テラーノベル
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「痛っ……!」
「あ……、っ……!」
絵名が冷たい廊下に倒れ込む音と、瑞希の短い悲鳴が重なる。
突き飛ばした手のひらに残る、絵名の体温。それが今の瑞希には、何よりも恐ろしい「証拠」だった。
(ほら……やっぱり。ボクと一緒にいたら、絵名が傷つくんだ)
ボクは、ここにいちゃいけない
いること自体が、存在していること自体がっ…!
ボクの罪なんだって…気づいちゃったんだ…
瑞希は振り返ることもできず、夜の街へと走り出した。
背後で絵名が自分の名を呼ぶ声が聞こえた気がしたけれど、耳を塞いでただ逃げ続ける。
冷たい夜風が、涙で濡れた頬を刺す。
いまや呼吸すら困難なほどの炎となって焼き尽くそうとしていた。
自分を追いかけてきた絵名の優しさを、暴力で返してしまった。
その事実が、瑞希の中にある「ボクは消えるべきだ」という確信を、もはや誰にも動かせない鉄の檻に変えていく。
(ごめんね、えななん。……ボクは、本当に最低だ)
たどり着いたのは、人影のない高架下。
瑞希は震える指で、カバンの中から一通の封筒を取り出した。
それは、もしもの時のために用意していた、絵名への、そして25時への、最後の「メニュー表」。
『最高のフルコースは、ボクがいない世界で完成させて』
コメント
3件
最高✨️ 続き待ってます! 壁紙のやつそろそろ投稿するね!