テラーノベル
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心の病気。
最初は、最悪だと思った。
🇯🇵「おはようございます、中国さん」
🇯🇵「本日の気分は?」
🇨🇳「ん………眠いアル」
🇯🇵「そうでしたか。朝食はどうされますか?」
🇨🇳「珈琲一杯で十分ネ」
🇯🇵「はい、すぐ用意してくるので大人しく待ってるんですよ?」
🇨🇳「…………」
今日も今日とて、愛しの中国さんのお世話をする。
珈琲だけでは栄養に悪いので作り置きしてたフィナンシェも出しておく。流石に今から作るとなっては時間もかかりますし。
なんだか中国さんに嫁いだみたいだ、と考えたところで思わず口角があがってしまった。
🇯🇵「中国さん、できましたよ」
🇨🇳「…これ、いらないアル」
🇯🇵「そう仰らず。ささ、食べてください」
🇨🇳「…………」
注意深く、珈琲を一杯。
何年経っても警戒心は弱まるどころか強まってる。そういう所も中国さんらしくて最高に好きだった。
毒や薬がないことを確認すると、そのまま喉に流し込む。ゆっくり、味わって食べている。
🇯🇵「美味しいですか?」
🇨🇳「………普通ネ」
🇯🇵「ふふ、不味くはないみたいで良かったです」
中国さんはあの日以来、私を信用しなくなった。無理もないだろう。
私はそこまで気にしてる訳じゃないし、寧ろそんな彼にすらかわいいと感じてしまうからどうでもいいことではありますが。
🇯🇵「さて、中国さん」
🇯🇵「私は今日も仕事ですので」
🇨🇳「…我も仕事あるネ」
🇯🇵「もう誰も貴方の帰りなど考えてもないですよ」
🇨🇳「…………」
じゃらり、と中国さんの腕に巻きついた____鎖を手に取った。
私は中国さんを数十年前から監禁している。
だって、仕方ないんです。
歴代の中国さん、みんな最後には壊れていってしまったから。
漢も、魏も、明も、清も。
みんなみんな、壊れてしまった。
国が滅んでしまった後、後追いするかのように逝去した。
私は、どこかおかしかった。
それに気がついたのは最近のことだった。
腹が煮え繰り返るような苛立ち。
内臓が破裂しそうなほどの、深く、暴力的な哀叫。
そして_____
清の死に際に見た、あの顔。
ぷつりと糸が切れたように動かなくなり、瞳孔が開き、虚な瞳でどこでもない場所を見る、あの目。
__それを見た時に感じた、どろどろに蕩けるような甘美で、淡い恋心。
一目惚れするにはおよそにつかわしくない場面で、その感情が私の心臓を高揚させた。
だから、次に生まれた中国さんを、私は愛した。
溶かすように、優しく、淡く、されど壊すように。
今度は私の手で貴方を殺したいから。
次国が崩壊したら、貴方のことは私が殺す。
だから、自殺なんてしちゃわないように、一生私の檻の中で過ごしていればそれでいい。
貴方は、私だけ見てればいい。
今日も今日とて仕事。
職場で席につき、淡々と仕事をこなす。
中国さんを監禁して数年は、ここが退屈で仕方がなかった。
どうでもよかった。イタリア王国さんが『旧枢軸忘年会なんね!』と絡んでくることも、ナチさんが『たまには飲みにでもどうだ』と言ってくることも、アメリカさんが『仕事なんかやんねぇ!』と職務放棄することも。
中国さんを監禁してからは全てどうでもよくなった。
だって、こんなところで取り繕っても中国さんは見てないのだから。
…けど。
最近は、この時間も悪くはないと思った。
🇯🇵「中国さん、夕方ごろになったらカフェテラス行きませんか?」
🇯🇵「あの時間帯、ほぼ誰もいないので」
🇨🇳「ん、今日の日本は静かなとこがいいアルか。わかったアル〜!」
だって、いつでも目の前に中国さんがいるのだから。
廃棄米
43
おみず
185
#寿命㌫
寿命㌫(主)
1,247
コメント
3件
やった!更新キターーー!! 良いですね。“好きな人のためなら余裕がなくなっちゃう年上祖国さん”最高です💕💕 このすれ違い感もあなた様の作品からしか得られない栄養であります…!
読み終えました。タイトルの「心の病気。」から始まって、一見ほのぼのとした朝のやり取りかと思いきや…最後の独白で一気にゾッとしましたね。「今度は私の手で貴方を♡♡♡たいから」という愛の形が、あまりに歪で美しくて。日本が中国さんを「壊れる前」に閉じ込めておきたい執着と、それを自覚しながら淡々とお世話する日常の対比が鳥肌ものでした。二重構造の巧みさに惹かれました。