コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
休日の駅前は多くの人で賑わっていた
家族ずれもいれば、付き合いたてのカップルの姿も伺える
駅前すぐ出て椅子に腰を下ろして居たのは私服姿のノアだった
携帯を操作しながら、誰かを待っている様子だ
「お待たせしました」
ノアが顔を上げると、目の前にいたのは彼女__ではなく同じく私服姿のレオンだった
普段のスーツ姿と違って新鮮な感じがあるのがなんだか落ち着かない
「お!来たか!,んじゃ行くか?」
レオンが頷く
椅子から立ち上がりノアを先頭に慣れた知らぬ町を歩き始めた
「すいません、服選びに付き合わせてもらい」
「いいって〜なーんもやること無かったし」
紙袋を大事そうに持ちならがら、レオンはノアに話し掛けた
この所レオンに良くこうやって服や靴などの選び物の際呼ばれる事が増えたのだ
休日だと言うともあり、レオンは若干照れ混じりに配慮しながら、誘ってくるのがノアにとっては何とも面白__嬉しい事だ
賑わう商店街を歩く2人はとあるものに目が入った
「なぁ、あの店の前にいるのって…」
かき氷のサンプルが綺麗に並べてあるガラスの前に立っていたのは小さな男の子だ
しかも見覚えしかない
間違ってなければ男の子はマロンだ
周りには仲間らしき姿が見えない
「話しかけてみるか?」
子供が得意じゃないレオンは若干顔を歪ませたが見せたが、縦に首を振る
ノアが近付くと、気配に気付いたのかマロンがグルっとこっちに顔を向けた
「うぉ!?ビクッた」
「あれ、お兄ちゃん達、ダレイ・パイレントの仲間?」
「言い方よ…まぁ合ってるけどさ」
「子供が一人何してるんですか?」
するとマロンは視線を戻し、かき氷のサンプルを指さした
「溶けないのかな…って」
「……サンプルは溶けませんよ」
「偽物なんだ。。でも美味しそう」
ガラスから一向に離れそうにない
何故こんな所にいるのかは知らないが、甘い物が食べたくなる所は子供っぽく,なんだか愛着が湧く
「よし!ノアお兄ちゃんがなにか奢ってあげよう!」
「ちょ!!ノア先輩!?」
「え!いいの!?」
嬉しさのあまり声を張り上げたせいで咳を混む
しかしレオンはそんなノアの提案にあまり乗り気では無いらしい
「見ず知らずの子供に何をするつもりです?刑事としては、身内を探すのが仕事でしょう」
「いいじゃんよ、こんなに食べたがってるんだし!きっとこの子の親もこの近くにいるはずだから、すぐ見つかるさ」
奢る気満々のドヤった先輩の顔を見てレオンはため息を着く
こうなった以上止められない
マロンはガラスをじっと見つめ、とあるかき氷の前に手を止めた
「僕あれがいい!」
「いいよ、お兄ちゃんが買ってあげるよ」
「毎度ありがとうございました!」
大きなかき氷を受け取り、マロンは瞳を輝かせた
「わぁ…」
「……いちばん高いかき氷だった」
「ふふっ」
「あ!レオンくん笑うなよ!」
するとマロンは駆け足でどこかへ走る
あとから追いかけるようにノアとなぜ追いかけるのか理由がわからないレオンが後に続いた
「美味しい…」
ベンチで美味しそうに食べるマロンを遠くでじっと見つめる
「…なぜ僕らが見守るんです?」
「何するか分からないしな…一応だ」
「うわっ!…冷たい……!」
ポロッとポケットから小包が落ちると、辺り1面、春だというのに、夏のように気温が暑くなってしまった
マロンの周りにいた人は不思議そうに首を傾げている中、ノアとレオンは慌ててマロンの元へと走っていたのだ
「…ごめんなさい」
食べ終わったゴミを捨てに行くためノアは席を外し、その場にはレオンとマロンだけになる
その間先ほどのことを注意している
「…かき氷は食べれたのですから、早く探さないと親御さんが心配してしまいますよ」
「…こっちのお兄ちゃんはちょっと厳しい」
ボソッと呟くのではなくガッツリ顔を見てハッキリ言ったので言葉がしっかり伝わった
「……あのお兄ちゃんは少しお転婆さんなのです」
「僕、今日とても楽しかった……前までバイロンの指示を受けてたから」
「……」
キョロキョロとレオンは辺りを見渡す
不振な行動に首を傾げていると、頭に手を乗っけられた
「嫌だと思う記憶があるなら忘れなさい」
撫でると、マロンは嬉しそうに微笑み
手をギュッと握りしめた。
そのまま頭から手を遠ざけようとするも、動かないあまりにも力が強すぎて離すことが出来ないのだ
「ちょ!離しなさい!」
「僕頭撫でられたのミジミン以外に居ないよ…嬉しいなぁ〜もっと撫でて」
「終わりですよ!!腕もぎ取る気ですか!こら!」
そんなふたりの行動を、
飲み物が入ったペットボトルを3つ持ったノアが、笑いを堪えながら見つめていた
「ノアお兄ちゃん、レオンお兄ちゃん、ありがとうね」
頭を下げて、お礼を言うと、マロンは満足そうに微笑む
「レオンお兄ちゃん、また撫でてね」
「嫌です」
「……」
「……今度ですよ」
眼鏡をクイッとあげ顔を隠すとレオンが一言答えた
無邪気な子供のように笑うとマロンは来た道を戻り始めた
「子供苦手なのに…よく好かれるねぇ」
「……うるさいですって」
「やっほーマロン!相変わらず早いねぇ〜来るの」
「ミジミン、やっほー」
かき氷屋の前でマロンが立っていると、涼しそうな格好をした、ミジミンがスキップをしながら近付いてきた
「あーお腹すいた……軽めにかき氷食べよ〜」
「うん、僕これがいい」
「……集合場所だったのか」
「とんだ手間でしたね…我々も何か食べましょうか」
なにか吹っ切れたかのようにレオンが歩き出すと、ノアが返事をしながら後ろを着いて行った
「……あれ?あんた今日いい事あった?」
「ふふっ…ミジミンには内緒」