テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
渡辺さんの崩壊を嘆くどころか、それを最高のエンターテインメントとして慈しみ、さらに深淵へと誘い込む宮舘さんの冷徹な狂気を描きます。
渡辺翔太という、かつての純粋な幼馴染が自分の執着によって黒く塗り潰されていく。
宮舘さんにとって、これ以上の「愛の証明」はありませんでした。
1. 「普通」という名の極上の拷問
仕事場での宮舘さんは、完璧な鉄面皮を貫いていました。渡辺さんが他のメンバーと同じように扱われることに苛立ち、絶望し、瞳に濁った熱を宿して自分を睨みつける。その一瞬の視線の刺突を、宮舘さんは肌で感じ、背筋に走るゾクゾクとするような興奮を噛み締めていました。
(もっと睨め、翔太。その憎しみと渇望が混ざった瞳こそ、俺が欲しかった宝石だ)
楽屋でわざと渡辺さんの肩を叩き、「お疲れさま」と他人行儀に微笑む。その瞬間、渡辺さんの呼吸がわずかに乱れ、掴んだ台本が指先でくしゃりと音を立てる。その「壊れる音」を聞くたびに、宮舘さんの心臓は甘美な拍動を刻むのでした。
2. 「世界からの消失」という捧げ物
宮舘さんが仕掛けた罠は、さらに残酷な形で渡辺さんを追い詰めました。 わざとらしく口にした「サンダルウッドの入浴剤」や、お気に入りの「ブランドのシャツ」。それらが数日後には市場から消え、自分でも手に入らなくなる。
「困ったな、どこにも売ってないんだ。……誰かが買い占めているのかな?」
楽屋で困ったように笑いながら、宮舘さんは確信していました。世界中のその在庫は今、渡辺さんの暗い寝室に積み上げられている。自分を包むはずの香りを、渡辺さんが独り占めして、その中で俺を想いながら震えている。
(俺の口にする言葉すべてが、お前の世界の法(ルール)になる。……なんて愛おしい生贄なんだ)
自分が不自由になればなるほど、渡辺さんの執着が完成されていく。宮舘さんにとって、買えない不便さなど、渡辺さんからの「最高の献上品」に過ぎませんでした。
3. ハッキングの裏側、深淵の二重構造
さらに宮舘さんの狂気は、軍師である阿部さんさえも凌駕していました。 阿部さんが渡辺さんの部屋やスマートフォンをハッキングし、その様子を観察していること。宮舘さんはそれさえも全て把握した上で、阿部さんのシステムをさらに裏からハッキングしていました。
モニター越しに、壁一面に自分の写真を貼り、自分のゴミを愛おしそうに頬に寄せる渡辺さんの姿を、宮舘さんは自宅の暗い書斎で眺めていました。阿部さんが「異常だ」と戦慄している隣で、宮舘さんはワイングラスを傾けながら、画面の中の渡辺さんに指先で触れます。
「阿部。お前が見ているのは、俺が許可した『狂気』だけだ」
阿部さんが気づかない死角で、渡辺さんがクローゼットの奥で自分を呼ぶ声。その微かな吐息までを宮舘さんは独占し、保存していました。阿部さんは「観察」しているつもりでも、実際は宮舘さんの用意した「飼育箱」を外から眺めさせられているに過ぎなかったのです。