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かんなさん、第93話読ませていただきました…! 瑞樹さんの「朝倉奏という幻影を追いかけていた」という告白、胸に来るものがありましたね。でもそれ以上に「生身の柊吾さんに惹かれた」と言うくだりで、ああ、この告白、ちゃんと届いてほしいなって思いました。柊吾さんが「ずるいよ」と震える声で返すところも、自分の依存を自覚しながら責めきれないもどかしさが伝わってきて…お互いの傷を抱えたまま向き合おうとする二人の距離感が、本当に繊細で美しかったです。続きが気になります!
「ずっと、会いたかった。俺の前から光が消えるのが怖くて、もう一度だけあの輝きに触れたかった。だから、あなたを見つけた時、今度こそ二度と逃したくないと思ってしまった」
瑞樹の声は静かだった。けれど、その底に沈んだ熱の重さに、柊吾は息を呑んだ。
「やっぱり……隣に引っ越してきたのも、そういう理由だったんですね」
「はい。最初はそうでした。俺が隣に越してきたのも、あなたに声をかけたのも、朝倉奏という幻影を追いかけていたからです」
瑞樹は一度、言葉を切った。
「……ですが、柊吾さん」
その声が、初めて大きく揺れた。
「ここであなたと過ごすうちに、俺が本当に惹かれていったのは、誰よりも優しくて、お母様のことで必死に悩んで、泣きそうな顔をしながら前を向こうとする、生身の柊吾さんなんです」
すがるような瞳が、まっすぐ柊吾を捉える。
「朝倉奏というきらびやかな幻影ではなく、俺の隣で笑ってくれて、ひどく恥ずかしがり屋で、誰にも助けを求められずに一人で抱え込んでしまう。そんな強くて脆いあなたを知るたびに、どうしようもなく惹かれていった」
瑞樹は、逃げずに柊吾を見つめた。
「近づいたきっかけが、身勝手な執着だったことに変わりはありません。だから、俺を信じられないなら、ひどい奴だと突っぱねてください。あなたを騙すような真似をした俺を、許してほしいとは言えません」
そこで瑞樹は一度息を吸った。
「でも、この感情だけは、絶対に嘘ではありません」
柊吾は、その瞳から目を逸らせなかった。
ずるい、と思った。
最初は偶像を追いかけて近づいたのだと、自分の口から認めたくせに。騙していたと告白したくせに、そんな痛々しい顔で「今の気持ちは本物だ」と言われたら、責め立てることさえできなくなる。
(分かっている……分かってるんだ)
自分だって、瑞樹の隣人としての温もりや、介護士としての完璧な手腕に救われ、依存していた。真理子に忘れられた絶望の真っただ中で、真っ先に助けを求めて電話をかけたのは自分なのだ。
「……ずるいよ、黒瀬さん」
かろうじて絞り出した声は、かすかに震えていた。
「そんな風に言われたら……僕が、あなたを責められなくなるじゃないですか」
膝の上で固く握った拳に、爪が食い込む。
「あの日、朝倉奏としてしか見られていなかったんだって分かった時、すごくショックだった……。今までの優しさも、僕にしてくれたことも、全部、自分に向けられたものじゃない。結局、誰も僕自身を見てくれてはいなかった」
言葉が喉の奥で一度途切れた。息を吸おうとしても、胸が詰まってうまく入らない。
「それが、どれだけ絶望的だったか、あなたに分かりますか?」
瑞樹は何も言わなかった。否定も、言い訳もせず、ただ柊吾の顔を見ている。
その沈黙が、柊吾の中に溜まっていた痛みを、さらに押し上げた。
#三角関係
霞花怜
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寿命㌫(主) 🔮🖤ᩚ
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