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橙・瑠璃人「…………」桃時「よしじゃあ早速……」
「「アトラクションに乗るわよ!!」」
雨花「うぇーい」
兎白「あぁ、乗っていこう」
瑠璃人「異議あり!!」
桃時「ん?何よ?」
橙「私も異議ありです!!」
兎白「どうした?」
橙、瑠璃人はこの遊園地に意義を唱える。
瑠璃人「幽霊しかいないんすよ!!ここの遊園地!!しかもモノホンの!!」
兎白「そういう作りなんじゃないか?」
瑠璃人「そんな訳あるか!!」
桃時「何をそんなに怖がってるのよ」
橙「ですから!幽霊遊園地なんですって!」
桃時「あぁそういえばここ遊泳遊園地でもあるみたいよ?」
雨花「へぇ〜そうなんだ!」
兎白「ますます楽しみだな」
橙「あぁ……余計なこと言ってしまった気がする……」
瑠璃人「大丈夫だ。オレはお前を見捨てない……」
橙「瑠璃人さん……」
桃時「よぉし!じゃあ早速遊泳エリアに向かうわよ!せっかくだし最初は女子三人で!」
雨花「おぉ!行こ行こ!」
瑠璃人「行ってらっしゃい!」
橙「薄情者!!!!」
兎白「じゃあ俺たちは男子二人でとりあえずアトラクション乗ってくるか」
瑠璃人「え」
橙「行ってらっしゃい!」
瑠璃人「人を呪わば穴二つ……」
こうして、雨花たちは一度男女に別れてアトラクションに乗ることにした。
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桃時「まぁ遊泳エリアって言っても、バブルボールに入って水面でゴールまで移動するっていうアトラクションなんだけどね」
雨花「あれがバブルボールかぁ!」
橙「…………」
雨花たちの前にはみたことがないくらい真っ黒のバブルボールがあった。
橙「絶対あれ!呪い込められてますよ!!」
桃時「何言ってるのよ。たまたま黒いだけでしょ?」
橙「あんな風に真っ黒なバブルボールがありますか!?」
雨花「よし!わたしたちで貸し借りだから並ばずに済んで楽だね〜」
桃時「ほら、あのバブルボールよりもはるかに真っ黒な常闇女が乗る気満々なんだから大丈夫よ。ほら乗るわよ」
橙「そ、そんなぁ……」
雨花たちはバブルボールの中に入った。
橙「うぅ……あっでも中からはちゃんと外がみえるんですね」
雨花「さぁてと、このバブルボールをゴールに持っていけば良いんだよね!」
桃時「よぉし!ゴールまで行くわよ!!」
橙「これなら恐くな……」
ドゴン
『ひぃっひひひひひひひ』
橙「ひぃ!今何か聴こえませんでした?」
桃時「アナウンスよ!気にしなくて大丈夫!」
雨花「じゃあこの調子でどんどん先に進もう」
『きゃああああああああああ!!!!』
橙「誰だ?!今なんか悲鳴みたいなの聴こえましたよ?!」
雨花「よぉし!このまま……」
ドゴン ドゴン ドゴン ドゴン
『たすけて……たすけて……』『うぅぅぅ……ぐっうううう』『さ、びしい……さびしいよ』『ごめん、なさい……ごめん、なさい』
橙「もうやめてください!この呪いのバブルボールを刺激する度に怨霊たちの墓から蘇りしお声が聴こえますよ!!!!」
雨花「でも乗ったからには最後までゴールしないとだし、それにもうスタート地点よりゴール地点目指す方が近いよ?」
桃時「雨花!一緒にやりましょう!」
雨花「うん!!」
ドゴン ドゴン
橙「みいぎゃああああ!!!!」
橙が甲高い悲鳴をあげているころ、
兎白たちは……
兎白「俺これに乗ってみたいんだ」
瑠璃人「え?何すか?」
兎白がみせてきたのは、アトラクションの看板イラストだった。それは……
瑠璃人「え、めっちゃ可愛いお化けのイラストだ」
兎白「そうなんだ!VR映像をみるコースターなんだ。一緒に乗ってくれないか?」
瑠璃人「(これなら本物の幽霊なんて出てこないだろ。寧ろ園内にいる幽霊たちと会う方が怖いわ)」
瑠璃人「よし!乗りましょう!」
兎白「あぁ!」
兎白と瑠璃人はアトラクション内に入っていった。
兎白「楽しみだな。何でもこの遊園地内に落ちてたビデオテープを元に作ったVR映像らしい」
瑠璃人「へ?今なんて……」
VR映像が始まった。
最初は、小さなお化けたちがVR映像体験中の注意事項を言っていた。そこまでは良かったが……
瑠璃人「なんか急に雰囲気が……」
兎白「可愛いお化けたちがお茶会をするみたいだな。それに参加できるらしい」
瑠璃人「は、はぁ……」
そして、瑠璃人は想い出した。兎白が「可愛い」とものがまともなもののわけがなかったということを。あんなサイコアニメが好きな兎白自身の感性を。
次の瞬間、ばっと雰囲気が変わり、四方八方に、髪の長い白い服を着た幽霊と、布団の中に入る系幼児の幽霊に囲まれていた。そして何やら呪文を唱えている。
『あぶらかたぶらあぶらかたぶら』
瑠璃人「幽霊まみれの遊園地じゃなかったら楽しめたのになぁ!?!?そして「あぶらかたぶら」って呪文設定適当じゃね?!」
「あぶら、かた、ぶらあぶ、らかたぶら」
呪文が徐々にカタコトになっていく。
そして……
幽霊たちの顔がドアップにされ、白い顔で睨みつけてくるおぞましい顔になっていた。
瑠璃人「ひぃ、ひぃぃぃぃ!!!!」
瑠璃人は間抜けな叫び声をあげなからアトラクションを満喫した。
瑠璃人「間抜け……でも……ねぇし、満喫も……してねぇ……」
瑠璃人「この遊園地……おかしい……ですよ」
橙と瑠璃人が相当やつれていたため、一度集まって休憩することになった雨花一行。
桃時「そうかしら?」
兎白「でも確かに、瑠璃人が心霊系で怯えているのは意外性があるな」
雨花「まぁ流石にここにいる人たちは幽霊だよね」
桃時「え?マジで?」
瑠璃人「ホントに気づいてなかったのか?バカすぎだろ……!」
桃時「誰がバカよ!失礼ね」
瑠璃人「いや失礼じゃない。事実だ」
雨花「あぁはいはい。二人とも落ち着いて〜そもそもこの遊園地に招き入れた人が元凶なんだし……幽霊まみれの遊園地を作った人のことをもっと調べなきゃね。それなら……」
雨花「すみません!少しお話良いですか?」
雨花は近くにいた幽霊に話しかけた。
橙・瑠璃人「馬鹿やろう!!」
雨花「大丈夫だから。ね?」
雨花はウィンクする。
「!、あぁ……やっと話しかけてくれる人がいた……!」
桃時「もしかして、ずっと話しかけてくれるのを待ってたの?」
幽霊は、ペコッとお辞儀すると話をしだした。
「ここは、元々霊園なんです。それを強引に遊園地に埋め立てられたんです。ですのでこんなに幽霊がいるんですよ」
橙は瑠璃人に隠れながら、質問する。
橙「あなたたちは悪霊じゃないですか?」
「うふふ、自分で言うのもなんですが違いますよ。寧ろ穏やかな幽霊たちです。元々ここにいる幽霊たちは、一番年長の幽霊さんがいてその方が、私たちを諭して下さり、みんな落ち着いた気持ちで霊園生活を送っていました。しかし、その幽霊さんがいなくなってしばらくした後、埋め立てられ、抵抗するにも約束があったので……」
雨花「約束?」
兎白「何でしょうか?それは?」
幽霊は、少し寂しそうな顔になり、話を続けた。
「先程話したご長寿の幽霊さんと約束したのです。我々幽霊が自ら話しかければ生者の方々に負担かけてしまい、もしその生者が悪い人だった場合、根も葉もない噂を立てられ、私たちの居場所が無くなってしまう。だから、話しかけてくれるまで絶対話してはいけない……と。」
橙「じゃあ何で、私たちにあんな怖い想いを?」
「それは遊園地を作った人のそういう演出です」
瑠璃人「演出なんかい!じゃあ俺たちは桃時の父ちゃんの知り合いの手で踊らされたってことか?!」
橙と瑠璃人は激しく怒っている。
雨花「なるほど。確かにそれなら自分たちから手出しはしてないから、それこそ根も葉もない噂を立てられても抵抗できますしね」
「でも」
雨花「自分たちの安息できる場所を奪われて、そのまま慣れない土地となった場所で暮らし続けるのは辛いと想います。今までずっと耐えてきたのでしょう?なら……」
「「もう耐えなくても良いんじゃないでしょうか?」」
「!」
雨花「わたしたちを信じろなんて言いません。だから、わたしたちはあくまで別行動。わたしたちはわたしたちにできることをします。それを勝手にします。あなたたちはそれをみて下さい。気に食わないなら発言して下さい。そうやって少しずつ自分たちを守っていってください。無責任な言い方ですが、どうか自分自身を守ってあげてください。わたしたちがあなたに求めることはそれです」
桃時「そうね。それにきつくお灸を据えてやりたいし……ふふっ」
橙「こんな怖い想いをさせられたんです!絶対お仕置します!」
兎白「雨花たちがそうしたいならそうしよう」
瑠璃人「せっかくの遊園地なのに幽霊の人たちにも迷惑かけてまで楽しみたくねぇし!」
雨花たちは、早速桃時の父親に連絡した。すぐに遊園地の経営者は捕まり、桃時の父親の娘である桃時を狙えば、桃時の父親の仕事に大きく影響が及ぼすと想い、桃時たちを曰く付きの遊園地に招き入れた模様。どうにかして桃時を陥れたかったらしく、ガードの高い桃時の父親を落とすには、桃時が楽しめるものを用意すれば良かったと考えたらしい。吐き捨てるように「役ただずの幽霊共」と言い、後に橙と瑠璃人によって制圧された。
桃時「よっし、早速この遊園地は霊園に戻すみたいよ?」
「ほ、本当ですか!?」
兎白「桃時に二言はないからな」
瑠璃人「そういえば、桃時の父ちゃんって何してる人なんだ?」
桃時「……色々よ」
橙「え?」
兎白「色々だな」
瑠璃人「あのそれって……」
雨花「みんな!幽霊の皆さんが特別にパレードやってくれるって!」
桃時「え?どうやってやんのよ?」
雨花「なんかここでやってたパレードをみてたみたいで、お礼にせっかくの遊園地を楽しませてあげたいって!」
瑠璃人「うちの町って妖怪がいたり、幽霊がいたり、怪異だらけじゃねぇか」
橙「おかしな町ですね。……ふふっ」
雨花「ほら!パレードが始まるよ!」
こうして、最後には楽しく遊園地を過ごせた雨花たちなのであった。