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こういう中太♀が好き
窓の外では夜の静寂が深く、街の喧騒も今は遠い。密室の空気は、太宰の断続的な嗚咽と、湿った熱気が混じり合って、どこまでも重苦しく、そして甘やかに淀んでいた。
太宰はすでに、自分という個の形を保てなくなっていた。
中也の嗜虐的な愛撫に晒され続け、何度も何度も、理性を焼き切るような絶頂を無理やり引き摺り出された。彼女の細い肢体は、快感の過剰摂取によって疲れ果て、もはや満足に震えることさえできなくなっている。
「……ひ、ぐ、……あ……っ、や、だ……もう、……やめてぇ、……っ」
大きな瞳から溢れ出した涙が、真っ赤に腫れた頬を伝い、シーツに吸い込まれていく。太宰は子供のように泣きじゃくりながら、中也の胸を弱々しく押し返そうとした。けれど、その指先には力が入らず、ただ彼のシャツを力なく掴むのが精一杯だった。
気持ちいいのが、怖い。
これ以上、彼に自分を暴かれるのが、恐ろしい。
太宰にとって、中也に与えられる快楽は、魂を削り取られるような暴力に等しかった。あまりにも純粋で、あまりにも強烈な刺激。それが彼女の脆弱な神経を直接叩くたび、彼女は自分が人間であることを忘れ、ただ愛を貪るだけの獣に堕ちていく感覚に陥る。
「……泣くなよ。お前がそんな顔すっから、余計に止まんなくなるんだろうが」
中也の声には、自責の念と、それを遥かに凌駕する狂おしいほどの独占欲が混ざり合っていた。ぐちゃぐちゃに泣き喚き、拒絶の言葉を口にしながらも、自分なしでは生きていけないほどに蕩かされた太宰。その無防備な姿が、中也の中にある「キュートアグレッション」——愛おしいがゆえに壊してしまいたいという衝動を、極限まで引き出していた。
中也は、もはや喘ぐことすらできず、掠れた吐息を漏らすだけの太宰を、ゆっくりと抱き上げた。
「……ぁ、……あ、……」
太宰は、自分がどの体位に直されているのかも判然としていなかった。ただ、身体を支える中也の腕の温もりだけを頼りに、その首筋に顔を埋める。
中也は彼女を自分の膝に乗せ、正面から向かい合うようにして抱きしめた。太宰が最も好み、そして最も彼との繋がりを深く感じられる、対面座位。
「……ん、……ぁ、……っ!!」
結合した瞬間、太宰の背中が大きく反り上がった。
内側の最も敏感な場所を、中也の熱が直接、深く、重く貫く。先ほどまでの「攻め」の姿勢とは違う、彼女を丸ごと包み込み、溶かし合わせるような、慈愛に満ちた、しかし逃げ場のない一撃。
太宰の思考は、その瞬間に完全に消失した。
「……あ、……ぁ、……ぅ、……っ、あぁ、……!!」
彼女の口から零れるのは、もはや意味をなす言葉ではなかった。意味のある単語を組み立てるための脳の機能は、中也が与える圧倒的な快感によって完全に焼き切られている。
彼女は必死に、目の前の愛する男の名前を呼ぼうとした。自分をこんなにも壊し、そして誰よりも愛してくれる、世界でたった一人の理解者の名を。
「……ちゅ、……う、……ぁ、……ふ、……っ」
「中也」と言おうとして、彼女の舌は上手く回らない。ただ、熱を孕んだ空気と、意味のない音の羅列が、喉の奥からせり上がってくるだけだ。
「……あ、……ん、……はぁ、……っ、ぅ、……あ、……!!」
中也は、そんな太宰の壊れきった様子を、痛いくらいの愛おしさを込めて見つめていた。普段は立て板に水のごとく言葉を操り、人を食ったような態度で世の中を冷笑している彼女が、今、自分の腕の中で言語を失い、ただの「愛されたがっている生き物」に成り果てている。
「いいぜ、太宰。……何も喋んなくていい。全部、俺に預けろ」
中也は彼女の腰をがっしりと固定し、ゆっくりと、深いストロークで彼女を突き上げた。
「ひ……っ、あぁぁぁ……っ、……ぁ、……っ、ぅ、……あぁっ!!」
太宰は白目を剥き、よだれを垂らしそうなほどに口をだらしなく開け、中也の肩に歯を立てた。快感があまりにも強すぎて、もはやそれは「気持ちいい」という範疇を超え、神聖なまでの法悦へと昇華されていた。
内側から脳を直接指で弾かれているような、鋭利な痺れ。尿道から全身へと拡散する、熱い、熱い、愛の奔流。
「……あ、……ぁ、……ふ、……ぅ、……!!」
彼女の瞳からは、止まることなく涙が溢れ続ける。それは悲しみでもなく、恐怖でもない。あまりにも幸せすぎて、身体がその多幸感を受け止めきれず、涙という形で排出しているのだ。
幸せなのに、泣けてしまう。
愛されているのが分かりすぎて、苦しくて、死にたくなる。
「……ああ、……お前、最高に綺麗だぜ、太宰」
中也の声が、遠くの方で聞こえた気がした。
中也は彼女を壊さないように、けれど確実に彼女を絶頂へと導くために、腰の動きを速めていく。太宰は中也の首に回した腕に力を込め、彼の身体に吸い付くようにして、そのリズムを受け止めた。
「……ち、……ぅ、……あ、……っ、あぁ、……ああぁぁぁぁ……っ!!」
最後に彼女が発したのは、叫びですらなく、魂が肉体から抜け出す時に上げるような、かすれた残響だった。
視界が真っ白な閃光に包まれ、太宰の意識は現実の向こう側へと弾け飛んだ。
全身を激しい痙攣が襲い、彼女は中也の腕の中でぐったりと力なく折れた。絶頂の余韻が、細い血管の一つ一つを焼き尽くしていくような、あまりにも苛烈な、あまりにも幸福な幕切れ。
……それから。
静寂が戻った部屋で、太宰は中也の胸に顔を埋めたまま、ピクリとも動かなかった。
瞳は開いているが、そこには何も映っていない。ただ、白濁した思考の海を、彼女の魂はゆらゆらと漂っていた。
「……太宰? ……おい、生きてるか」
中也が心配そうに、彼女の背中を優しく撫でる。
「……あ、……ぅ、……」
太宰は、自分が今何をされているのか、自分が誰なのかさえ、もう分からなくなっていた。脳の中には、ただ「中也」という熱い塊だけが残っていて、それ以外の記憶や理性は、すべて快楽の渦に呑み込まれて消えてしまった。
彼女は何かを伝えようとして、唇を震わせた。
「……ぅ、……あ、……ふ、……ぅ……」
だが、出てくるのはやはり、意味を持たない音の破片だけだ。彼女は自分の名前も、中也の名前も、愛しているという言葉も、今は思い出すことができない。ただ、目の前にいるこの男が、自分にとってのすべてであるということだけを、本能的に理解していた。
「……ふふ、……本当、……ボロボロだな、お前は」
中也は苦笑しながら、太宰の汗と涙で濡れた顔を、自分のシャツの袖で優しく拭った。その手つきは、世界で最も大切な宝物を扱うかのように、慎重で、愛に溢れていた。
太宰は、中也のその慈しみを感じるたびに、胸の奥が熱くなる。
快楽が怖くて、泣いて、疲弊して、喘げなくなるまで追い詰められて。それでも、最後にこうして彼に「幸せ」という名の快感で満たされる。
それは、彼女にとってこれ以上ないほどの救済だった。
「……ち、……ぅ、……」
太宰は、もう一度だけ、頑張って彼の名前を呼ぼうとした。
「……あ、……ぁ、……ふ……」
結局、言葉にはならなかった。
けれど、中也にはそれで十分だった。彼女の瞳に浮かぶ、何もかもを失った、けれど最高に幸福そうな白濁した光が、何よりも饒舌に彼女の想いを伝えていたからだ。
「……いいよ、言わなくて。……分かってるから」
中也は太宰を抱きしめたまま、ベッドに横たわった。
太宰は中也の腕の中で、言語を失った空白のまま、穏やかな眠りの海へと沈んでいく。
彼女の顔には、かつてないほど無垢で、純粋な微笑みが浮かんでいた。中也にすべてを壊され、溶かされ、再構築された彼女は、今、この瞬間、世界で一番幸せな「抜け殻」だった。
夜は明けようとしていたが、二人の時間は、まだこの白濁した快楽の余韻の中に、深く、深く、沈み込んだままだった。
コメント
2件
最終的には誰よりも太宰さんを想ってる中也が最高!!