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翌朝。
制服に袖を通した華は、まだ少しぎこちないながらも気持ちを切り替えてホテルに立っていた。
「本日の研修はチェックアウト業務です」
律の低い声が響く。華は「はい」と真剣にうなずいた。
しかし、いざ接客に立つと、伝票を逆さに差し出してしまう。
「こ、こちらにサインを……!」
「……桜坂さん、上下逆です」
律が即座に正しい伝票を差し出し、深々とお客様に頭を下げる。
「大変失礼いたしました」
華は頬を赤らめ、両手で伝票を持ち直した。
失敗の数だけ、律に迷惑をかけている――それが痛いほど分かっていた。