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サイド キノ
「四人が攫われたって、どーゆーことだっ?!」
俺はマオの首根っこを掴まえて前後に振る。
「お、落ち着いいいて……!マオ、く、詳しく教えて……!」
「まずタエが落ち着いてくれ。今話すから」
マオはスマホを素早くパソコンと連動させた。いつ見ても洗練された手つきだと思う。
「さっき、外に出てルネと別れた後、近道を使おうと思って路地を通ったんだ。そうしたらこれが落ちてた」
そう言ってマオが取り出したのは……ひび割れたトキのスマホだった。
……これ、結構ヤバくね?
「録音中になっていたからな。直ぐに状況が分かった」
マオはスマホの再生ボタンを押す。最初に聞こえてきたのはノイズ音。それに続いて話し声、争う音がリビングに流れ出す。
ユメが目的?ユズが裏切り者?トキの知り合い?
『…………』
俺も、皆も静かにその録音に耳を傾ける。
「……ちょっと。これ、どうするつもりなのよ」
「少し待ってくれ。……よし、やっぱりな」
マオはパソコンを打って、一度頷いた。
「トキがGPSを持っていてくれて助かった」
「意外とあの人頭が回るのね」
アミが感心したように言った。それに関しては、俺も同意見だ。
「な、なんでGPSなんて持ってるの?!」
「実は、トキを虐待していた奴らが捕まった奴以外でもいるらしくてな。万一のためにルネが持たせたんだが……本当に役立つなんてな」
マオは小さく溜め息を吐いた。
「場所はここから3キロ離れた廃校の3階視聴覚室だな」
「……あれ待って、おかしくない?」
キリが何かに気づいたように顔を上げる。直ぐにタエも頷いた。
「うん。そうだね。……なんで、ユメちゃんが狙われたの?身代金目的の誘拐なら、ユメちゃんじゃなくてお兄さんや妹さんを狙うはず」
「単に警備の問題じゃないんすか?」
「違うよ。だって誘拐が成功しても、身代金が貰えないリスクの方が高かったら、誰だって成功率の低い人をリスクを負ってまで誘拐しないでしょ?」
「……わかりやすく言うと、貧乏そうな人を攫うより、ドレスとか着た子どもを攫う方を選ぶよねって話」
……全然分かんねえ。
「……そのことなんだが、ユメの父親が密かにユメを捜しているらしいぞ。犯人はこれでも見たんじゃないか?」
さっすがマオだな!よくワカンナイけど仕事が早いってことだけは分かったぜ!!
「つまりヨーヤクすると、廃校に潜入して突撃!ってことだな!」
「団長、端折りすぎっす……」
「あんた馬鹿なの?」
「んだとぉ?!」
リオが呆れたように、アミが煽るように俺を見る。
腹が立って、アミに掴みかかろうとした俺をマオがジャージを引っ張て止めた。グェッと潰れたアヒルの声が咽喉から出る。
「落ち着け。今は四人の救出が先だ」
そうだったな。忘れるところだった。
俺は深く息を吐く。
……みんなをまとめるのは、俺の仕事だ。