私が入院して1ヶ月が経とうとしています。
あれから何度か熱を出したりして、日に日に苦しくなってきています。
もう死ぬ私に医者は2週間に一度の外出許可を出してくれます。
外出した日は必ず親と買い物をして楽しみました。
そして颯太くんは約束通り毎日私の見舞いに来てくれます。
いつも学校での面白い話をしてくれるのです。
ただ聞いているだけで心地が良くて楽しくて永遠とこれが続けばいいのにと何度願ったことでしょう。
けれど、私の命はもうすぐ無くなります。
無駄なことを願っても叶えてはくれません。
だんだん葉が落ちていくのが病室の窓からよく見えるのです。
この時期は風も強く肌寒いです。
もし、颯太くんが風邪をひいてしまったらと余り無理をして欲しくありません。
とても優しい彼です。
しんどくてもきっと無理をして学校へ行くのでしょう。
それが心配で不安で溜まりません。
「鈴!こんにちは」
「颯太くん!こんにちは」
「今日は寒いね。」
「寒いね。」
たわいの無い会話。けれどそれがすごく楽しく、心地よく、私の心の傷を癒すのです。
「そういえばもうすぐクリスマスだね。」
「そうだね。」
「俺、鈴と過ごしたい。ここでクリスマスパーティーをしよう。」
楽しそうに計画を話す彼。
私はクリスマスに生きているかどうかも危ういのに。なんだか切なくなります。
「そうだね。やろう。」
死を受け入れることは出来ないと今日悟りました。
百瀬 鈴は末期癌だそう。
余命はあと1ヶ月。最近学校にいないのもそのせいらしい。
正直あいつが生きていようが死んでいようが私には関係がない。
だけど、伝えたいことがある。
「百瀬さん。今日は颯太くんじゃないお客さんが来てるんだけど、。」
「通していいかな、?」
「はい。大丈夫です。」
「鈴ちゃん。久しぶり。」
やつれた顔。前の可愛らしい百瀬 鈴は居なくなったも同然じゃない。
「久しぶり。莉音ちゃん」
「今日はね、伝えたいことがあって来たの。」
こいつが死ぬ前に伝えないとならないこと。
「伝えたいこと、?」
話し方や仕草は何一つ変わってない。
「私ね、」
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