テラーノベル
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ドアを開けたら何かが変わるのか___
『藤澤さん』
誰もが怯えて過ごしてる
声の方に振り返った。
白い部屋には独り達
呼ばれたのは、君じゃない。君はもう居ない。分かっているのに名前の持ち主を探す。
それは具像か
やはりその人は彼ではなく、ぱたぱたと俺が来た道の方に走っていった。心を表すキャンバスにグレーの絵の具が垂らされる。
はたまたイメージか
俺と涼ちゃんは一時期と言っても2年いかない程恋人関係にあった。知っているのは若井とサポートメンバー、周りの限られたスタッフ達だけだった。
持ちきれない愛を探して
最初はちゃんと愛せていた。つもりだった。次第に君の愛を軽く、雑に思うようになってしまった。
白い部屋には独り達
理由は単純で、裏切られるのが怖かったから。両思いとやらが夢みたいだった。信頼していないとかじゃなくて、もうこれは癖のようなもので。どれだけ君が愛してくれても俺の心は空っぽのままだった。
今日も人々は仕事で疲れてる
それに気づいた君は、俺といても悲しげな顔を浮かべることが増えた。期待しても無駄だ、そう思われたんだろう。
思いを寄せた人を思い出してる
だがまだ好きで居てくれた君に、俺は最低な事をして君を傷つけた。確かめたかった、ただ自分の私利私欲の為だけだった。
びしょ濡れで怒りを放って
気が付いた君は、泣きもせず怒りもせずただこちらを穴が空くほど見つめてくるだけだった。俺は謝った。テンプレートのように、本気じゃない、好きなのは涼ちゃんだけだと。許してくれると思った。
光を探してる
するとゆるゆると疲れたように微笑んで、ひとつため息ついて言い放った。
今日も人々はチグハグに愛してる
「別れよう、僕ら。もう無理だよ」
青さのカケラを拾って
背筋が凍るような、全身の毛が逆立つような、一番に出てきた感情は怒りだった。八つ当たりだ。寂しいから。たくさん思ってもいない言葉をぶつけて、それに君は堪忍袋の緒が切れたように噛み付いた。しばらく頭に血が上っていて、記憶はあまり無い。最後に俺が吐き捨てた内容だけははっきりしている。
華やかにステージを飾って
「じゃあ別れよう!やっぱり嘘だったんだ、今までの全部全部、結局みんなそうだよ!!」
終わりを始めた
何か言いたげに君は顔を歪ませたが、諦めたのかふっと力を抜いて頷いた。涙目だった。その瞬間俺の人生として今まで色を重ねて絵画になっていた心が真っ白になった。
呆れるまでもなく
喧嘩別れしたことは、ちゃんとは言わずとも若井は勘づいているようで。自然な態度で気遣う彼に救われていた。
全てが嘘で本当
ミセスも世界も当たり前に活動が進んでいく。月日の経過は記憶を溶かす。最初は気まずかった俺達も段々付き合う前のように話せるぐらいにはなった。
いつの日か誰かが手を伸ばしてくれる
あの時間は自分の人生にどういう意味をもたらしたのだろう。曲に書き出したり、絵を描いたりして感情の整理をしたが、判断がつかない。
そう信じてた
君は俺の虚構のような、味気ない色褪せた日常に花を咲かせてくれた。
僕も本当は大声で「助けて」と言いたいけど
今日だけは、君の特別になれたらなんて、夢を見ていた。
嫌われたくはないから
あの時、愛という、恋とまた違う種を育めたら。
今日も仮面で顔を隠して
今も泣けてしまうけど、悔しいけど君を思っていたい。
心を閉まっておくけど
もうあの頃には戻れない。関係も、感覚も。自分の手で壊したことは分かりきっている。
このままじゃいけないことは分かってる
それでも、
繰り返す間違いの狭間で揺れる
幼なじみの隣で笑う君が
時計は狂う
憎くて、
本当を見抜いて愛して欲しい
愛しくて、
もうすぐ我儘は終わる?
大好きだった。
滲んだ視界の中、鮮やかな会話で満たされた控え室の扉を、邪魔しないようそっと閉じた。
◻︎◻︎◻︎
読んで下さりありがとうございます!
初めての書き方でしたが、どうでしょうか?つい先日ホワンジのDVDを手に入れて一気見して、触発されてしまいました笑セトリの中だとcoffeeの切なさと優しさが一番好きです。
次も読んで頂けると嬉しいです。
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