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第十七話:蜜の枷
端末の画面越しに響くのは、粘り気のある触手の蠢動音と、志乃の絶え間ない、しかしどこか明晰さを残した悲鳴だった。
「志乃さま……っ!」
如月が画面に縋り付くように叫ぶ。
映像の中の志乃は、カプセルの中で四肢を引き裂かんばかりに広げられ、漆黒の触手にその深淵までを蹂躙されていた。
激しい突き上げに身体を激しく打ち震わせ、白目を剥きかけながらも、志乃はカメラのレンズ……その向こう側にいる部下たちを、涙に濡れた瞳で必死に見据えた。
『……に……げ……なさ……い……っ!』
それは、快楽の波に飲み込まれそうな意識を、自分の唇を噛み切ることで繋ぎ止めた、血を吐くような言葉だった。
『小夜……っ、睦月……っ! 戻っては……だめ……あ、あぁぁぁあああッ!! ……っ、く……九条の、思う……壺、よ……っ!』
九条が冷酷に笑いながら、装置の感度をさらに一段階引き上げる。志乃の背中が弓なりに反り、触手が彼女の最深部を抉るように蠢いた。志乃の喉から、理性を掻き消すような甘い声が漏れる。
『ひ、あぁぁッ!! あ、あああッ!! ……っ、だめ……聞かないで……っ、今の声は……私じゃ、ない……っ!』
志乃は必死に顔を振り、滴る汗と涙を撒き散らしながら、自分を律しようとする。だが、肉体は「堕獄」の暴力的な快楽に忠実に反応し、彼女の清廉な肌は、触手が這い回るたびに淫らな朱色に染まっていく。
『……私は……大丈夫……っ。だから……里を、里の種を……絶やさないで……っ! 小夜、あなたに……長(おさ)を……託……あ、あぁぁぁぁあああッ!!』
言葉が絶頂の咆哮にかき消される。
触手は容赦なく彼女の言葉を奪い、口内にも滑り込んで、その気高き意志を物理的に塞ごうとする。
『……っ、ん、んぅぅッ!! ……ふーッ、ふーッ……っ。逃げ……て……っ。……お願い……私の、この……無様な姿を……道連れに……しないで……っ!』
自分の恥辱を見せつけられることで、部下たちが責任を感じて戻ってくること――志乃が最も恐れていたのは、自分の弱さが、彼女たちが手にした「自由」を再び鎖に繋いでしまうことだった。
画面の端で、九条が満足げに葉巻を燻らす。
「殊勝なことだ。だが志乃、お前がそうやって『長』を演じれば演じるほど、彼女たちは自分だけが助かった罪悪感に焼かれることになるんだぞ?」
『……だまれ……九条……っ! 彼女たちは……っ、あ、ああッ!! ……私のように、弱くは……ないわ……っ!!』
志乃の叫びは、もはや悲鳴なのか、それとも抗いなのか判別がつかないほどに快楽の色を帯びていく。
正気を保ったまま、肉体が「降伏」を認めていく地獄。
小夜たちは、自分たちを逃がそうと絶望の中で必死に言葉を紡ぐ志乃の姿に、嗚咽を漏らすことしかできなかった。
次回予告
暗闇を裂く一発の狙撃弾が、九条の足を撃ち抜く!
悲鳴を上げる支配者の隙を突き、睦月と如月が「堕獄」を破壊。触手の檻から志乃を救い出した。
そして新長・小夜が、最大出力の「清浄の儀」を発動!
浄化の光が、囚われの姉妹たちを眠りから呼び覚ます。
次回、第十八話:『再起の清浄、断罪の弾丸』