例えばあのとき…拓馬くんのお母さんが亡くなって、拓馬くんが登校してきた日、拓馬くんは吹っ切れた顔をしてた。私はすごく不安だった。なんせ、拓馬くんにスピーチを押し付けたんだから。拓馬くんが吹っ切れた顔をしてたとき、拓馬くんが崩れてしまったんじゃないかって思った…けど、拓馬くんはそういうのじゃなくて、ただ純粋にお母さんとの死に向き合えたようだった。私は拓馬くんに話しかけた。
「拓馬くん。」
「何?綾瀬さん」
「文化祭のスピーチ拓馬くんがすることになったよ」
拓馬くんが登校する前に、私達はスピーチを拓馬くんにさせると皆に提案した。「みんなは拓馬くんにさせるなんて酷いんじゃないかな」って言ってたけど、そんなことなくって。私は拓馬くんにハチャメチャなことをさせて気を晴らしてほしかったんだ。そして…拓馬くんがパニックのときに、無理やり綾瀬さんから真白って呼ばせたんだ。あのときの拓馬くんは辛いのをわかってて、あえてそうした。拓馬くんの弱さにつけこんじゃってごめんね。けど、私はどうしても名前で呼んで欲しかったんだよ。好きだって気づいてたから…
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