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第1話「堕ちし名もなき神 イントロの鼓動」」
遥か昔、どの神話でも記載されなかった大規模な戦争が天界で行われた。
それは、もう宇宙の運命を決めるほどの。
そんな中、「名もなき神」がひとつの「愛」のために立ち向かった。
この伝説を今ここに記す。
──そして現在(※遥か昔)。
「……地球は青く、綺麗だった……」
名もなき神は、大気圏を真っ逆さまに落下していた。
「でも、まさか『不意な事故』で天界(ゴッド・ユートピア)に落ちるなんて…」
名もなき神は天界を楽園だと記憶していた。
だが——
名もなき神の視界に映った天界は、彼が知る“神々の楽園”ではなかった。
雲は裂け、光は濁り、神々の領域はまるで戦場のように荒れ果てていた。
「何だよ……これ……」
天蓋が迫る。光の壁が近づく。落下速度は上がる。
──一方その頃。
天界の町はずれ。神々の喧騒から遠く離れた、すみっこにある小さな村。
天使たちがひっそり暮らす村──「天使村」。
そこは天界の中でも珍しく、争いの声がほとんど届かない静かな場所だった。
キラキラと輝く美しい空間。
天使たちは虹の橋で滑り台をしたり、お菓子の家で遊んでいた。
そんな中、一人だけ花畑に静かに暮らす「低級天使」の少女がいた。
「お花さん、こんにちは!今日も元気だね」
年齢は人間でいうと六歳ぐらいの少女だった。
花たちはいつも、彼女がくるとニコニコ笑うように揺れる。
「ふふ、良かったわ〜。あっ、お水を持ってくるから待ってて」
少女は小さなジョウロを抱えて立ち上がる。
その動きはふわふわしていて、チョウのようだ。
彼女はいつも一人で花や虫たちと遊んでいる。
あまり人とは関わりたくない。疲れるから。
でも決して寂しくない。
そして、水をくみに彼女が向かうのは天使村の隣、「龍神国」。
そこは七大龍神が治める、天界でも珍しい“龍たちの国”。
赤、青、緑、黄、銀、金、白──七色の龍神が空を舞い、
年寄りの龍がのんびり昼寝をし、
可愛らしい子供の龍が尻尾を振って遊んでいる。
天界の中では、天使村に次いで平和な場所だった。
彼女はいつも、七大龍神の一席「青龍」から水をもらっている。
「青龍さん、お水ください。いっぱーい」
「はいよ、お嬢ちゃん。今日もみずやりかい?」
「うん、お花さんすごく元気そうだったよ!」
青龍は彼女の頭を軽く撫でた。
「そうか、そうか、偉いね」
「えへへ……」
少女は素直に喜んだ。
その時、少女はある飛行物体のようなものを見つけて指をさした。
「青龍さん、あれ何?」
「うん?どれどれ……」
青龍は顔を真っ青にした。まあ……もとから青いけど。
「ひ、人が落ちてきてる!」
彼女はすぐさま走り出した。
「おい、あんなスピードの落下物を受け止めるなんて不可能だ。
下手すれば、お前が粉になるかもしれない……だから戻ってこい!早くっ!」
だが、彼女は足を止めなかった。
「でも……」
彼女は息を止め、そして吐いた。
「助けなきゃいけないの!助けなきゃ……あの人が死んじゃうかもしれない。」
その言葉は、普通の少女から出るような言葉ではなかった。
「それに大切なこと。それは自分の『心』に従うことだと思うの!」
「心?従う?」
青龍は思わず聞き返した。
「今、私の心は助ける一択……だったら助けるしかないんだ」
それでも間に合わない。
「もう、諦めろよ……その人は落ちる『運命』。お嬢ちゃんが走っても無意味だ。」
「だったら……能力を使う。」
すると、彼女は消えた。
「なっ、消えた?」
「ここだよ、『影の中』」
影から彼女の声が聞こえた。
青龍は息を呑む。
「お、お嬢ちゃん……まさか……!」
影の中から、少女がひょこっと顔を出した。
「私の能力、“影渡り”。影の中を風みたいに進めるの。」
影の中で、少女の髪がふわりと揺れた。
光の届かない世界を、まるで自分の庭のように駆け抜けていく。
(昔、虫取りしてたらたまたま身についた能力だけど……いまならこれで人助けができる)
落下軌道の真下についた時、彼女は思いっきり跳んだ。
(計算通り、このままいけばキャッチできる!)
(あと少し……!)
名もなき神の遺言が空気を裂くように響く。
「俺は、生まれてきて幸せでした……」
(嫌だ!死にたくない。誰か助けて)
少女は両手を広げた。
(大丈夫……!私が、助ける……!)
青龍はその光景を見て、息を呑んだ。
「お、お嬢ちゃん……その高さは……!受け止めたら衝撃で——!」
だが少女は迷わない。
ズドオオオン!!
豪音が龍神の国全体に鳴り響いた。
青龍は土煙を裂き、中に入った。
「どうなった!」
光の先には、見事にキャッチした彼女がほぼ無傷で立っていた。
「ハァ……ハァ……ハァ……
やった!私の計算……いや、心に狂いは無し」
青龍は受け入れられない「いい意味の」ショックで気絶した。
「これ……6歳児よな?しかもまだ低級天使。
ありえんだろ」
ガクッ!
青龍はその場に崩れ落ちた。
少女は名もなき神を抱えたまま、ぽかんと青龍を見つめた。
「えっ……青龍さん?なんで倒れたの……?」
名もなき神はぐったりしながら、かすかに目を開けた。
「あれ……?生きてる!えっ!?」
名もなき神は思わず驚いた。
(めっちゃ可愛い子に抱っこされとる!)
少女は名もなき神の顔を覗き込んだ。
「どうしたの?」
「あ、いや……何でもない」
(いけない、取り乱したら。ここは落ち着いて話そう)
名もなき神は近くにある椅子に座った。
姿勢を正し、少しだけ真面目な声で言う。
「この恩は、何兆年経っても忘れません。本当に……ありがとう」
少女はぽかんとした。
「困ってる人がいたら誰でも助ける。当たり前でしょ?」
名もなき神はそれを聞いた時、胸に存在しない音が鳴った。「心臓の音」。
(命の恩人でありながらにして、このけがれが一切ない心。
俺は……この子のためなら『全能』だ。)
「ねえ、君」
「うん?」
「礼としてはなんだけど……“宇宙で一番美味しい食べ物”をあげるよ」
少女はぱちんと瞬きをした。
「うちゅうで……いちばん?」
名もなき神は胸を張った。
「これなんだけど……」
名もなき神が差し出したもの。それは白米が三角形の塊で、海苔が付いたものだ。
「これ……は?」
「人は『おにぎり』と呼ぶらしい」
名もなき神はこくりと頷いた。
「宇宙の本質は何かわかるか?」
「うちゅうの本質は『愛』?」
名もなき神は拍手をした。
「上出来だよ。そう、おにぎりは手で握って作るんだよ。
その手の温もりからおにぎりに愛がどんどん入る。
つまり、おにぎりは愛のかたまりであり宇宙最高の食べ物なんだ」
少女は目を輝かせた。
「え!すごい。いただきます」
口におにぎりを運んだ。
パクッ。
少女の口の中に極楽が広がった。
もちもちのコメの触感、ポロリとこぼれる微妙な握り具合、
なにより丁度よい温かさが口の中にしみる。
「っ!おいしい」
「……良かったな」
名もなき神の目に少し涙がこぼれた。
(おにぎりで感動することってある?(泣))
すると、少女がなにかを思い出したかのようにこちらに振り向く。
「そういえば、お兄ちゃんは名前なんていうの?」
名もなき神は一瞬戸惑った。
(名前がないなんて言えないよ……だって、周りと違うから……)
それでも彼は少女なら信頼できる。そう思い、「勇気」を出して言ってみた。
「名前……無いんだ」
「えっ!」
胸が痛む。
「俺、今までずっと宇宙を旅してきた『旅人』だから名前がないんだ。
でも一応『宇宙の高次元的存在』なんだ」
たどたどしい声だった。
「宇宙の高次元存在って『神様』ってことじゃん!めっちゃ憧れる」
少女は続けた。
「それに、私も名前がないんだ。『低級天使』だから。
だから『名無し君』が同じ痛みを持っててくれて……気持ちが軽くなったよ。ありがとう」
その言葉は名もなき神の心の傷を深く癒してくれた。
「……こちらこそ、ありがとう。じゃあ『ライトちゃん』って呼んでいい?」
少女は目を大きく見開いた。
「名前つけてくれたのね。すごくいいよ!」
これが、伝説の始まりだった。
明るい神と仲介者で優しい天使。
いったいどうなるのか。
そして、何が二人を待ち受けるのか。
第2話「裏側のプレモニション 」に続く
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#東リべ夢小説
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コメント
3件
名もなき神が落下するところを低級天使の少女が影渡りでキャッチするシーン、マジで鳥肌立った…!!しかも6歳であの判断力と行動力、かっこよすぎる😭💕 青龍が気絶するのめっちゃわかるわ。しかもおにぎりが宇宙最高の食べ物で愛のかたまりって哲学すぎてエモいし、最後に互いに名前がなかったところで「ライトちゃん」って名付ける流れにもう心臓掴まれたよ…!続きが気になりすぎる、これはもう沼案件🫶💫