テラーノベル
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※アルバイトパロディ
◼︎コンビニ:黄先輩と赤後輩
店長:別グル青さん
なんでも許せる方のみお進みを…
pattern1:収入印紙ってなんですか?
「じぃ~んン~ちゃぁァ〜〜ん」
「だあぁっ!鬱陶しいから抱きつくなって何回言ったら分かんすか!」
「あーあ、今日もじんとは冷たいわぁ」
「小笠原さんこそ今日も鬱陶しいですね」
「うわひどォい!僕店長だよ!?」
「店長ならさっさと仕事して下さい」
「つっめた〜!やばい、僕凍っちゃうかも〜」
「じゃあ、俺これで上がるんでお疲れさまでしたー」
「スルー!?ねぇちょ…」
「おつかれしたー」
吉田さんが私服に着替え終えてバックヤードから出ると、何やら店が騒がしいことに気付きました。視線を向けると、レジ台の上には7枚ほどの払込取扱票と、10万を超える金額にテンパる新人バイト舜太君の後ろ姿。
その舜太君の肩越しに、イライラした様子の奥様が、腕組みして舜太君を睨みつけているのが伺えます。
「ちょっと、早くしてくれない?」
「す、すいません!あの、えっと…」
「失礼しまーす」
「!よしださ、」
レジに身体を滑り込ませた吉田さんは、舜太君に向かって(よく見ときな)と小声で囁くと、テキパキ手続きを済ませていきます。
そして数分後。
「お待たせ致しました、こちら領収書になりますね。ありがとうございました、またお越し下さいませ」
「ま、またお越し下さいませ!」
吉田さんと一緒に慌てて頭を下げお客様を見送ってから、舜太君は今にも泣き出しそうな表情で吉田さんに向かっても頭を下げました。
「すみませんでした!」
「謝ることじゃないって。今回初めてだったでしょ、あんな金額になんの。分かんなくて当然当然」
「でも、吉田さんもう上がりやったのに…」
「そんなん気にしない気にしない」
そう言っても、依然としてシュンとしたままの舜太君に、吉田さんは提案をします。
「あ、じゃあ今度シフト一緒になったら、缶コーヒー奢ってくれる?」
「そんなんっ!全然いいっすよ!」
「やったぁ!楽しみにしてる。じゃ、お疲れさん」
そう笑って、颯爽と去って行く吉田さんの背中に、舜太君は再び頭を下げました。
「〜っほんまありがとうございました!お疲れ様でしたっ!」
「(あぁ、なんていい人なんだろう。嫌な顔ひとつせず、自分の時間を裂いてまで僕に付き合ってくれるだなんて。あれ、おかしいぞ?何だ、何なんだこの胸の高鳴りは…!もしかして、これって K•O•Iと書いて、こ…)」
「めっちゃ鬱陶しいんで、そのアホみたいなアテレコ止めてもらえますか店長?」
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pattern2:発注って難しくないですか?
舜太君が、更衣室兼休憩室で制服に着替えていると、ガチャリと出入口の扉が開いて、先輩の吉田さんが入ってきました。
「あ、お疲れさまです!」
「おーお疲れ…あれ、舜太って今日シフト入ってたっけ?名前無かった気ぃするけど」
「ホンマは休みやったんすけど、店長から来れたら来て欲しいって連絡ありまして」
「そっか、今日なんか忙しいからなぁ。ありがとな来てくれて」
吉田さんからそう言われ、舜太君は照れ臭そうにはにかみます。
「いやいやぁ、別に暇してたんで全然余裕っすよぉ!吉田さん、今日はもう上がりですか?」
休憩スペースの椅子へ腰掛けながら、吉田さんは舜太君に首を振りました。
「ううん、休憩中。あともうちょいかな」
「結構忙しかったんすか?」
「うーん、近くでイベント?かなんかあってるらしくてさ。めっちゃ多くはないけど少なくもないお客さんが一定量ずーっといる感じ」
「あー、品出しとレジとでバタつくヤツっすね」
「マジでそれな。いつまで経っても減んねぇから、なんかムダに疲れたわ」
机の上へ突っ伏してはぁと溜め息を吐く吉田さんを横目でちらちらと気にしながら、舜太君は着替えを速攻で終えて、早足で休憩室の冷蔵庫へ向かいました。冷蔵庫から何か取り出し、舜太君はまたもや早足で、今度は吉田さんのそばへ近寄ります。
「吉田さんっ、あの…よかったらこれ」
「んぇ?」
吉田さんの前に差し出された舜太君の手には、吉田さんがいつも飲んでいるブラックの缶コーヒー。
「それ舜太のじゃないん?貰っていいの?」
吉田さんは机から体を起こし、舜太君と缶コーヒーとを見て、キョトンと首を傾げます。
「はいっ!あの、前回収入印紙の件で助けてもらって、なかなか渡すタイミング無かったんですけど…」
「あぁ!そういえばそんなこともあったなぁ。あんなもん気にしなくてよかったのに」
「いやっ、あの時はほんま助かりました!ちょお時間経ってまいましたけど、貰って下さい」
「本当に?…じゃあ、遠慮なく」
吉田さんは笑くぼをつくって笑うと、舜太君から缶コーヒーを受け取りました。
「でも早いよなぁ、入ってもう2ヶ月?」
「はい、2ヶ月とちょっとすかね」
「舜太、物覚えいいからもう何でも任せられるわ」
「いやいやっ、まだまだですよ。吉田さんに色々と助けてもらってるから何とかやれてるだけで、解らんこともいっぱいありますし!」
「謙虚なとこもいいとこだよなぁ。あとよく気も効くし、男前だし」
「ちょ、止めて下さいってぇ!」
からかいモードになった吉田さんの言葉を、舜太君は真っ赤になって遮ります。
「あはは、ごめんごめん。でもほんと助かってるよ。いつもありがとな?」
そう言って、優しく笑う吉田さんの笑顔を見て、舜太君は更に赤くなりました。
「なんなん舜太、顔赤いじゃん。褒められてそんな恥ずかしかったかぁ?」
舜太君から貰った缶コーヒーを啜りながら、可笑しそうに聞いてくる吉田さんを前に、舜太君は両方の手を握りしめ、覚悟を決めたように口を開きます。
「…あ、あの…吉田さん、俺…!」
舜太君が何かを言いかけたその瞬間、バターンと再び出入口の扉が開き、小笠原店長が乱入して来ました。
「あ、しゅんちゃ〜ん!来てくれてほんとありがとね〜♡あと早速で悪いんだけど、商品の発注頼みた…」
「〜ッタイミング!!!」
「え、ええ!?」
→【急募】アットホームな笑顔あふれる職場です!【店長に大声で威嚇しない子】
以前のジャンルで書いていたもののハイブリッドリサイクル。
……カイくんごめんなさい。
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