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〔第八章:藤森兄弟の秘密〕
昼休み。
今回は気分転換をやめて、図書館で本を読むことにした。
最近は変なことばっか起きて大変だったから。
今回は本でも読もうと思ったのだ。
(今度こそ!今度こそだ!!!)
自分の好きなシリーズの本を取ろうとしたその時、
「「あ」」
手が触れ合った。
(えっ?これってまさか恋愛系でよくあるやつ!?)
はっとして振り向くと普通に男の子だった。
「すみません」
(えっ!)
その人はまさかの学園屈指のイケメンと呼ばれる藤森月夜さんだった。
「あ、す、スイマセン」
そっと去ろうとした時、裏から声が聞こえた。
一真昼~!!!ー
「真昼さん!?」
それが聞こえた途端、俺は声を出してしまった。
すると、さっきの声がピタッと止まった。
さらに裏の方から、「夏目さん!?」と聞こえた。
そして、ひょこっとこちらをのぞいた真昼さんの後ろからまたあの声がした。
「真昼?どうしたの?誰?」
後ろにいたのはやっぱり藤森朝日さんだった。
(目付きが明らかに悪い… 警戒されてんのか…?てかやっぱ兄弟って似てるなぁ…)
余計なことが頭に浮かぶも、やっぱり警戒されていると体も認識したのか話かけにくかった。
というか口が動かなかった。
そうこうしてるうちに真昼さんが先に口を開いた。
「あのね、私をいじめから助けてくれた人なんだよ、だからあんま警戒しなくていいよ」
「ふうん」
そういうと、朝日さんはこっちを向いた。
でもさっきの目付きじゃなかった。
きっとさっきので信用してもらえたのだろう。
(ま、真昼さんの信頼度高ぇな…)
そして警戒が解かれたからかスッと口が開く様になった。
「あ、あの、特に何もしないので大丈夫です… 本読みに来ただけですから」
そう告げて立ち去ろうとした時、朝日さんに呼び止められた。
そして、「いいよ、でもね?」
すると朝日さんはニッコリとしたまま、
「僕らと真昼のこと誰かに言ったらどうなるかわかってるよね?」と言ったのだった。
俺は少し鳥肌が立ったが、特に話す様なことじゃないので自身への影響はない。
…と思っていた。
俺は見てしまったんだ。
藤森兄弟の裏を…
・・・
「…」
(ダメだ…集中できない…)
なぜって?
「ねぇ真昼〜♡」
「朝日どうしたの?」
「今日さ~、まじ女子の大群がやばかったんだよ〜….」
「C組ほとんど2人に集中してたもんね~…(汗)」
「疲れたぁ~」
「ところで月夜は大丈夫だった?」
「僕は真昼にしか興味ない。だから大丈夫だ」
「もう、他のことも交流したら?男子でもいいからさ…」
「…真昼が言うなら…」
「うん、それがいいよ」
(あああああああ無理ダメ!ここにいちゃダメでしょ!)
(個人のイチャイチャ見てて……いや聞いてて集中できるわけないよっ)
今俺がここにいて色々わかったことがある。
①3人の時のみくっ付いてる
②藤森兄弟はちょっと仲が悪い
③まだ真さんは2人のどっちとも付き合っていない
と言ったところだ。
しかもずっと兄弟揃って真さんにべったりだし、なんせ月夜さんがよく笑う。
珍しすぎて俺でもびっくりしたくらいだ。
〈キーンコーンカーンコーン)
結局、集中できずに下校時刻になってしまった。
・・・
帰りもずっとべったり。
見てるこっちが恥ずかしくなるくらい。
真昼さんはそのことを気にする様子はないし、藤森兄弟はたまに取り合う。
溺愛系小説みたいな感じでこんなの実際あるのかってくらいの溺愛・取り合いっぷりだった。
俺も四季とあんなにべったりになれたらなぁ….……なんて思ったけどすぐに消した。
(てかいつからこの3人はそんなに仲が良くなったんだろう…)
そう思って思い切って聞いてみた。
「あ、あのさ、いい感じのとこ悪いんだけど… いつからそんな感じなの…?」
すると、朝日さんがこう言った。
「いいよ、教えてあげる」
「僕ら3人の裏という秘密を」
緊張が走ったのか、急に体が震え上がった。
(裏という秘密…かぁ…)
俺から持ちかけたんだからと覚悟を決め、俺は静かに耳を傾けた。