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記憶喪失の妖精、拾いました。

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記憶喪失の妖精、拾いました。

19 - 19(最終話)

♥

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2023年07月08日

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ある日の夕方。大我が北斗と一緒に家に帰ると、珍しく4人がすでに揃っていた。

「おう、お疲れ。どうだった? 新しい仕事は」

優吾が大我に向かって言った。

大我は、北斗の働くレストランの厨房で働きはじめたのだ。お皿洗いや掃除などから始めているらしい。

「楽しいよ」

少し口角を上げる。北斗も一緒で安心できているのだろう。

「お昼ごはんもおいしい」

「ああ、まかないね」

それは先輩シェフが作っているのだが、毎回おいしそうに食べているのを見て北斗も嬉しそうにしている。

「仕事の要領もいいし、視力とかも今のところ問題ないよ」

そう樹に報告した。

「おっけ。あんま影響はないみたいだね」

担当医は安堵の息をついた。

すると突然、「ピーンポーン」と軽快なチャイムの音がした。来客や配達物のときは大体優吾が出るのだが、ジェシーが制す。

「俺出る」

そしてリビングに戻ってくると、ジェシーは大判の封筒を持っていた。それを神妙な面持ちで開封しはじめる。

「何それ?」

慎太郎が興味深々に訊く。

「んー、ちょっとね」

なぜか歯切れの悪い答えに、みんなも首をひねる。

やがて取り出したのは、2枚の紙だった。

気になって5人がのぞきこむ。

「全部事項証明…。戸籍?」

北斗が尋ねる。

「そう。むずかったけどね、お母さんのを取るには俺しかできないらしいから」

そう言うと、大我をのぞく4人の顔色がさっと変わる。

「あっ、そうか! その手があったか」

樹が手を叩いた。

「えちょっと見せてよ」

「兄ちゃんたちは載ってないけどね」

それはジェシーと大我の亡くなった母親の戸籍だった。しかし除籍となっている。

その下部には、それぞれの夫の名とジェシー、大我の名前が記されている。そして、彼女の母親の欄には4人兄弟の祖父母の名前があった。

そう、それがすべてを物語っていた。

「うわ…ほんとだ。1枚目には大我、2枚目にジェシー。すごい」

もうわかっていたことだけど、優吾は目を丸くする。

「ってかこれどこで取ったの?」

「区役所に書類を送って、それで戸籍を送り返してもらった。いや、手続きが大変だったよ…」

なら言ってくれればよかったのに、と北斗は苦笑する。

「でもこれでやっとほんとにわかったね。ジェシーと大我は異父兄弟で、おばあちゃんが俺らと一緒。つまり俺ら兄弟とはいとこってわけだ」

そう慎太郎が言うと、大我は嬉しそうな顔をする。

「みんなと一緒」

うん、と優吾はうなずく。

「これからもずっと一緒だからな。…よく、今まで頑張ってきたな。一人で辛かっただろうに」

大我は笑って首を振る。

優吾は続けた。

「おかえり、大我。俺ら、血が繋がってたんだね」


おかえり、僕らの妖精さん。


終わり

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