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前のお話にでてきた正答率っていうのがずっっと気になっていたけど、このことでしたか!伏線回収感動しました(?)
なんで母がこんなことをしたのかとかの過去編とか それに対するすちくんの気持ちを 明確に書いていてすごく深いストーリーだなって 思いました!すごいです!さすがです! これからも応援してます!
ここのゾーン、ついに書くことがなくなった。
ならこんな所作るなって話しなんだけどね、本編へゴー。
〈💚side〉
?「ーーーーーー………」
?「ーーー。………ーー」
?「ーーー………。」
遠くから…何かが聞こえる。誰かの声のような、そんな音が聞こえて意識を覚醒させる。
💚「んッッ…………ぅ…パチッ」
💚「……っえ?……何処、ここ?」
目を開けると視界全体に映ったのはメカメカしい機械たちと、自分の半径5メートルぐらいの範囲で囲っているガラスケースで……突然の情報で混乱してしまう。
💚「い、意味が分からない…何でこんな状況に…」
辺り一面に広がっている見たこともない機械は、少なくとも日常生活で見かけるような機械ではない。何の用途なのか、どのような仕掛けなのか……大凡の機械の知識を持っている俺ですら、見当がつかない。不思議な物だ。
それにこのガラスケース…これのせいで自由に動くことすらできない……。いや、もしかすると俺を閉じ込めるためのガラスケースなのか??
何にしろ、俺はあまり良くない状況に置かれていそうだね。
?「…ようやく目を覚ましたのね」
💚「!?ザッ(振り返る)…ひまちゃんの、お母さん…」
母「敵に連れ去られているのにぐっすり寝ているなんて…少し気が緩みすぎてないかしら?」
💚「連れ去られ……?……あっ!」
ふわっとした頭をフル回転させて、直前の自分の記憶を掘り返し思い出した。
💚「そうだ、急にクラッとなって……っまさか!」
母「えぇ…あれは私の仕業よ」
💚「………今貴方は、何をしているのか自覚ありますか?」
母「えぇ、それはもちろん」
💚「拉致監禁は…立派な犯罪ですよ。」
母「王族である私に、法を訴えてくるなんて…面白いわね。」
💚「王族であろうと、同じ妖精なことは変わりません。それは突然変異種である俺も、ひまちゃんも、貴方も同じ。そして罪の重さも等しいですから。」
母「……………等しい…」
💚「はい、誰だって同じです。」
母「…なつが貴方に肩入れしている理由が分かった気がするわ。…そんな考え方に、なつは惹かれてしまったのね。道理であんな反抗的な子に、なってしまって…。」
母「随分余計なことを…してくれたわね。」
💚「…余計なこと?」
母「あなたのせいで…なつが変わってしまった。王族を継がせないといけないのに…このままだとなつは王の器になれないわ」
💚「王の器……??どういう……」
母「王族において、平等なんてどうでもいい。」
母「絶対的存在に許された行為。それは自分の好きなように世界を支配する“独裁”。」
💚「っ!…そんなの許されていいわけない!」
母「許されない?」
💚「この世界は人間も妖精も偏った力を持ったら駄目なんだ!そしたら、この世界は壊れる!!そもそも【妖精は人間が決めた秩序の中で生きる】それが妖精に課せられた条件であり、それを先代の王族が受け入れたからこそ、今の妖精があるのでしょう!?それを無に帰す行為は……」
母「無に帰す?何を?」
💚「何って…平和ですよ!!」
母「…」
💚「今、何事もなく人間も妖精も過ごせてるのは…間違いなくこの“条件”があるから、作り上げられた秩序があるからです。この“条件”を破る混沌を犯すようなら…平穏な日常はなくなります!!」
母「私はそんな平和いらない。」
💚「なっ!……」
母「この世にはもう平等なんて必要ない。必要なのは、王となる存在だけよ。」
💚「…(あまりにも自己中心的な考え方…)……本当に……“独裁”で、この世界を、変えるつもりですかっ…?」
母「そうよ。元からそのつもり。」
💚「そんなことッッ!」
母「でも…私はこの独裁に参加しないわ。」
💚「?……独裁に参加しない?…でも、今…」
母「これからこの世界を…“独裁”で変えていくのは………」
母「私の愛すべき息子……なつよ。」
💚「っ!?!?」
ひまちゃんが…独裁に参加?人間と妖精の平和な世界を…支配する計画に…ひまちゃんが加担するだと?
💚「ふざけたこと言わないで!!そんなわけ無いッッ!ひまちゃんがこの馬鹿みたいな計画に参加するなんて、微塵も思えない!!」
母「確かにそうね。昔のなつなら、私が後押しすれば、きっと参加してくれたんだろうけど………あなたのせいでなつは、反抗的な子になってしまったから、きっと反対するでしょうね。」
母「でも、絶対にあの子には参加させる。私がそうしてみせるっ!!」
💚「ビクッ……(ふ、雰囲気が変わった…)」
母「あの子は誰よりも「王」に相応しい妖精、私はなつを、この世界の「王」にしたいとずっと思ってるわ!!そのために、ずっと動いてきてる…私の行動原理はなつなのよ!!」
💚「………なんだこいつ…ボソッ」
今まで…精神の乱れなんかない、冷静で気品のある人だったのに…。ひまちゃんの話しが出てきた瞬間、火に油を注いだかのように爆発的な感情になった。
目がキマり鼻息荒く熱く語っているこの妖精は、まるで誰かに取り憑かれたかのようで。目の前に起きている現象に、俺は気持ち悪さを感じている。
母「おっと…鼻血が……興奮しすぎたようね。」
💚「…気持ち悪い…ッッ…」
母「あら?理解できないのね私のことを…。私がなつを執着してるから、貴方も巻き込まれたようなところはあるのに…」
💚「…えっ?」
母「分かってなかったの?なら特別に教えてあげるわ。」
💚「…何を教えてくれるの。」
母「私の計画と、計画を実行しようと思ったきっかけを……ね。」
ーここから過去回想ですが、視点はそのままです。ー
私は純血王族の両親から産まれた、王族と一般妖精の混血妖精だった。そのせいで、私は王族の遺伝子をあまり継ぐことができず、ただの混血王族の弱い個体になってしまった。
私が王族として受け継いだのは、特殊魔力ぐらい……能力の炎もそんなに強くなくて、羽もそこそこ。他の兄弟たちの中でも最弱だった。
過去母「父様、母様………」
『………………テクテク…』
過去母「…あっ………(無視、か)」
両親は私に興味関心一切無し。見てくれない、話してくれない、構ってくれない……それが子供の頃の私にはとても辛かったわ。
でも、同時にしょうがないことだって割り切ってた。だって私は、王族の出来損ないだから………そんな私に話すなんて、プライドの高い王族なんかしてくれるわけがないと、小さい頃から悟ったわ。とても居心地が悪かった。
過去母「…父様、母様…今までお世話になりました。それでは。」
『……』
過去母「…テクテクテクテク」
だからさっさと家から抜け出した。王族になれないなら、普通の生活をしたい…そう思った私は、大人になってから直ぐ行動に移し、私は縛られない有意義な生活をした。
比べられることもなく、伸び伸びと生きて…結婚して子供を授かって……本当に嬉しかったし楽しかったわ。あのときの私は、無邪気に遊ぶ子供のように輝いていたでしょうね。
けど………私の生活は変わってしまった。
なつが産まれてから。
過去母「純血の王族!?」
医者「はい…紛うことなき、純血です。しかも…かなり質の高い個体です。確認ですが、主人様は王族ではありませんよね?」
過去母「はい……貴族ではありますが、王族の血はありません。」
医者「なのに……ここまでの妖精が産まれるとは…突然変異種か?いや、それとも王族の遺伝子によるものか?なら何処から…」
過去母「………なつ。」
なつは不思議なことに、混血の王族と一般の貴族から産まれた、純血の王族だった。普通この2つの遺伝子から産まれるのは…一般の妖精か多少王族の血を引き継ぐ妖精の2択のはずなのに……なつは何処からか分からない王族の血が入っていた。
それだけでも分からないのに………なつは……
赤子❤️「……シュン(火球を出す)」
過去母「す、すごい…まだ生後数ヶ月でここまでの火力…。」
王族の中でも飛び抜けた才の持ち主だった。能力も特殊魔力も羽も…全てが天賦の才。他の兄弟の子供たち…いや、もはや他の兄弟たちや両親すら凌駕するポテンシャルだった。
その事実を嗅ぎつけた両親が、騒ぎ立てて私の家に押しかけてくることもあった。
しかし………なつを一目見ただけで、両親は大人しくなり……父様が口を開いた。
…その言葉の後、両親はなつに全面的な王族の恩恵を与えると誓い、同時になつを産んだ私を王族の最高位権者としたわ。
もちろん、この出来事を兄弟たちがただで見過ごすはずなかった。出来損ないの私が何で急に最高位権者になったのか……納得できない兄弟も居た。中には、襲ってくるやつも…居た。
でも全員を納得させる事ができた。
何故なら、“私が兄弟たちと戦い、勝ったから”。
『……(倒れている)』
過去母「…………やっぱりみんな、そこまで特殊魔力を使いこなせてないのね。」
勝因は“特殊魔力”。私は受け継いだものが魔力しか無かったから、魔力だけを伸ばしていたけど…兄弟たちは能力も魔力も全て受け継いだため、広く浅く中途半端に育って、極めた私の魔力についてこれず、全てを完封させることができた。
そこから兄弟たちも、私たちに頭を下げ始め…私たち一家は最強の王族になった。
あの光景をまだ覚えてる…。
みんなが私となつに頭を下げる、今まで無視していたのに私たちに興味津々になる。
そんな姿に私は、……
過去母「……ニヤリ」
感じたことのないほどの高揚感を覚えた。
なつが成長するほど、みんなみんな馬鹿みたいに地面に頭を擦り付けて……私たちにお金や権力、人材が入ってくる。
とてもとても可笑しくて面白い仕組み。
私はそこで思ってしまった。
考えてしまった。
思いついてしまった。
………あんな、冷たかった両親や兄弟が…たった1人の赤子に振り向き、全てを捧げてくれた。
なら…なつがもっともっともっともっともっ〜〜〜〜〜と…強くなって、完璧になったら………
この世の生物を全て服従させることができるのではないか?
いや、きっとできる……だってなつは私の自慢の息子で、御神体だから……。
母「これがきっかけ…。なつは本当にすごい、いつも想定の上を行く…私はなつがこの世を支配している姿を見たい!なつが頂点に立つ日を!!!」
💚「………」
母「そして、頂点に立つためには…なつを完璧にしないといけない。完璧じゃないと振り向かない。…………そのためにすちくん、あなたを攫ったのよ」
💚「?……ひまちゃんを完璧にするために、何で俺を…」
母「あなたのその羽よ。」
💚「!!」
母「一目見たときからずっと思ったわ。あなたのその羽は、私やなつよりも美しくて大きい…最高の羽と言っても過言ではない。私はその羽が欲しいの。」
💚「………つまり、俺の羽を奪って…ひまちゃんに移植するって…ことですか…。」
母「大変だったのよ?毎回毎回すちくんとなつのことを監視しては、羽への適正率を調べる毎日……早く移植したいのに、適正率が100%になるまで監視しかできないもどかしさ。」
母「でも…そんな毎日のおかげで、100%になった今移植ができるんだけどね。」
💚「!!」
今から移植ができる……だと?つまり、俺とひまちゃんの羽の適正率が100%になったってこと…!!
💚「それじゃあ、ここにひまちゃんが来た瞬間!!」
母「えぇ、なつを取り押さえたらすぐ……移植しなきゃね。大丈夫…最小限の痛みで押さえるよう努力するわ。」
💚「っ…ひまちゃん!」
母「さっき必要以上になつを煽ってあげたからね、なつは必ず来るでしょう。…そこを叩いてあげる。」
そんな…じゃあ、俺を捕らえたのは…実質ここにひまちゃんをおびき寄せるためじゃん!
ひまちゃんは、きっと助けに来てくれる……でもそれじゃあ駄目なんだ!危険なんだ!!
どうすれば…どうすれば…ひまちゃんにこのことを伝えることが………。
母「でも、あなたも本望なんじゃない?なつの役に立てるんだし…。」
💚「えっ?」
母「あなたも見てみたいんじゃないの?なつが頂点に立つ…その瞬間を。」
💚「…ひまちゃんが、頂点………か。」
確かに、ひまちゃんは優しくて強くて真面目だから…王になったらこの世を変えてくれるかもしれない…でも……
💚「あなたの計画を実行させて…その成り行きで王になった、“独裁”を行使するひまちゃんは見たくない!!」
母「…あらそう。」
それに…ひまちゃんはきっと王になりたがらないと思う。なら俺が……王を押すのも違うよね。
母「結局否定するのね。……なつの親友であるあなたなら…私のこと思いを理解してくれると思ったのに…」
💚「思い?」
母「えぇ、息子の晴れ姿を見たいという思い。全てはなつのための計画…私から向けるなつへの愛情なのよ。」
💚「…………何がだよ。」
何がひまちゃんのためだ。何が愛情だ。そんなわけないだろ……。
今のあなたの話を聞いて、よりはっきりと言えるよ……。
💚「あなたはひまちゃんのために、こんなことをしてるわけじゃないだろ……。」
母「はぁ?そんなわけないでしょ!?全ては…!!」
💚「ひまちゃんの地位を利用しようとしてるだけ」
💚「王になったひまちゃんを利用して、自分が最強の妖精になろうとしているだけだろ。」
母「!!」
💚「お前の目的は!親という立場を使い、王の上に立って…1番上の妖精になろうとしているだけだろ!!そして、認められる高揚感を得ようとしているだけだ!!!」
「なつの強さは王になる資格がある」…まるでひまちゃんを立てるように、言ってるけど。
あなたが興味あるのは「王によって生物を服従できる権力と立場」とそれによって得られる「高揚感」だろ?
ひまちゃんに独裁をさせ悪役を被せて、自分は後ろから高みの見物………。そんなの可笑しいでしょ。
ひまちゃんの強さは、ひまちゃんだけの物だ!
💚「ひまちゃんの強さは天賦の才ももちろんあるけど……才能だけじゃない。毎日欠かさず鍛錬をして力を積み上げていった、そんな努力の強さもある。」
💚「…そんなひまちゃんを利用しようなんて……絶対にさせない!!」
母「…………そう。」
💚「ッッ〜〜〜〜がッッ!?!?……っー…」
モスキートーンのような音が聞こえる、視界が揺れる、吐き気がする。
俺………何…させて………
母「本当に残念。あなたは…ここで命を落とすんだから」
…ぁ…もぅ……いし、き……g __。
💚「バタッ」
母「勘が良すぎるのも駄目なのよ。」
母「そこまで知られたなら、生かしてはおけないわ……。」
母「…やっと主役が登場ってことね」
母「さぁ〜て…ここまで来れるかしら?」
❤️「シュタ…」
母「なつ♪」
第16話「王族同士」