コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
庭でバーベキューのグリルを準備していると、ドタドタと海の方からみんなが帰ってきた。
その全員の姿を見て、春翔は戦慄した。
「お前ら…何でそんなずぶ濡れなんだ」
頭の上から大量の水でも被ったのかと思うほどもれなく全員ずぶ濡れ。
ポタポタと髪の先や服から水が滴っていた。
「いや、勢いよく飛び出したのはいいものの…」
「水着に着替えるの忘れてて…」
「しかもタオルとかも持っていかず…」
「ちょっとした水の掛け合いがヒートアップしてやな…」
「…いいから着替えてこいよ、風邪引くぞ」
元気だなコイツら、と若干引き気味にそう返す。
ぞろぞろと母屋に入って行く一向。
キッチンでは雪乃が作業していた。
よし、あらかた串に刺せたな。
綺麗にトレーに揃った肉や野菜たちを見て、息をつく雪乃。
すると玄関が開き、雪乃は振り返る。
そしてずぶ濡れの男たちを見てギョッとする。
「あ、雪乃ちゃんこっちおったんや」
「バーベキューの準備ありがとう」
鬱先生とシャオロンが声を掛けてくる後ろで、先手を打ちロボロがゾムを洗面所まで引っ張っていく。
「す、凄い濡れてますね…」
「いやーちょっとはしゃぎ過ぎたわ。雪乃ちゃんちょっと俺の着替え手伝ってくれ…」
「はーいさっさと行きますよー」
鬱先生を引っ張っていくシャオロン。
コネシマとトントンも続いて洗面所まで向かう。
どーしたらあーなるんだ…。
若干引き気味に見ていたら、足元を駆けていく小さな影たちの存在に気付いた。
よく見ればポケモンたちだった。
ヒバニー、グルトン、モルペコ、パモ、ケロマツ。
みんな同様に、濡れていた。
きっとみんなのポケモンなのだろう。
海で一緒に遊んでいたのだろうが、人間だけでなくこっちもずぶ濡れだ。
「ヒバー!」
「モルモルー!」
ポケモンたちは元気そうだが、早く拭いてあげないと。
雪乃はキッチンにあったタオルを持ってきてポケモンたちを拭いていく。
「ヒバァ!」
「元気だね。でも早く拭かないと風邪引いちゃうからね」
ヒバニー、モルペコ、グルトン、パモの順番で拭いていると、まだずぶ濡れのトントンが洗面所の方からタオルを持ってやって来た。
「あ、拭いてくれてたん?」
「はい。すいません勝手に…」
「いやいや、助かるわ。今拭こうと思っててん」
「私拭いておくので、着替えてきてください」
ええの?ありがとう、とお礼を言ってトントンは再び洗面所へと戻っていく。
優しい豚さんだ。
雪乃は微笑みながら、ポケモンたちを拭いていく。
「ケロマツは…大丈夫かな」
最後に残ったケロマツは何ともなさそうに欠伸をした。
一体どの子が誰のポケモンなんだろう。
パモはロボロのポケモンだと分かっているが、他は見たことがなかった。
「もる…ぺこぉ」
モルペコがお腹をさすりながら座り込む。
どうやらお腹が空いたらしい。
「もうすぐバーベキューだから、ちょっと待っててね」
優しく声を掛け、モルペコの小さな頭を撫でた。