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第一章 初夏
初めての友達
「えー、ではこれで授業を終わりにします。」
国語担当のスズキが言うといっせいに皆立ち上がり教室を出ていった。
だが、私はいつも通りのように一人だった。誰も私なんかを見ていない。
教室を出て、立ち入り禁止の屋上へと向かう。もちろんバレたことはない。影が薄いからだ
屋上の扉を開けると、1人の男子生徒が空を見上げていた。
私はバレないようにゆっくり男子生徒の反対方向に歩いて行く。
「おーい」
男子生徒が気づいたのか声をかけてくる。
私はどくっどくっと心臓が嫌な音を立てながら早鐘を打つ。
ゆっくり男の子の方に顔を向けると、手を振りながら「こっち来たら〜?」と笑顔で
話しかけてくれた。
無意識にその子の方に行ってしまった。
「わざわざ扉から遠い方行かなくてもいいのに。」
優しい瞳でそう言う。そのやさしい声と瞳で私は誰なのかすぐに理解した。
同じクラスの海斗さんだ。
唖然としているとすぐに海斗さんが口を動かした。
「君、同クラの由香ちゃんでしょ!いつも一人でいる子。」
うっ、いつも一人でいる子かぁ。まぁ人気者にはそう見えてもおかしくはない。
そう、海斗さんはクラスの人気者だ。クラスというか学校の人気者と言ってもおかしくない
「はい。海斗さん、ですよね?」
いつも見ている、とは言えない。
「そうそう!俺、海斗!よろしくな由香!」
友達のように接してくれて思わず頬が緩む。それと安堵があった。
そんな事を考えていると海斗さんがまたすぐ口を動かす。
「海斗って呼んでいいよ。俺達友達でしょ!」
思わず「え、」っと声に出してしまった。
「友達」そんな言葉を海斗さんが、こんな私を?私は言葉を失った。
「え?違った?俺達友達じゃないの?」首を傾げながら海斗さんが言う。
私はなんて言えばいいかわからず、首を横に振るだけだった。
海斗さんはニコッと笑って「よかったぁ」と言った。
チャイムがなった。あ、行かなきゃ。
「あ、チャイムなった。一緒に教室戻ろ」
海斗さん、いや海斗がそう言った。
私は小さく頷いて海斗についていった。
教室についた後海斗は私に手を振り、自分の席についた。
唖然として手を振り返せなかった。申し訳ない。
「えー、それでは今日の社会は…。」
時間がすぎ、チャイムがなった。
帰ろうとすると、海斗が私の方に来た。なんだろうと思いながら無意識に足の動きを
早めていた。
「おーい、由香」
屋上で会ったときと一緒のようにやさしい声で私を呼んだ。
反射的に振り返ってしまった。
ッ、海斗が眩しい視線でこっちを見てくる。胸が痛いほど綺麗な瞳でこっちを見てくる。
「一緒帰ろう。」
私は海斗の優しさに完全に溺れていて、初めて笑顔を見せた。
海斗は目を丸くした。そして「ふっ」と噴いた。
「やっと笑った。笑顔きれいじゃん。」
あまりの嬉しさに喉の奥が詰まった。言葉を失った。
それを察したのか海斗が私の腕を掴んで「早く行こう」っと口にした。
私は我に戻ってから「うん」っと海斗に告げた。
学校の門を出たときに私は海斗に尋ねた。
「他の子と帰らなくて良かったの?」
言うつもりはなかったのに言葉に出してしまった。
「全部断っといた。」
私はそれを聞いた瞬間、海斗の方を見て「え?」と声に出した。
「なんで?」
そう聞くと海斗は即答で問い答えた。
「由香と帰ろうと思ってたから。」
私は俯いて顔を赤くした。友達ってこんな関係なの?心のなかで自分にそう問いかけた。
自分に問いかけても分からないはずなのにずっとずっと問いかけていた。
「じゃあね。また明日!」
海斗が手を振って眩しい笑顔でこっちを見てくる。なぜか口許が歪む。
私も手を振り返した。そして海斗が見えなくなった頃に玄関に入っていった。
「ただいま」
家に帰ってきてただいまっと言うと一番最初に迎えてくれるのが妹の凛花だ。
「おねぇちゃんおかえり!」
癒されるような可愛さ。私とは大違いかも。
そんな事を考えているとお母さんがこっちに来て迎えてくれた。
「お帰りなさい。由香ちゃん」
お母さんは上品で穏やかな人だ。家事も上手で丁寧。
「由香ちゃん今から私ご飯の支度するから、凜花ちゃんとお風呂はいって来てくれない?」
この頼みごとは毎日のことで、凜花も喜んでくれてるし、私がやらないと誰もやる人が
いないから「うん。」と答えるのだ。
お風呂を上がって凜花の髪の毛を拭き終わった後、すぐドライヤーをかけて、色々とする事
があってなかなかに大変なのだ。
「ご飯よー」
お母さんだ。ご飯の支度がちょうどいいときに終わり、凜花は大喜び。
「ごはんだぁ、おねぇちゃん行こう!」
凜花は私の腕を引っ張りながら走る。
「はいはい。急がないよ。」
私は静かに呟く。凜花は聞こえていないだろう。ご飯のことで頭がいっぱいだろうから。
「いただきまーす!」
凜花はそう言ってバクバク食べ始める。
お母さんは微笑ましそうに笑う。
「いただきます」
そう言ってゆっくり食べる。やっぱりお母さんのご飯は美味しいや。流石だなぁ。
「ごちそうさま」
そして妹を寝かし付ける。
それが終わったら忙しくて出来ていない課題に取り組む。
なので寝床につくのは11時くらいだ。すぐ課題を終わらせると。ベットに飛び込む。
海斗のことを思い出す。そして顔がほてる。考えちゃダメ!と言い聞かせながら何も無い
天井を見ながらいつか眠りにつく。
こうして1日が終わった。
コメント
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第2話、じんわりと温かい気持ちになりました。由香ちゃんが海斗くんの自然な優しさに少しずつ心を開いていく流れが繊細で、特に「やっと笑った。笑顔きれいじゃん」のシーンは胸が詰まりました。家での妹さんやお母さんとの日常も丁寧に描かれていて、由香ちゃんの生活が浮かびました。友達ってこんな関係なの?と自問するところに、彼女の純粋さと戸惑いが溢れていて、続きがすごく気になります。素敵なエピソードをありがとうございます🌷