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ここでの生活にも少しずつ慣れてきた頃、交番のななもりさんとらいとが「ひなたび」を訪ねてきた。
「久しぶりだね、ロゼくん。今日はロゼくんのこれからのお話しをしに来たんだけど……今、大丈夫かな?」
ななもりさんが優しく問いかけてくる。
「……大丈夫です」
「じゃあ、僕ころんくんを呼んできますね」
「だいきりくん、ありがとう。らいとくんはここで待っててね」
「了解っす」
俺はななもりさんに促されて2階の個室へと向かった。
ななもりさんは真剣な表情を浮かべ、静かに口を開いた。
「ロゼくんはまだ17歳……未成年だから、本来なら保護者や預かってくれる親戚がいない場合、児童相談所という場所で一時的に保護されて、今後のことを考えるのが一般的なんだ」
まっすぐな視線を受け止めながら、俺は黙って耳を傾ける。
「でも、君は今ここで過ごせているよね。これは特別なケースなんだ。厳しいことを言ってしまうけれど……ずっとここに暮らし続けることはできないんだよ」
ななもりさんの言葉が、胸にぐさりと刺さる。
その通りだ。ここは居心地が良くて……俺はいつの間にか、その優しさに甘えてしまっていたのかもしれない。
「俺たち警察も、職員さんたちと何度か話し合ってどうするか考えていたんだけどね。……実は先日、ロゼくんの友達のハルくんという子がうちに来たんだ」
「ハルが……?」
思いがけない名前に、思わず声が漏れた。
「うん。『ロゼくんが良いなら、一緒に暮らせないか』って、彼が提案してくれてね」
ハルがそんなことを言ってくれていたなんて、まったく知らなかった。
「ただ、実際に二人で暮らすとなると、ハルくんは成人しているとはいえ、経済的な問題も含めて乗り越えるべき壁がたくさんある。……ロゼくん自身は、これからどんな風に暮らしていきたい?」
「俺は……」
問いかけられ、喉がキュッと詰まる。自分の本当の気持ちと、現実の厳しさが頭の中で渦を巻く。
ーーー
「……そっか。ならこれからは、ハルくんや職員さん、ころちゃんたちともしっかり話し合いながら進めていこう。ロゼくんの気持ちを一番に尊重したいから、ゆっくりでいいからね」
俺の言葉を最後まで丁寧に聞いてくれたななもりさんは、柔らかく微笑んだ。
「はい……」
「また確認のために話しに来たり、呼んだりすることもあると思うけど、いいかな?」
「もちろんです」
「うん、よかった。それじゃあ、またね」
「ありがとうございました」
丁寧にお礼を言い、ななもりさんを見送る。
部屋に残された俺は、一人ぽつんと椅子に腰掛けたまま動けずにいた。
自分の人生に関わる重要な話だからこそ、慎重に決めなければいけない。けれど、いろんな感情や考えがごちゃごちゃと交差して、頭の中がいっぱいになってしまう。
「ロゼくん、どうだった?」
ふいにドアが開いて、ころんさんが顔を出した。
「……ころんさん」
「あはは、驚かせるつもりはなかったんだけどな〜」
頭をかきながら中に入ってきたころんさんに、俺は抱えていた思いをぽつりぽつりと吐き出した。
「実は……俺の仲間の一人が、一緒に暮らさないかって提案してくれたみたいで」
「うんうん」
相槌を打ちながら、ころんさんは穏やかな目で俺を見てくれる。
「すごく……嬉しいんですけど、これ以上迷惑は掛けたくないんです。今の俺じゃ、何もできないから……」
自分の無力さに俯く俺に、ころんさんはふっと笑って言葉をかけた。
「確かに、今のロゼくんにはまだできないことも多いかもしれないね。……でもさ、焦らなくていいんだよ。それを一つずつできるように手伝うのが『大人』ってやつなんだから」
そう言ってニカッと胸を張って笑うころんさんは、俺が今まで見てきたどんな大人たちよりも、ずっとずっと格好良かった。
「このこと、なーくんにも話した?」
「はい。ハルや児童相談所の職員さんたちとも話し合いながら、進めていこうって言われました」
「うん、それがいいね」
ころんさんの言葉に、さっきまで重く渦巻いていた不安が、少しだけ軽くなった気がした。
コメント
5件
あっ、もう本当にありがとうございます
あああもうこの回エモすぎる……!!😭💕 ロゼくんの「一緒に暮らしたいけど迷惑かけたくない」っていう複雑な気持ち、胸がぎゅーってなったよ…。でもそこに「焦らなくていい、大人が手伝うのが当たり前」って言ってくれるころんさんがかっこよすぎて泣いた!ななもりさんの真剣な説明も含めて、ロゼくんが大切にされてるのが伝わってきて温かい気持ちになった〜🫶✨ これからの展開が気になりすぎる!!
東蘭(1週間執事化)
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