コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「そっ、そこの君!ここら辺で白いリボンを見なかったか?!」
振り返ると遠くから誰かが走ってくる。金色の髪にピンクのグラデーションがかかっていて、白い服で身を包んでいた。街では見た事がないため少なくとも外部の人間だろう。
白いリボン、という言葉を聞いてさっき拾ったリボンを差し出す
「えっと、…これのことかい?」
「っ、よかった、拾ってくれていたのか!感謝する!」
人一倍おおきな声で感謝の言葉を伝えた青年は、手を大きく振って遠くへと消えて行った。そういえば、久しぶりに知らない人と話したなと、どうでも良い事を考えながら青年が走った方向に背を向けて、街へと歩き出した
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
街へと戻ったあと、友人…東雲くんに青年の事を話した。すると東雲くんに凄い形相で怒られた。なんでもその青年は白百合の人らしい。僕もなんとなく気づいてはいたけれど、特に害は無さそうだったので大丈夫だと思っていた。東雲くんには楽観的過ぎ、と叱られたけれど。
「類さん、もう花畑の奥には行かないでくださいね」
東雲くんは呆れた顔でそう言うと家へ帰ってしまった。
「白百合…か」
僕はその足で図書館へと向かい、白百合の文献を探した
「…うわ、ちょっとボロい……」
黒百合にとって図書館は一時的な暇つぶし。管理しても仕方ないと思ったのか、まともに掃除されておらず、多くの本がホコリを被っていた
「…ええと…」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
白百合について色々調べてみたが、黒百合と白百合が直接会話したとか、接触した様な話は一切書かれておらず、人間が語った事しか書かれていなかった。
「案外良い人が多かったりして…」
実際今日会った青年は見るからに人が良さそうだった。丁寧にお礼まで言って……また、花畑に行ったら会えるのかな…?彼とはまた会って詳しく話を聞きたいし。
それからというもの、青年と会った時と同じ花畑に何日も何ヶ月も通った。しかし、彼はいつまで経ってもこの花畑にもう一度現れる事は無かった。