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まる。
「さあ!トーナメント2日目を迎えました!
過酷で残酷なまでのトーナメント1日目を勝ち抜いたチームによる、さらに過酷で残酷な準々決勝と準決勝。
果たして3日目の決勝に進むチームはどのチームワークなのか!皆さんの目で確かめてください!
トーナメント2日目。開幕です」
とアナウンスが流れる。トーナメントは2日目に入った。
愛、ダイン、ヲノの3人は初戦を突破した後、2回戦は3対3で戦うことになり、愛も出場することになった。
ダインの攻撃力を増す魔法をかけたり、ヲノが攻撃されそうなときに防御力アップの魔法をかけたり
魔法をかける間無防備になった愛を攻撃に来る相手に対抗できるようにヲノの素早さを上げる魔法をかけて
愛が攻撃される前に愛を攻撃しようとしていた相手を攻撃したりと
練習していたチームワークを出すことができ、2回戦を突破。
2日目の準々決勝に駒を進めていた。そして準々決勝も3人のチームワークを駆使し
「勝者ぁ〜DAW!見事なチームワークで準々決勝を見事突破!準決勝に進出だ!」
勝ち上がった。そして愛、ダイン、ヲノの3人は控え室へと戻った。
「さあ。DAWの3人は闘いを終えたばかりなので、準決勝までしばらく時間を空けることにします」
初日、ノイテン兄弟の足を斬られていたヲノは、2回戦で相手に足狙われ
その日のうちにNeutral Keeplayに行って治療をしてもらったが、1日では完治し切らず
準々決勝でも、控え室の小窓から初日の闘いを見ていた相手に足を狙われ、ダメージが蓄積し
「ヲノさん。足、大丈夫ですか?」
と愛にも
「オレがカバーできるところはいいんだが、素早さではどうしても劣るからなぁ〜…」
ダインにも心配されていた。
「さて。先程勝ち上がったDAW。そんな相手となるのがぁ〜?
本日第一試合、準々決勝を勝ち抜いた「The Advenedy(アドヴェネディー) family」だ。
初日の2試合も快勝。本日初戦の準々決勝も快勝。その見事なチームワークで、まるで本物の家族のようだ」
愛、ダイン、ヲノ3人の準決勝の相手。
それはアナウンスでも紹介されていた「The Advenedy family」というチーム。
エルフ1人とニッポンジン2人、ニャルニラ2人の5人で構成されたチーム。
魔法を駆使するエルフと、ヒトの心が読めるニッポンジン、素早いニャルニラ
それぞれの得意な部分を掛け合わせ、そこにチームワークの良さも合わさり
初戦、2回戦、準々決勝と、相手のチームには言い方は悪いが、割と簡単に、あっさりと勝った。
そもそもダメージをあまり受けていないし、愛、ダイン、ヲノが3人に対してThe Advenedy familyは5人。
仮にThe Advenedi familyの3人がボロボロの状態だったとしても2人も控えがいる状況。
さらに事実上、5人ともピンピンしている状態。その上ヲノは手負いの状態。
どう転ぼうが愛、ダイン、ヲノの3人にとっては不利な状況である。
愛がヲノの足に治癒の魔法をかける。少しでも足を回復させるために。そんな中
「おっと?ここで新しい情報が入ってきました」
アナウンサーが告げる。愛もダインもヲノも、The Advenedy familyの5人も
そして会場のお客さんも耳を傾ける。
「明日(あす)行われる決勝の情報です」
そう。現時点、準決勝で愛、ダイン、ヲノのDAWとThe Advenedy familyの2組しかいない。
2組しかいないこの状態、普通のトーナメントなら決勝である。しかしあくまでも準決勝。
そのことについて誰もが謎に思っていた。
「明日行われる決勝ですが、相手が決まったようです。おぉ〜!?」
アナウンサーが感嘆と笑いの狭間の声をあげる。その声に愛もダインもヲノも
The Advenedy familyの5人も、そして会場のお客さんも興味をそそられる。
「なんと相手は…。この決闘主催、メモトゲ家の、キリ・テキシ・メモトゲさんがお相手のようです」
というアナウンスに会場のお客さんは
「マジか。あそこの坊ちゃんが出んのか」
「よかったぁ〜出なくて」
「どっちが勝つかわかんねぇが、あのキリさんに勝てるかどうか見物だな」
などと騒めいていた。The Advenedy familyの5人は
「…財宝前の番人ってことか」
「今までで最高峰の難易度ね」
「腕が鳴るってもんよ!」
「まずは決勝の前の前哨戦」
「肩慣らしってとこかな」
と決勝に進む気満々だった。愛、ダイン、ヲノはというと
「おいヲノ。大丈夫なのか」
「お兄さん。ってことですよね」
とヲノに聞いていた。そう。キリ・テキシ・メモトゲはヲノの兄。
仮に次の準々決勝に勝ち上がれば、兄と対峙することになる。ヲノは家出をしている身。
対峙すればバレるに決まっているし、バレたらなにを言われるかわからない。ヲノはどうしようか悩んでいた。
「なお、決勝については、1対1でも、1対複数でも可ということです。
これはおもしろくなってまいりました!」
とアナウンスが流れる。
「1対複数でもいいのかよ」
「それならオレたちでもワンチャンあったかもしれないよな!」
「くそぉ〜。なんで私たちを抽選で落としたんだよぉ〜」
「キリさんの武道の腕前は相当なものらしいからな。
そんじょそこらのひよっこが5人相手でもチョロいんじゃねぇか?」
など思い思いの話をしていた観客たち。
「お兄さんには家を出ていることお伝えしているんですか?」
「いや…。ま、いないことは知ってるだろうし
自分の執事が友達の家に行ってるって伝えてると思いますけど…」
…ま。家に行くような友達いないけど…
という心の中を読み取って
あぁ…
と思う愛。
「もし。もし次勝てたとして、どうするよ」
「どうしましょう」
悩んだ。3人で話し合った。しばらくの間話し合った。
「…。おっと?これまた新情報、そして急展開です。
DAWなのですが、メンバーの1人の足の負傷により、準決勝を棄権するとのことです」
話し合った結果、準決勝は棄権することにした。
「よって!明日(あす)の決勝に進むのはThe Advenedy familyだぁ〜!」
というアナウンスに会場が「うおぉ〜!」と沸く。
「ついに明日(あす)、初代王者の座と50,000Worth(ワース)を手にする者が決まります。
なお、メモトゲ家主催のため、決勝にてキリ・テキシ・メモトゲさんが勝利した場合
初代王者の座と50,000Worthは第二回大会に持ち越されます。
なので第二回大会では、初代王者の座と第一回大会のWorthに第二回大会のWorthが上乗せされた
なんと100,000Worthがかけられることになるそうです!
なお、決勝にてキリ・テキシ・メモトゲさんが勝利した場合
第二回大会、The Advenedy familyが出場する場合はシードとなります。
皆さん。明日(あす)、ぜひその目で結末をお確かめください」
とアナウンサーが告げると、観客たちはぞろぞろとコリセオムを後にした。
愛、ダイン、ヲノもコリセオムを後にしようとした。すると
「わざわざ50,000Worthを得る権利を手放すとは」
と声がし、3人とも振り返る。そこにはThe Advenedy familyの5人がいた。
「たかが1人足を怪我したくらいで棄権するなんて」
ニャルニラの女の子が言う。
「ま。こっちからしたら願ったり叶ったりだけどな」
ニッポンジンの男の子が言う。
「たかだ1人足を怪我したぐらいで?」
ダインが引っかかる。愛も少し怒った表情をする。
「そりゃそうだろ。まだ2人もいるのに戦わずして試合放棄」
「オレたちならしないね」
と言うニャルニラの男の子に
「仲間を想っての放棄です」
と愛が言う。
「そうだ」
ダインが続く。
「仲間を想っての放棄ねぇ〜…」
ニッポンジンの女性が何か含みを持たせた言い方で言う。
「やっぱりあんたらも恵まれてる側なんだな」
とエルフの男性が言う。その言い方はどこか冷たく、どこか羨ましさ、妬ましさを秘めた言い方だった。
「恵まれてる?」
「あぁ。昨日も今日も、抽選とはいえ、どいつもこいつも全員お遊び感覚なんだなって思ったよ。
恵まれてるやつらが、少し多めの金を手にできる、遊びの延長。
あれが欲しいこれが欲しい。親は子に、子は自分に、なにかを買うための金。
明日も明後日も、今年も来年も生きられるのが当たり前だと思ってるやつらが
嗜好品だったりちょっといい料理を、贅沢をするための金だ。
ぬるま湯に浸かったやつらばっかりで、骨のありそうなやつなんて1(ひと)チームも、1人もいなかった。
…あぁ。あんたらの顔見て思い出した。
チームワークこそゴミだったけど、あんたたちと初戦であたったあの兄弟が
今回出場してた中では骨はありそうだったな。良い目をしてた」
と言うエルフの男性。
「恵まれてるって言ってもな。オレもじいさんもいないし
親父は片脚無いしで大変で、この柊も、…ご家族が大変なんだよ」
とダインが反論する。愛も少し怒った表情でコクコク頷く。
言われたThe Advenedy familyの5人はというと、微かな、寂しげな笑みを浮かべて
なにも喰らっていないどころか、先程よりも纏う空気が重く冷たくなった気がした。
「恵まれてる。ね」
「恵まれてる」
「恵まれてるわ」
「恵まれてるよ」
とニッポンジンとニャルニラのヒトたち4人が言った後
「そう。やっぱりあんたたちは恵まれてる。教えてやる。オレたち5人は幼少期に家族全員を失ってる」
と言うエルフの男性。その重い言葉に、愛もダインもヲノもなにも言えなかった。
「…あ、少し語弊があるな。マニルは妹のナナキを
明建実(あけみ)は弟の建道(たけみち)がいる。だが母親も父親もいない。
祖父母もいない。ま、探せば親戚くらいはいるかもな。ただ他の親類なんて誰も知らない。
知る術も知らなかったし、それどころじゃなかった。その日を生き延びるのに必死でな。
そしてオレに至っては兄も姉も、妹も弟も、父親も母親も、じいちゃんもばあちゃんもいない。
オレに血の繋がった家族は誰もいない」
と両手を、肘から曲げて掌を上に向け「なにもない」ようなポーズを苦笑いしながらするエルフの男性。
「そんなオレたちは小さい頃に出会った。同じ境遇で歳も近いオレたちは共に手を取り合って生きてきた。
辛いことだらけだった。なにかを教えてくれる人は誰もいなかった。
誰も生き方さえ教えてくれなかった。金の稼ぎ方も、家に住む方法も。
そんなオレたちは他人の物を盗んで生活してきた。そもそも物を“買う”ってことを知らなかったからな。
だけど生きるには食い物や飲みもんがいる。
ただそれらを手に入れるためにはまずは金を手に入れないといけない。
そんな段階を踏む余裕はオレたちにはなかった。だったらこっそり盗るしかない。
もちろんNK(Neutral Keeperの略称)には何度も捕まった。
捕まる度に今度は捕まらないように。ってやってきた。
そんなことをしてどれだけ手先が器用になろうが、盗みの腕が上がろうが
決して他人様(ヒトさま)に自慢できるわけない。そんな生き方が認められるなんて思ってない。
オレたちは決して他人様(ヒトさま)に自慢できるわけない道を歩んできてはいない。
過去の罪だろうが、罪を犯してきたことに変わりない。それを自慢する気もないし、誇る気もない。
なんなら自慢してはいけないことだし、誇ってはいけないことだとわかってる。
だけど、そんな境遇を共にしてきたオレたちは、…本物の家族になった」
The Advenedy familyの他の4人が頷く。
「ま、本物の家族のことは知らないが、たぶん本物の家族よりも絆は強い。
血の繋がりよりも強い心の繋がりを持っている。そしてオレたちは誰よりも金を手にしたいと思っている。
贅沢をするためじゃない。嗜好品を買うためじゃない。来年をまた生きるためだ。
盗んだりせず、真っ当に金を稼ぐために使う金だ。だから、ま、結局のことろお礼が言いたくてな。
準決勝、棄権してくれてありがとな。お陰で明日までゆっくり過ごせるわ」
「ありがとうございます」
「ありがとな」
「あざます」
「あざっす!」
と言って愛、ダイン、ヲノの横を通り過ぎて、コリセオムを出て行ったThe Advenedy familyの5人。
「お遊びか」
と呟くダイン。
「あんな話を聞いたら…。たしかにそういう方々からしてみたらそう見えるのかもしれませんね」
「…。ま、棄権して良かったのかも。決勝も相手は兄さんだっていうし
そもそもうち(メモトゲ家)主催ってのを考えれば
優勝しても別の世界に行ける手がかりが掴めるとは思えないし」
「たしかにそうか」
「お家にいたときにそういう話は聞いたことなかったんですか?」
「なかったですね。…いっ」
と言いながらも足に痛みを覚えるヲノ。
「大丈夫ですか?大丈夫じゃないですよね。Neutral Keeplayに行きましょう」
「だな」
ということでコリセオムを出ようとしたら、風が吹いてフードがめくれた。
すぐにフードを直してコリセオムを出たヲノ。その様子を遠目から見かけた人物。
「…ヲノ?」
それはヲノのもう1人の兄であるカヲ・テキシ・メモトゲだった。
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