「はぁ、、、」
おどろくも呼ばれたのだ、、、
何言われるんだろ、、、
昨日はあのまま寝ちゃったし、、、
説教じゃないといいな、、、
コンコンと扉を叩く。
「お父様失礼します」
さすがに敬語を使う。
何となく嫌な予感がしたから。
「よく来た。おどろく」
パパが厳しい顔をする凸にーも少し疲れたような顔をする
やっぱそういう、、、
いい加減裏口の通路に落書きしてるの怒られちゃうかな?
それとも1回うたえもんのパソコン壊しちゃったの怒られるのかな、、?
それともそれとも、、、、
「えっと、、、」
声がかすれる
なにか悪いこと、、、
えっと他には、、、、この前間違えてうたえもんが買ってたプリン食べたこと?凸にーが羨ましいな〜って思って凸にー連れて深夜につけ麺食べたこと?さもしゃんになんかいい感じにロゴ作って~ってワガママ言ったこと?
どうしよう、、、
おどろく追い出されちゃうかもなのだ!
うたえもん助けてくれるかな、、?
いやむしろ凸にーが深夜のつけ麺で怒られてるだけかもしれないのだ!情報売ればいいのだ!そうパパに習った!!
いやパパに習ったことパパに使っちゃダメか
「おどろくに話さないと行けないことがあってな。ちゃんと聞きなさい。大切な事だから。」
パパがとても真剣な目でこちらを見る
とりあえず説教では無いことはわかったけれどでもそれ以上にやばいことでは無いのかという状況である。
冷や汗が背中を伝う。
「パパとな凸もりな、、、」
なんかの、、、
なんかのドッキリであって欲しい。
それぐらい気まずい凍った空気が流れる。
「戦争に行くことになったんだ。」
えっ、、、?
この国は戦争がやたらと多いことぐらい知っていた。
でも、、、
こんなのはあんまりだ。
「パパは、、、行かないよって、、、言ったのに、、、」
「そうはったってなぁ、、、」
「パパの、、、パパの嘘つき!!!」
やだ、、、やだ、、、
おどろくはこんなの、、、こんなの認めない、、、
よっぽど、、、、
こんなんだったら、全部のお説教受けたって構わない。
こんなのは、
こんなのはいや、、、、だよ
バッと部屋を出る。
2人を見向きもせず。
「おどろくちゃん!?」
「おどろく!?待ちなさい!」
知らない。聞きたくない。
こんなのは、、
こんなのは嫌なのだ、、、
ーーーーーーーーーーーー
ただ1人。
部屋に籠る。
コンコン
扉を叩く音がする。
「おどろくさん?」
うたえもんの声がする。
「入るよ?」
「、、、うん」
力無く返事をする
「ボスと凸さん、、、すごく心配してたよ、、、?」
「、、、パパ、、、ほんとに1週間後に行っちゃうの、、?」
「うん」
「、、、そりゃ嫌だよね、、、」
空は今にも雪が降りそうなぐらいどんよりとしている。
今日から1週間後は
おどろくの誕生日で、ボスの補佐の任命式だった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
誰かが扉を叩く。
「おどろくさん?凸さんたち明日からもういないのに部屋に籠ってていいの?」
さもさんの声が聞こえる
さもさんだって寂しいのに。
なんで、、、、?
なんでそんなにいつも通りなの?
おどろくパパも凸にーも行っちゃうんだよ、、?
なんでみんなそんなに変わらないの、、?
「おどろくさん?せめて明日は見送りには来なよ??」
うたえもんの声が聞こえる。
明日、、、、
明日ほんとに、、、、
行っちゃうの、、?
おどろく誕生日だよ?
みんな祝ってくれないの?
おどろく、、、、おどろくは、、、、
こんなの、、、、
望んでないから、、、、
ーーーーーーーーーーーーーーー
「おどろくさん。おいで」
さもさんに手を引かれてエントランスに向かう
来た時と違って大きなしっかりとした手でぎゅっと握られている。
あの日の怖がってた人見知りのさもさんも、もうここにはいない。
今日からずっっっとおどろくのことを見守って支えてくれてたパパも凸にーもいなくなる。
いるのは、、、、
昔から変わらないうたえもんと明るくてしっかりしたさもさんだけ、、、、
数日ぶりに凸にーの顔を見る。
ものすごく悲しそうな顔をしている。
「凸にー!!!」
痛くないように握ってくれていたさもさんの手を振り払う
「お、おどろくさん!?」
さもさんの焦った声が響く
「パパも!!行っちゃ!行っちゃやだ!!!ダメ!!」
「おどろく、、、」
「おどろくちゃん、、、」
「おどろく、、、おどろく明日誕生日だよ?今日ボスの補佐の任命式だよ、、?おどろく、、、おどろくまだなんにも、、、してもらってないよ、、、?おどろく、、!!んぐっ!?」
見るとさもにーに持ち上げられていた。すごく悲しそうな顔をして。多分うたえもんにそう言われたのだろう。 かくいううたえもんもすごく心苦しそうな目をしている
「なんで!?なんでうたえもんもさもにーもそんな平気そうなの??」
2人とも一瞬目を逸らす
「凸さん今のうちに」
うたえもんが声をかける
「嫌なのだ!!嫌なのだ!!」
油断して手を解いていたさもにーを振りほどってとつにーにしがみつく。
「とつにー今日も遊ぼ、、?ね?おどろくとつにーのことイケメンに描くから!!ね?そうだ!おどろくね!この前とつにー描いてね!すっごくイケメンになって、、それでそれで!」
「おどろくちゃん。」
凸さんがしゃがんで目を合わせてくる。
「絶対俺ら帰ってくるからさ。その時遊ぼ?」
今度こそしっかりとさもにーに掴まれる
さっきとは比べ物にならないぐらい。手加減されていたことを痛感する。来た時はそんなに強くさもにーに掴まれることも無かったのに、、、、
「さもさん。おどろくちゃんとうたちゃん頼んだからな」
「、、うん。」
パパは何も言わなかった。
2人が車に乗り込むのを黙って見守ることしか出来なかった。
みんな無言でロビーへと戻っていく。
「、、なんで、、」
さもにーに手を離されたがもうここにはパパもとつにーもいない
「なんで!!なんでおどろく、、おどろくはこんな目に会わないといけないの!!」
誰も喋らないホールにはおどろくの嗚咽だけが反響するのだった。
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