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モンダイジ団 執着編

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モンダイジ団 執着編

10 - 第9話 サイド キノ

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2022年08月30日

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サイド キノ


「四人が攫われたって、どーゆーことだっ?!」

俺はマオの首根っこを掴まえて前後に振る。

「お、落ち着いいいて……!マオ、く、詳しく教えて……!」

「まずタエが落ち着いてくれ。今話すから」

マオはスマホを素早くパソコンと連動させた。いつ見ても洗練された手つきだと思う。

「さっき、外に出てルネと別れた後、近道を使おうと思って路地を通ったんだ。そうしたらこれが落ちてた」

そう言ってマオが取り出したのは……ひび割れたトキのスマホだった。

……これ、結構ヤバくね?

「録音中になっていたからな。直ぐに状況が分かった」

マオはスマホの再生ボタンを押す。最初に聞こえてきたのはノイズ音。それに続いて話し声、争う音がリビングに流れ出す。

ユメが目的?ユズが裏切り者?トキの知り合い?

『…………』

俺も、皆も静かにその録音に耳を傾ける。

「……ちょっと。これ、どうするつもりなのよ」

「少し待ってくれ。……よし、やっぱりな」

マオはパソコンを打って、一度頷いた。

「トキがGPSを持っていてくれて助かった」

「意外とあの人頭が回るのね」

アミが感心したように言った。それに関しては、俺も同意見だ。

「な、なんでGPSなんて持ってるの?!」

「実は、トキを虐待していた奴らが捕まった奴以外でもいるらしくてな。万一のためにルネが持たせたんだが……本当に役立つなんてな」

マオは小さく溜め息を吐いた。

「場所はここから3キロ離れた廃校の3階視聴覚室だな」

「……あれ待って、おかしくない?」

キリが何かに気づいたように顔を上げる。直ぐにタエも頷いた。

「うん。そうだね。……なんで、ユメちゃんが狙われたの?身代金目的の誘拐なら、ユメちゃんじゃなくてお兄さんや妹さんを狙うはず

「単に警備の問題じゃないんすか?」

「違うよ。だって誘拐が成功しても、身代金が貰えないリスクの方が高かったら、誰だって成功率の低い人をリスクを負ってまで誘拐しないでしょ?

「……わかりやすく言うと、貧乏そうな人を攫うより、ドレスとか着た子どもを攫う方を選ぶよねって話」

……全然分かんねえ。

「……そのことなんだが、ユメの父親が密かにユメを捜しているらしいぞ。犯人はこれでも見たんじゃないか?」

さっすがマオだな!よくワカンナイけど仕事が早いってことだけは分かったぜ!!

「つまりヨーヤクすると、廃校に潜入して突撃!ってことだな!」

「団長、端折りすぎっす……」

「あんた馬鹿なの?」

「んだとぉ?!」

リオが呆れたように、アミが煽るように俺を見る。

腹が立って、アミに掴みかかろうとした俺をマオがジャージを引っ張て止めた。グェッと潰れたアヒルの声が咽喉から出る。

「落ち着け。今は四人の救出が先だ」

そうだったな。忘れるところだった。

俺は深く息を吐く。

……みんなをまとめるのは、俺の仕事だ。

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