テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


受付で名前の確認と会費の支払いを終えて、いよいよ会場の宴会用ホールに入る。

ホテルスタッフが開けてくれた扉の向こうには、予想よりもたくさんの人と、高い天井が見えた。

目だけを動かしてみた範囲のみでも、男性はともかく、女性は意外と着飾っている──それこそ、結婚式参加レベルにドレスアップしている人が多いようだ。こんな中でスーツを着て来ていたら、さぞかし地味な印象で埋もれていただろう。

むしろその方が良かったけど……などと考えているうちに、倫之は同級生が集まっているテーブルを見つけたようで、そこへと一直線に歩いて行く。

ちなみにこいつの装いは、海外出張先で店を紹介されて買ったとかいう、オーダーメイドのスーツだ。素人目で見ても既製品とは違う高級感を醸し出しているそれを、何気ない様子で着こなしているのは、さすがと言うべきか。

「あれっ、原田」

「ほんとだ。久しぶりだね原田くん」

近づいてくる倫之に気づいてか、振り返った何人かがそんなふうに挨拶してきた。女性の中には、あからさまに目を光らせた人もいる気がする。スーツの仕立ての良さに気づいたのかもしれない。

「久しぶり。皆、元気そうで良かった」

「そう言うお前もな。聞いたぞ、もうすぐ課長になるかもしれないって?」

「えっそうなの? いつ」

「来年かな。営業担当の常務が今年度で退職するらしいから、順繰りに上がってくことになると思う」

「だとしたって、凄いじゃない」

「そうだよ。うちのクラスじゃ一番出世が早いんじゃないか」

「後で詳しく話、聞かせてよ。……ところで後ろの人、誰?」

前のめりな勢いで倫之に話しかけていた女性が、いま気づきましたというふうに、私を見て言った。

その顔には見覚えがある。クラスは違ったけど、校内の顔のいい男子は残らずチェックしていたと噂高かった人──確か、泉谷さん。

「泉谷さん、こんばんは」

「は? あんた誰?」

「…………え、もしかして柴崎さん? 三組の」

不審顔で首をひねった泉谷さんに代わり、横にいた別の女性(たぶん一年の時に同級生だった廣井さん)が、私をじっと見て疑わしそうに呼びかけた。

「うん、そう」

短く答えると、周囲の全員に「えっ」という表情で注目される。

「うっそ、柴崎? あの、地味だった原田の幼なじみ?」

幼なじみとの契約交際が溺愛必須に変更されました。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚