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(KAIRYU視点)
「……かっ、カイリュウ。」
久しぶりに俺の名前をその声で聞いた。
最近、実はちょっと避けてたから。
こんなんじゃあかんと思ってても、どう接すればいいか分からなくなっていた。
でも、やっぱりこんなん嫌やな。
セイトと楽しく話したい。
「おん、おつかれさん。」
少し間が空いてしまったけど、口角は上がってるはずや。普通に、…普通に、、
ん?なんかこいつニヤケてへん…??
「何ニヤケてんねん」
「えっ?!俺ニヤけてたっ?!嘘やん…っえぇ?!」
口に手を当ててオーバーリアクション。
あ〜こいつほんまアホやな、感覚で生きすぎちゃう?(笑)あ〜ほんま…やっぱり一緒におったら楽しいわ。
「アホやなぁ〜相変わらず(笑)」
俺が笑うと、照れたように笑った。
よかった、普通に話せるやん俺。
もう大丈夫、心配せんでええ。
これでまた、、、
「カイリュウと話したくて、…来た。」
「…、ふぅん、…そっか、」
声のトーンで、わかった。
“アレ”の話を、持ちかけられるんやと。
「カイリュウと、もっかい話したいねん、俺さ…」
なんで?
もう終わったことやろ。
無かったことに、したやんか。
お前のために。
これ以上俺の感情掻き乱して、何がしたいねん。
さっきまで、ナオヤに触れてたくせに。
あー腹立つ。
「話して何になんねん」
お前はナオヤが好きなんやろ?
なんで俺に構うねん。
「……カイリュウ、聞いてほしいねん、ちゃんと」
俺と、セイトは、友達なのに。
なんで踏み込む必要がある?
もうこれ以上、苦しくなりたくない。
早く、この感情に蓋をしてしまいたい。
頼むから、開けようとするなよ。
「……嫌や、もう忘れろって言うたやろ、」
「っ……俺は、やっぱり忘れられへん。なぁ、カイリュウ…話聞いてや、お願い…」
顔を見れなかった。
気持ちが先走りそうで。
逃げようとして掴まれた腕に、神経が集中する。
「カイリュウが、何を思ってるか、知りたいねん、」
俺がちゃんと蓋してやろうと思ってたのに。
お前がアホやから、俺がちゃんと処理してやろうとしてんのに!あぁ、…もう!
「じゃあ言うたるわ!お前、…っずるいねん、ナオヤの事好きなくせに、なんで俺にキスした?俺にちゃんと言わへんかったんだって、どっちにもええ顔したかったんちゃうん?!」
自分で言って、びっくりした。
違う。こんなこと言いたかったんやない。
ちゃんと、友達っぽい事言うはずやったやん。
なのになんで。
友達っぽいことって、なに?
「まって、?カイリュウ…俺、ナオの事好きちゃうよ…っ」
「っ、、は…っ?」
「ナオは友達やって、さっき話してハッキリわかってん」
「だからお前は自覚がないだけで傍から見たら…「じゃあ俺のこの気持ちはどうなるん?俺の気持ちは信じてくれへんの?」
腕を取られた手にグッと力を込められ、戸惑った。
お前はナオヤが好きなんやろ。それでええやんけ。
「ナオちゃんが背中押してくれて、ここに来たんやで…?」
「もうナオの話嫌や、俺はカイリュウと話したいねん!」
……俺は、
友達でいるって、決めたのに。
なんで今更、期待なんか。
「俺、……カイリュウが…っ」
「それ以上言うな、……頼む。頼むから、セイト、」
頭が熱くて、身体が熱くて、どうにかなってまいそうで。
次に続きそうな言葉を、聞いてしまったら、俺とセイトの関係はどうなる?
「……今日、続き、見に来てくれへん?待ってるからな…」
そう言って去って行ったセイトは、少し涙目に見えた。
「……どないせぇいうねん、っあぁ〜、くそ…っ、!」
頭の中がぐちゃぐちゃで、なんかイライラもして、頭を掻きむしりながらその場にしゃがみこむ。
俺はどうしたいんやろ。
わからへん。何を大事にしたらええんか。
セイトは、ほんまに大事な友達で。
1番気が合うし、一緒におって楽しい。
メンバーとしても頼もしい奴で。
楽しいから、一緒におりたくなる。
ずっと喋ってられるし、気も遣わへん。
居心地が良くて、あいつの家にもたくさん行ってまうし、誘われると嬉しい。
…よく考えたら、セイトの家で、同じベッドで寝たことあったな。あいつが寝ながら、俺に絡みついてきたこともあったやん。
それと何が違うねん、
キス、くらい。
なんて事ないやんけ。酔ってたんやし。
そうや、うん。
そうやで、俺。
……これで、ええんよな?
今までだって正直、嫉妬した事はあった。
セイトが俺とじゃなくて他の奴とよく遊ぶとか、1番一緒にいるとか、ちょっとした発言にヤキモチみたいな気持ちになった。
俺が1番よく一緒におるやろ、っていつも笑って突っ込んでたけど。
そういう瞬間が、楽しくもあった。
でも、あのキスを思い出してから、景色が変わって。
キスされて、嫌だという感情がないのが不思議だった。
ただ、なんで、なんでしたんやって、そればかりが気になった。
そしたら、
今までの楽しかった瞬間が、もしかしてって。
セイトへの独占欲みたいなものが、実は、惹かれていたからなんか?って、わからへんくなって。
そしたら、楽しかった思い出が、なんか崩れていく気がして。
怖かった。嫌いになりたくない。自分も、セイトも。
ナオヤとくっつけば、俺の気持ちは向くことはない。
セイトには、幸せになってほしいから。
そうやって、自分を守るために、ナオヤとくっつけようとしたのかもしれへん。
傷つきたくなくて。
俺が気持ちに気付いてしまったら、セイトともう笑い合えへんくなる。
それが1番嫌で、苦しくて。
でも涙目で、俺に気持ちを話そうとしてくるセイトを見たら、俺だってもう平常心でいられへんくなる。
「あぁ〜〜……今、何時やねん」
スマホを眺めて、時間を確認した。
セイトが去ってから、随分と時間が経った気がする。
暗くなる空を見上げて、少し焦りながらタクシーを拾おうと歩き出した。