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#吉田仁人
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#3 買い物と約束
ーjntー
「………佐野さん」
「ん〜?」
「買いすぎです!!!」
……午前6時。
静かに晴れ渡る春の空の下で、俺たちだけが妙に騒がしかった。
………本当に、来てしまったのだ。
昨日初めて顔を合わせた隣人と…スーパーに…。
普通ならありえないだろう。
俺も今の今まではそう思っていた。
………なのに。
「仁人〜!!ライスペーパーってなに〜?」
「いらないしあんま使わないです!」
「え、そうなの?餃子の皮っぽいよ?」
「それとは別なんですよ…!」
隣人…佐野さんといったら、この有様だ。
子供のようにはしゃぎながら次々と商品を物色している。
「……佐野さん。」
「はーい!」
「もう買うものは揃ったんで…レジ行きますよ?」
「え!!ちょっとだけ!!もうちょっと!!」
少し目を離したうちに、佐野さんは大量の商品を抱えて持っていた。
うっわ、そんなに何を持っているんだ…。
俺はデカめのため息を吐き、佐野さんを置いてレジに向かった。
「すみません、お願いします。」
「はーい。」
レジ打ちをしている店員さんを横目に、何度も店内を眺める。
……って、何をそんなに心配になっているんだ俺は!!
慌てて目線を戻すと、店員さんが笑いながら言った。
「お連れ様ですか?元気な方ですね。」
「えっ?」
「いや、ああいう人見てると朝から元気出るな〜って。」
「あ、ああ…それは…そうですか…。」
こちとら早朝に起こされてんだよバカーーー!!
……なんてことは言わずに、ここは適当に返しておこう。
元気なのは確かにいいことだ。
でも、それに他人を巻き込むのはやめてほしい。
「お会計、24000円でーす。」
「……はい。」
ひえ…とんでもない値段だ……。
お財布から札束が抜けて行く。
隣人のためにこんなにお金出すやつ見たことないぞ…?
……全く、今日だけだっつーの!
「…これでお願いします…。」
「丁度いただきました〜。」
_______会計を済ませ、店を出る。
……ところで、佐野さんはどこに行った?
きょろきょろと辺りを見渡していると、向かいの扉から佐野さんが出てくるのが見えた。
両手には大きいビニール袋。
買いやがった…!!
さっきあんなに持ってたやつ全部…!!!
いくらお金が飛んだんだ、と絶句していると、佐野さんがにこにこと微笑みながら駆け寄ってきた。
「仁人〜!!!」
「さ、のさん…そんなに何買ったんです…?」
「ん?あっ!!」
俺が尋ねると、佐野さんは慌てながら袋を後ろに隠した。
……おっと??
「佐野さん??」
「べ、べべべべべ別に〜??」
「………なにをそんなに買ったんですか??」
「え〜?これ違うやつだし!!」
なんだよ違うやつって。
「もう……今度からはちゃんと考えてくださいよ?」
「うう…はぁい……。」
わざとらしく唇をとんがらせている佐野さん。
おい、あざとい顔しても無駄だぞ。
俺はその表情をガン無視して、アパートに向かって歩き出した。
「それじゃ、俺はここで。」
しばらくして、自分の部屋の前についた。
佐野さんにそう告げて軽く会釈をすると、向こうは分かりやすくしゅんとした。
「え〜………じんとここでばいばい?」
「はい、ばいばいです。」
「そっか………」
沈黙。
え、なにこの空気。
勝手に気まずくなっていると、佐野さんがぱっと顔を上げた。
「そうだ!!一緒にご飯食べようよ!!」
「………へ?」
「ほら、せっかく仲良くなったんだしさ!!」
………は???
なに??
ご飯???
昨日出会った隣人と????
「え、いや、仲良くって…昨日出会ったばっかじゃないですか…!!」
「………一緒に買い物来てくれたのに?」
「うっ…それは………」
「仁人楽しそうだったじゃん!!ね、いいでしょ?」
そう言って、佐野さんは俺の手を取った。
………楽しそうだった…?
この人といるのが楽しいのか…?
こんなめんどくさい…大型犬みたいな…。
「…………。」
「ねっ!!お〜ね〜が〜い〜!!!」
じりじりと距離を縮めてくる佐野さん。
ち、近い近い近い!!!
顔が熱くなるのを感じながら、俺は隠すように顔を伏せた。
あーもう…降参だ…。
「………わ、わかりました…」
俺がそう言うと、佐野さんは一瞬固まった後、ぱぁぁっと笑顔になった。
「仁人ぉぉぉ〜!!!!」
そして、勢いよく抱きしめられる。
え?
なぜ???
「ちょっ、佐野さん!!」
「ありがと〜っ!!!仁人だいすき〜!!!」
「うぅ…くるし………」
「はっ!!ごめんごめん!!」
やば…まじで調子狂う…。
「で、でも…俺そんな長くいられないですよ…?」
「大丈夫!!俺もだから!!」
「大学ですか?」
「ううん!!バイト!!」
「バイト………」
なんか意外だ。
いや、でも大学生だから普通か。
………ちょっとだけ同じ大学かもって期待したんだけどな…。
…いや、ずっと何言ってんだ俺…!!
「じゃあ仁人、9時集合はどう?」
「行けます。」
「よし!!じゃあそれでお願いね!!」
「………はい。」
………あ、これほんとに食べるつもりか?
いや、まあ流れ的にそうなんだろうけど…。
………なんか、なんというか…!!
「っ、じゃあ、よろしくお願いします…!!」
「うん!!よろしくね!!」
俺はなぜか恥ずかしくなり、そそくさと自分の部屋に戻った。
扉を閉め、ゆっくりと息をつく。
心音が早い。
「………なんだ、この気持ち…。」
短くてすみません!!🙇
次回はちゃんと書きます!!
NEXT…❤︎150
コメント
2件

初コメ失礼します。 フォローありがとうございました。 3話も楽しく読ませていただきました。🩷の勢いに負ける💛が好きすぎます笑これからも投稿楽しみに待ってます😊
うわあ、もう3話かあ…!今回はスーパーでの買い物からお家ご飯デートの約束まで、一気に距離が縮まった感じでドキドキしっぱなしでした💭 佐野さんのあの「仁人楽しそうだったじゃん!!」って言葉に、仁人が自分でも気づいてなかった感情をすっと指摘されてて、その優しい鋭さがすごくいいなって思いました。最後の「なんだ、この気持ち…。」も、続きが気になりすぎます〜!! 短いって仰ってますが、二人の空気感がぎゅっと詰まってて、むしろこれくらいがすごく読みやすいです✨次回も楽しみにしてます!