目を開けた
良く知っていた天井だ
毎日いた自分の部屋
彼はベットから降りる
冷たい木の床が足裏を刺激する
ーーなぜお前が生きている?ーー
「うるさい…」
彼はそう呟き歩み続ける
短い廊下のはずだ、が彼には永遠のものに感じる
ーー我々を裏切った結果がこれか?ーー
「うるさい..」
彼は洗面台へと辿り着く
鏡に映るのは目が淀んだ1人の
人のようなモノだった
「ああ…汚い…」
彼は自身の顔に爪を立てる
ーーどれだけ殺したらその目が映る?ーー
「すまない…オルグレイン…」
ーーあの日誓いを立てたのは間違いだったーー
「悪かった…ルガナート…」
ーーお前に託したのは最悪の判断だったーー
「どうか許してくれ…ダルマリウス…」
ーーお前にとって”エルンハイト古廟都”はこの程度だったのか?ーー
「違う…違うんだ…アルデハルト….」
ーーあの時の笑顔は偽物だったのか?ペテン師がッーー
「本当だ!本当なんだ…グレイモア…」
彼は床に項垂れる
ーーお前に望んだのは間違いだったーー
「すまないっ…悪かったっ…」
彼は泣き崩れる
何故?どうして彼はこうになってるのか?
ーーーーーーーーーーー
時は遡る
太陽が体を焼くような暑い夏の日
彼は”死んだ”
「ごめん…母..さん…父…さ…ん」
学校からの帰り道
スマホをいじりながら歩いていたら
そのまま車道に出て…
テラーノベルではベタな話だ
そのまま彼は転生した
「ああっ…クソッタレ…」
彼は目を覚ます
‘ようやく起きたか矮小なる種族の一つの命よ’
「?????」
目を覚ました先には神がいた
が、人が考えるような者ではない
顔であろう部分には蓮の葉のような様相をしておりまさしく、開花している
背中には数多の手が存在しており、骨ように細いものから丸太ようなものまで多種多様だ
胴体に至っては”宇宙“がこちらを凝視する
足がある部位には混沌と希望が渦巻く”ナニカ”があった
神がこちらに視線を向ける
‘嗚呼怯えるか?弱き者よ’
「….は?」
彼の目には恐怖のみが映る
‘死を超えた其方には今二つの道が示されている’
「二つの…道?」
突如として空間が歪む
神の背後に二つの分かれ道が現れる
片方には地平線まで続く道
もう片方には数多の獣の鳴き声が小玉する
‘一つは忘却…全てを無に帰し目の前の縄を横切る’
「…..」
‘二つは役目…自身に誓いを立て狩りを全うする’
「役目…?」
‘選べ、自ら忘却へと歩むかーーエルンハイトの古廟都へと堕ちるか’
神は彼に迫る
背中にある数多の手には淡い光が浮かぶ
「エルン…ハイト?」
‘かつて栄華を極めた古都エルンハイト…説明は彼に任せるとしよう’
神の背後の獣の鳴き声が響く道から1人の男が歩いてくる
「堕ちる…とは我らも随分と下に見られたものですね?」
神は笑った、いや実際に笑ったかは定かではないが
頭の蓮の葉が好感を表しているのは確かだ
「貴方は…?」
「ああ、申し遅れました!”終わり無き探求”の一族の長ロドマリアスと申します!以後お見知り置きを」
目の前の女性”ロドマリアス”は礼儀正しい所作を見せる
「ど、どうも」
「と、言うより私をここに呼んだのは何か用事があるんでよね?」
ロドマリアスは顔を上げ神に問いかける
‘かの矮小なる魂に説明をするのだ’
「はぁ…なんで私が…」
「す、すみません…」
「いえいえ!何も悪く思う必要はありません!」
彼はロドマリアスから説明を受けた
・古都エルンハイトはかつて世界の頂へと登ったこと
・エルンハイトと世界の北東部に位置する小さな国との戦争が起こったこと、それが衰退の引き金となったこと
・北東部の国”ハルヴォルン帝国”の持つ不可思議な魔術によって、古都エルンハイトとハルヴォン帝国の間に陥没穴が開いたこと
・その穴から魔物が這い出てきたこと
・それによりハルヴォルン帝国は壊滅…古都エルンハイトも多大な被害を負い規模も縮小してしまったこと
・現在は他の国との協力関係を結んでいるがそれもいつまで続くかは分からないこと
「ここまではまだ怪しいが理解できるんだよ…」
彼が頭を抱えている理由はその先の説明にある
・そもそも古都エルンハイトは無限の知恵を欲した一族の誕生により莫大な力を得たこと
・それにより伝承の魔物と呼ばれる怪物に目をつけられたこと
・終わり無き探求の一族はエルンハルトの冷血の王族から最初は認められていなかったがのちに認められ、”聖骸掘りの誓団”と呼ばれる組織が誕生した
・聖骸掘りの誓団は数多の神のいた場所を暴いたそれにより組織の大半が狂気に呑まれたこと、それにより一時期は壊滅するかと思われたが突如として狂気の発生が無くなった
・それを怪しんだ王族親衛隊の終末隊のリーダーが偵察に向かうも、誓団本部に入ったのち音信不通になったこと
「厄ネタの宝庫すぎるわ!!」
この説明を受けた彼は地面へと項垂れる
「まあ、流石に簡単に理解できるとは思っていません」
ロドマリアスは呆れたような表情を見せ歩みを進める
「ここから先は私を呼んだ神様に任せるとしますよ」
突如女性の体が光に包まれていく
「ありがとうございました!」
彼は元気に感謝の言葉を伝え彼女が消えるのを見守った
‘さあ決まったか?魂よ’
「俺は…俺はまだ生きたいです!」
彼は顔を上げ神を見上げる
‘それでは其方は何の力を望む?’
「チカラ?」
‘ああかつてここを訪れた人物が嘆いていた…’
彼の脳内に突如として流れ込む記憶
ーーーーーーーー
‘それではゆくのだ新たなる道へと’
「ちょちょちょちょ!待ってください!」
‘なんだ?もう道は定まった迷うべきものはあるまい?’
「いやいや!なんかこう凄い力とかは無いんですか!?」
‘ふむ?力とな?ならば其方は何を望む?’
「貴方が欲しいです!」
スガァァァァン!!
記憶の中の人物は地面に押し潰される
‘矮小なる生物が何を言うか…お前にはこれで十分だ’
神の背後の手が倒れた人物に向けられ光が集まる
そのまま彼は獣の道へと放り出される
ーーーーーーーーーー
「…….」
場に沈黙が流れる
「大変だったんですね…神様って」
‘嗚呼、本当に’
「ちなみにその後の彼はどうなったんですか?」
彼の前に白骨化した骸骨が生成される
’….言うまでもあるまいよ’
(なんか凄い不安〜!!)
閑話休題
「俺が欲しいのは…」
決まっていた
前世で飽きるまで遊び尽くしたゲーム
「この世界の仕掛け武器や力が欲しいです!」
‘よかろうそれでは目を瞑りたまえ’
彼が目をつぶってから最初に感じたのは体の違和感
体の隅々が自分のものではないような感覚
浮遊感を覚え、体の感覚が失われる
次に彼が目を開けた時映ったのは
「ここ…ドコ?」
大量の女性が歩く場所だった
神様異世界とは言っても男性がほぼいないとは聞いてません…
ーーーーーーーー
どうも皆さんこんにちは
中の人です
実はこの作品”ただ思いついたやつを書く”のほうに一話完結で投稿する予定だったのですが
なんか想像以上に筆が乗りまして
当初の予定は、転生した後愚かにも力に溺れて死ぬ
という作品を書きたかったのですが
途中で行き詰まってやめました
“可哀想は可愛い”
これ正義ね
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