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俺の家にホームステイする子が来るらしい。
オーストラリアから日本に。
親が不登校気味の俺を心配して、受け入れてくれた。
親の帰宅と共に、その子がうちへ来た。
「こんにちは、よろしく、おねがい、します!」
元気でたどたどしい日本語。握手を交わして、流れるようにハグもした。
困惑する俺も彼の笑顔で困惑する姿を見て、文化の違いを理解した。
俺の家の食卓は和食が多くなった。彼の日本語もどんどん上手になっていった。
「これ、おいしい、ですね!」
「美味しいね」
笑顔で返す。言語の壁があっても仲が深まるのをよく感じた。
俺は不破湊、彼はルカ カネシロ。
彼とは2週間一緒に暮らす。
1週間くらいたったある日、ルカは今日から学校に行くようだった。
俺とは違う学校、言語が違うから。
ルカに俺の事がバレないのは少し安心した。
朝起きると和風の朝食が並んでいて、ルカがこっちへと手招きした。
「学校に行くの?」
多分そんな意味だった。俺は勉強が苦手で、英語もそんなにわかんない。
「あー、うん…」
ルカから視線を落とした。
何も言えなかった。
ルカは不思議な顔をしてたけど、笑って、「冷めるよ」と言うと、急いで食べ始まる。素直で可愛いと思った。
玄関で立ち止まってるルカをみた。
「何してるの?」
ルカは嬉しそうに、「一緒に行こう!」という。
胸が張り裂けそうだった。
「ごめん、先に行ってて」
いつでも笑顔だった。俺もルカも。
「なんで?」
でも、その笑顔が苦しかった。
「ルカと少し時間が違うから」
嘘をついた。
「そうなんだ!1日頑張ってね!行ってきます!」
そんな意味だった。そんな事、言わないで、ほしかった。
俺は歌を習っている。小さい頃からずっと。学校に行かなくても、そこには通ってる。
今日はレッスンの日だった。
行こうとしたタイミングでルカが帰ってきた。
「あれ?どこに行くの?」
きっとそう言った。
「習い事、歌を習ってるんだ」
そう言うと目がキラキラしたように見えた。
「え!俺も行きたい!」
2人で行くことにした。
着くとそこには、教室の後輩、甲斐田晴がいた。
「おぉ!甲斐田〜!」
「あ!不破さーん!」
後ろでぽかんとするルカ、甲斐田はそれに気がついた。
「あ!あなたがルカさんですか?不破さんから聞いてます〜!」
すると、ルカは俺の方を見て笑う。キラキラしたいつもの笑顔で
「晴って呼んでもいい?」
「もちろん!」
いつの間にか、俺がいなくても話せるようになってて、びっくりした。
2人に言い残し、俺はレッスンを受けた。甲斐田がいてくれて、良かった。
帰り道、ルカの様子が変だった。
「何かあったの?ルカ」
慌ててこっちを向くルカ。
何か言いたそうだったけど、俺にも分かる作り笑顔で「なんでもない」と言った。
次の日、ルカは俺の学校へ送り迎えをすると言った。せっかくホームステイに来たんだから、ちょっとでも見てみたいとのこと。俺は休みの日に一緒に行くと言ったんだけど、行くって聞かなかった。だから、久しぶりの登校になった。登校時は幸い何も無かった。
教室に入るのが凄く嫌だった。そうしてるうちに、俺の敵、がやってきた。
「あれ〜?w不破くん久しぶりじゃないの?www相変わらず調子乗ってんね〜www」
俺は何も言わない。何も言えない。ただまっすぐ進むだけ。
休み時間の度に笑い声が胸に刺さる。俺の、あの日々が帰ってきたみたいだ。
昼休み、いつものようにいじめっ子に机を囲まえ、暴言や嫌味を散々浴びせられてた。
その時、見に覚えのある、金髪の少年が教室に入ってきた。俺のそばに来て、「何してるの?」英語だった。そばにいた奴らが反応する。
そして、ルカの前に立つ。
「やっほーw外人さ〜ん、コイツのここでの姿知ってたぁ?www」
周りのヤツらがクスクス笑う。もう我慢できなかった。
俺は立ち上がった。
「そいつは関係ないだろ」
そうすると奴らはコッチに来る。
不機嫌そうな顔で耳打ちした。
「あんま調子乗んなよ」
その時、先生が来た。きっと誰かが先生に伝えたんだろう。ルカはどこかに連れていかれた。連れて行かれる途中何度もこっちを向いていたが、俺は知らないふりをした。
放課後、ルカは校門の前で待ってた。
何か言おうと思ったけど、なにを言えばいいのかわかんなかった。
すると、ルカの方から一言あった。
「遅い」
それだけ言って、俺の返事も待たず、手首をつかみ、強引に歩いた。
いつもは、ご飯の話やゲームの話をするのに、今日は何も言わなかった。
家に着いた。鍵を閉めた。彼は俺を強く抱き締めた。「え?なに?ちょっ、ルカ?」俺は抵抗したけど、体格差から何も状態は変わらなかった。その間もルカは何も言わなかった。
「ル、ルカ…?」
名前を呼ぶと、より一層強く抱きしめられた。その瞬間、張ってた糸がプツンと切れた。
俺は静かに涙を流した。それに気づいたルカは、何も言わずに頭を撫でた。もう我慢できなくなった。俺は子供のように声を上げて泣いた。ルカのシャツがべしょべしょになるほど泣いた。
俺が落ち着いてもルカは離してくれなかった。「ルカ?」
ルカは「まだ、ダメ」そう言って、離してくれなかった。だから、俺もルカの背中を撫でた。ルカは泣いていたのか分からなかった。でも、ルカの背中を撫で続けた。
ルカはしばらくした後、俺を離して、何事もなかったかのように笑顔で言った。
「お腹空いたね」
「ね、お腹空いた」
2人で笑った。何事もなかったかのように。
その後、学校のことを誰かに言うことはなくなったし、行ってない。ルカは学校に行く。俺は行かない。
でも、「行ってきます」「行ってらっしゃい」は絶対言う。ルカを笑顔で送る。
歌のレッスンには絶対行っていた。甲斐田にも協力してあるものを作っていた。俺を支えて変えてくれたルカに特別な俺にしかできないプレゼントをあげたかった。
そんな前より軽くなった心で過ごすうちに、すぐにお別れの時が来た。
前日は2人で泣きあったし、一緒に寝た。
空港、もうすぐ本当に終わる。会えなくなる。
ルカが先を歩いていたけど、急に振り返った。そして、ハグをした。一瞬、短いハグだった。そして俺はあるUSBをルカにあげた。
「家に帰ったら見て」
「わかった」
それだけ、もう何も言うことはなかった。
空港のアナウンスが響く。
「行かなきゃ」
「またね」
「いつかオーストラリアにも来て」
「うん、絶対」
英語と日本語がぐちゃぐちゃの会話。
ルカは俺に手を振って歩き出した。俺はルカが見えなくなるまで、大きく手を振った。
もう大丈夫。
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