テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
夜空に、星はなかった。
都市の空は濁り、どこか遠くで救急車の音がかすかに響いていた。
でもその音を気にする者はもう、ほとんどいない。
「そんなもの、いつものこと」それが、この国で暮らす人々の普通だった。
政府が腐敗しきっていることを知る者は少ない。
いや、知っていたはずの人々の“記憶”が、意図的に改ざんされているのだ。
かつて存在した異能者たち彼らは今、この世界に「いなかったこと」になっている。
それを行っているのは、男だった。
白柳 この国の最奥に潜む、神に等しき力を持つ存在。
彼は言った。
「自由は争いを生む。ならば、すべての選択を私が奪えばいい」
その力は全知全能。
だが、彼は神ではない。人の形をした、冷たい支配者だった。
その影で、声にならぬ願いを叫ぶ者たちがいた。
失われた記憶。
潰された尊厳。
壊された未来。
少女の名前はニナ。
かつて笑い、夢を語り、そしてすべてを失った、ただの少女。
ある日、彼女の内にそれは目を覚ました。
足元が一瞬で空気を裂き、景色が線となって流れる。
まるで世界が止まったかのように、直線上の移動が完了していた。
「走った……? 私が……?」
それは、異能《韋駄天》。
誰かの意志ではない。
ニナ自身の、叫びにも似た魂が彼女自身を走らせた。
やがて彼女は、出会う。
忘れられた戦士たちと。
偽りの平和に抗う者たちと。
名もなき反逆者たちと。
そして彼女は、戦う。
この世界を塗り替えるために”。
争いに意味はあるのか?
願いは力になるのか?
戦いでしか変えられないなら、それは正しいのか?
やがて彼女の魂は叫ぶ。
「私の願いは、私のままでいていいと、そう言ってくれる世界」
その一歩が、 魂の反逆(ソウル・リベリオン)の始まりだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!