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「あ、あの」今日も自分の力で城壁を乗り越えて来た。
「ま、え、それが、はい。やっぱりどしよっかな、でも、ま、一応、せっかくですし」立とうとしたり座ろうとしたりした挙句、結局俺は立ち上がった。膝が揺れているのがわかる。心臓がばくばくいっている。
黒板の前まで進み出たとき、頭の中が真っ白になった。小学生の頃無理やり乗せられたジェットコースターのようだ。ゴンドラがカタカタいいながら高度を上げ、頂点に達する。目をつぶる。どうにでもなれ。
果たして、ジェットコースターは降下しなかった。目を開くと、教室後ろの青緑色の壁が見えた。口を開いてみる。壁の向こうでのさまざまなことが自然と、次々と出てきた。悪態をつき合う両親、意固汚く不機嫌な大人がうじゃうじゃしてるどんよりした町並み、点数にしか興味のない近視なアホンダラ、先生の調子ばかり取ることに長けたムカつく点取り野郎、嫌味と煙草の吸殻をアスファルトに落とすのが上手なペテン手品師。バカ。アホ。マヌケ。洒落にならない。
我ながら思ったよりも上手く話せた。満点をあげてもいいだろう。確かに疲れた。けれども、爽快な満足感が胸いっぱいに広がっている。
席に戻ろうとしたとき、先生はちょっと待ったと手で合図をした。