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彼は急に語り出した。


「優しい人ってどんな人だと思う?」



「正しさと優しさのバランスがうまく取れる人だと思うよ」



「俺も、そう思う。間違った事をしていても、優しく微笑んでくれるような人だと思う」



あぁ、こいつはもう少しだなと思った。


人間、優しいだけじゃダメなんだよ。


正しいことは少なくとも必ず存在していて、それに反していれば怒られることが普通の世界だ。


正しさは世間的な世界的な正しさもあれば、一人一人の正しさも存在する。


それでも、その正しさに反していれば怒られるという事は共通する。


だから、怒られないように生きるのなら、正しさを大切に生きるのが普通なんだ。


ある意味、正しさというのは最強だ。


守れば、世間的に追い詰められる事が無い。


間違った事をしないから。


正しさが最強なのに、その反対の優しさが何故この世界に存在しているかというと、それは個性だ。


正しさは人によって違うから、1人が全ての正しさに従うことなんて不可能だ。


誰でも納得できるような、全く同じ正しさもあれば、全く真反対の正しさもある。


だから従うことができない。


そうなった場合怒られない最強の「正しい」が使えなくなる。


その時に使えるのが優しさだ。


自分とは違う正しいを持つ相手に対して、正しさでぶつかり合い、戦うのでは無く、優しさで守り合うのだ。


両極端の意見が妥協され、丸く収まることなんてないんだから、戦うのではなく早く自分を守れ。


そういう判断が大切だ。


愛する仲間が誰かの正しいに反していても、優しさで守ってあげるのだ。


その力が優しさにはある。


優しさ自体の中身に個性なんてないけれど、優しさが、混じり合った正しさを一つにまとめ、正しさとは別の、人それぞれの個性を作り出してくれていると思う。


だからこそ誰かと接する時にも正しさと優しさのバランスというのはとても重要だ。


正しさを使って怒られる事はないが、人を傷つけても怒られないという恐ろしさを持っている事を忘れてはいけない。


それを知った上で優しさも使うのだ。


傷つけたくない相手には、正しさで傷つかないように。


ただ単に傷つけないように優しさを使う。


だから僕は好きな相手ほど正しさと優しさのバランスを綺麗に取って接する。


好きな相手ほど傷つけたくないから優しさが強いわけでもない。


正しさが相手の為になる事だって多い。


大事なのはバランスだ。


その結果僕が好きな相手にとって僕は、優しい人間だろう。


嫌いな人間であるほど、正しさをぶつけている。


だから、僕が嫌いな相手にとって僕は、正しくて、無愛想で、憎めなくて、最悪な相手だろうね。


 

そんなのはどうでもよくて、こんな理由であの男はまだもう少しだと思った。


優しい人の特徴が、優しさの中の個性にあると思っている人間ではない事から、バカではない事は分かる。


でも彼は、成長できなくても優しくしてもらえたらそれでいいのだろうか?


これは彼の自己肯定感の問題に直結する。


それとももしかしたら、こいつは正しい事を言われなくてももう正しさを理解しているから不要なのだろうか?


そうだとしたら僕よりもあいつは上の人間ということになる。


よく分からないが、すでに僕はあの男に興味津々だった。


もちろん、今考えた事を彼に言ったりはしない。


ただうなづいて、どうしてか分からないが彼と一緒に一つの部屋でカラオケを楽しんで、約束通り料金を奢ってもらう。








拾った星が、輝くのなら。

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