気持ち悪いか。
『明日飲み無理そ?』
そう送って作業に集中する。
────────
しばらくして、昼休憩の時間。返信が返ってきてないかなと、メールアプリを立ち上げるとしっかり返ってきてた。
『ごめん、明日新人歓迎会があってむりかも。ほんまごめん』
そのメッセージを見た瞬間なにかが崩れ落ちたような気がした。
「バカだなぁ、俺」
もういいや、って思ってしまった。明日、明日彼と会えないのであればもういいんだ。終わりにしてもいいよね。
次の日、無断で会社を休んで近くの橋に向かう。…ここ、まろと一緒に来たなぁ。大学生の時、ここで駄弁ったな…、よしここにするか。
「…こわい、なぁ、笑」
やっぱり死ぬのは怖い。それでも生き続けてあの地獄に耐えるのも嫌。世の中って本当に不平等。上の立場の人だけが得して下の立場の人は苦しむ。
「…よし、っ!」
心の中で大きく上司の愚痴を唱え終わったあと、落ちようとフェンスに捕まる。…捕まったのに、足が動かない。なんで、なんでだろう。まだこの世に未練があるのかな。
「ぁ、まろ…」
俺の頭の中にはいつも青色ばかり。辛い時は助けてまろ、幸せな時には後でこの話まろに伝えよう、死ぬほどおもろいことあった時もまろに言おうって思ったな。
まろがいたから俺は人生楽しめたんだと思う。心の底から笑えたのだって、辛い時に涙を流すのだって苛ついたから文句を言ってスッキリするのだって、全部全部まろが居たから。
「…なぃ、こ、?」
「え、なんで居て…!」
本当に飛び降りようと決めたのに、決めたところでいつもまろは邪魔してくる。それが良くも悪くも俺の未来に繋がってる。なんでまた鉢合わせちゃうかなぁ、笑
「ないこと、初めて会った日だから、居ないかなーって見に来たんやけど…、死のうとしてたん?」
「…ごめん 」
「謝らんといて、とりあえず降りれる?」
そうまろに指示されて、飛び降りる気も過ぎ去っていき、フェンスから地へと、まろのもとへと降り向かう。
沈黙が続く。その沈黙を破るようにまろが口を開く。
「しんどいん?」
「え、あ、まぁ…」
「仕事?生きることに?」
きっと理由を尋ねられてるのだろうけれど、なんか、答えづらいなぁ、笑
黙り込んでいるとわさっと温もりで包み込まれる。
「…ほんまは俺ここで死のうとしとったの、だからないこがいてびっくりした」
…え、まろが死のうと、?…なんで、だってまろは職場もホワイトで何にでもできちゃうエリートで、彼女も、いて…
「彼女と別れた、それも三股やってさ漫画かよって思うよな」
「…え、えぇ…」
まろがすごく悲しそうな顔をしてる。見てるだけでしんどいし、こんな顔、俺だったらさせないのにな…なんて思ってしまった。
「…だから、死のうと、?」
「まぁ、そう。」
…なんか、ここに居て死のうとしてよかったって思ってしまうな、俺が死んでたり死のうと決意しないで家に帰っていたらまろが死んでたわけだから…。
「…三股が発覚する前から、もう別れようと決意してた。」
「なん、で?」
「んー、ないこのことがすきやって気づいたから、とか?」
そんなことを、告げられた時抱きしめられた彼の背中にぎゅっと、強く抱き締めた。
end
コメント
2件
だぁっっっっ… 『俺もここで〇のうとしてた』って見えた瞬間スマホを一旦伏せました(?) なんですか、好きです。 連載早くあげたくて堪らねぇです🙄🙄