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11
燃えていた屋敷が鎮火したあたりで、処女薔薇の体は透け始めていた。
「おねえちゃん?なんで透けてるの?」
「いい?ルリ。私の大切な妹。あなたは、幸せになるのよ。」
「おねえちゃん?」
やはり消えゆく少女の姿を見て、白いワンピースを着せたドールを出す。
「…スミレさん。もし妹が心配ならこの依代を。」
「これは…人形?しかも大きい。」
依頼の条件は姉妹の救出。
つまり処女薔薇…スミレも救われなければならないのだ。
それに、幼い少女一人を遺すのは、些か躊躇われたのだ。だから、依代を用意した。
「おねえちゃん…?」
「ルリ…」
不安に揺れる妹の瞳に、逡巡していたスミレは決意したようだ。
「ありがたく、そのヨリシロを使わせていただくわ。ありがとう。」
少女の指が依代のドールに触れ、吸い込まれる。
ぱちり、ドールの瞳が開き、その青が現れる。
顔写真からしっかり選んだ石は彼女に馴染んだようだ。
「おねえちゃん…?」
「ルリ、これからはずっと一緒よ!」
「おねえちゃん!やったあ!」
感動的な場面が繰り広げられている後ろでは他の面子が実験結果をまとめている。
まあ、姉妹バラバラは悲しいからな。
「じゃあ、学園に戻るか。」
「学園?」
スミレはよくわからないと言わんばかりに頭にはてなを浮かべている。
「学校があるの?」
ルリの方も似たような感じだ。
「今、俺たちはナイトレイブンカレッジに所属しているからね。」
「ナイトレイブンカレッジ!?」
「ナイトレイブンカレッジって?もしかしてむかしおねえちゃんにとどいたまっくろいおてがみをだした人?」
いや、ナイトレイブンカレッジは男子校だ。
「お父さんが手違いだろうと送り返しちゃったところの…?」
それを聞く限り、彼女は有能で、性別の壁を越えてでも鏡が選ぶほどだったのだな。
「ああ、そうだな。」
「一回行ってみたかったの!」
ふむ。ならば…
「一度、行ってみるか?」
「いいの…?」
「ああ、それに、書類を置いてきてしまってな。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
どちらにせよ学園に寄るつもりではあったのだ。ならばこれでいいのだろう。
そう思いながら、空を見た。
きっとこれはハッピーエンドなのだろう。
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