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「わかった。一応、師匠にも伝え—」
いい終えるタイミングで、突然、ガシャと喫茶の窓にヒビが入り、窓の外から、黒い塊がこちらをヌッと覗き込んだ。
「エクトプラズマ?」
おかしい。こんな夜の浅い時間帯に。僕ならともかく、ボクが目視できるほどの思念体が現れるなんて、おかしい。あり得ない。
「なにやってんの!やっつけなさいよ、いつもみたいに『たすけて、僕!』ってやりなさいよ」
こいつ、篠原。あとで覚えてろ。
「ボクはまだ僕を呼べない。1日に3回が限度なんだ。それに。僕が、霊体を送還するのにどれだけ体力がいると思ってるんだ?」
お、珍しく強気じゃないか。いいぞ、いいぞ!もっといってやれ!!
・・ってか。こいつ、ちゃんと考えてくれてたのか。便利な武器みたいに思われてんじゃないか、と思ってたからな。驚きだ。
「こいつは、そんなに危険じゃないから大丈夫だよ」
「はぁ!?だって、ガシャッだよ、ガシャ!!」
わかった、筿原。お前はちょっと、黙ってろ。
霊体には2種類ある。実態を持ったものと、霊体のまま、彷徨う(サマヨウ)浮遊霊だ。ちなみ、呪縛霊は浮遊霊に属する。しかし・・。こんな、夜の浅い時間に浮遊霊が現れること自体がイレギュラー、というか、あり得ないことだな。
「そうなの?」
ああ、間違いない。魂を喰うタイプの霊じゃないことからしても、こいつは諜報タイプの浮遊霊だ。
誰か、けしかけたヤツがいる可能性も、視野に入れた方が良さそうだな。
「あ、始まった。探偵くんの“ひとりごとタイム”」
ひとりごと言うな。
「もう済んだよ」
「ふうん。じゃあ、けしかけたってことは、2号室と『牧原絆』(マキハラ・キズナ)と、謎の光を知られちゃマズイ人間がいるってこと?」
再三最初、説明すると、篠原は「なるほど、理解した」とオタク女子特有のいい回しで納得したようだった。本当は『超』機密事項だ。が、こいつになら話したって問題はない。
「さっきの喫茶パスタ、美味かったかい?」
「え?そんなの食べたっけ??」
な??
昔から、そういうヤツだ。
「けしかけた。っていっても、仮定だけどな。それに、人間(ヒト)じゃないかもしれないし」
「怖いこと言わないでよ。眠れなくなったら、あんた責任とんなさいよ」
・・・は????
「えっと、さ。つまり、一緒に寝てほしいのか?」
「な、な?こ、この、変態ヤローッ!おっぱいは見せてやんねーぞ。みたいのか??え?あ?」
いや、おまえが言ったんだろ。
こいつといると、霊なんかと戦うよか、1000倍は魂削られる気がする。もし、疲れたスキを霊につけ入られたら、どーしてくれんだ。
まったく。
「・・ひとまず、師匠のとこへ行くか」